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「日本語文章表現Ⅰ」学生課題発表!
「楓ニュータウン」 授業内試写会&いわきりなおと監督対談レポート

午前にあった授業後の昼休み。携帯電話からはダウンロードした「楓ニュータウン」のオープニング曲、エンディング曲が流れている。映画の余韻に浸りながら、僕はこの授業課題に取り組んでいる。 ユニークな課題が出されることが多いデジタルハリウッド大学の授業だが、今日の課題は「日本語文章表現Ⅰ」授業担当の櫻井孝昌教授と、映画「楓ニュータウン」の監督、いわきりなおとさんとの対談の様子を記事としてレポートするものだ。プロの方同士の対談を記事にするなんて、まるで仕事を疑似体験しているよう、と少し興奮気味な僕。授業の中で、公開前の映画が上映されるというのも、デジタルハリウッド大学ならではのユニークさだ。

ハリウッド映画に代表される大作は、最高のマシンと多くのスタッフを導入する。しかしそれを追求していてはきりがない。普段使っているもので最高のものを作りたい!

対談は、本作に対する監督の思い入れについてから始まった。監督にとって、アニメーション映画を一本作ることは、学生時代からの目標であった。自分が子供だった頃の体験をベースに、おもしろいことを描きたい。そこから出発し、完成したのがこの作品だ。監督の故郷である大阪のニュータウンをモチーフに繰り広げられるエピソードは、好きな子が転校してしまったという監督自身の思い出につながる作品に仕上がった。作品づくりに自分の体験が生きてくるとはまさにこのことだ。
28分間の本編のかなりの部分はいわきり監督が一人で作り上げた。 「作品に技術的な特徴はありますか?」 と問いかける櫻井教授に監督はこう答えた。「ハリウッド映画に代表される大作は、最高のマシンと多くのスタッフを導入する。しかしそれを追求していてはきりがない。普段使っているもので最高のものを作りたい!」
かつてゲーム会社に勤めていた監督らしく、このメッセージをゲーム機に例えてわかりやすく説明してくれた。 「僕はプレイステーションより、むしろファミコンの方が好きだ。ファミコンのキャラクターはシンプルなので、想像がふくらみやすい。プレイステーション用のソフトなら、よほど作りこまないと中途半端なものになってしまう。」 制限があるから良いものが作れないのではなく、むしろそうした逆境をバネにするからこそ良いものが完成できる、という僕たちへのメッセージであった。

実物のものをコンピュータグラフィ作に起こす作業経験から培った技術が、作品に生きている

監督は、僕からの些細な質問にも気兼ねなく答えてくださった。ゲーム会社でのご活躍に興味があったので訊いてみると、なんとあの有名なテレビゲーム、「電車でGO」 の製作チームに身を置き、実際の運転手が使用するシミュレータの3DCG部分を作っていたというのだ。
本作の背景に出てくる精細な建物ひとつひとつは、実在するものもあるという。実物のものをコンピュータグラフィ作に起こす作業経験から培った技術が、作品に生きているのだ。 何をやっていてもいつか必ず役立つ時がくる。無駄になることはない。一つのことに固執することなく、常に勉強だと思って毎日を過ごしていたい。
そんな監督の生きる姿勢からは、僕らがよりプロフェッショナルなクリエイターになるための鍵となるヒントが、たくさんかいま見られた気がする。監督は、僕たちにこう言った。 「とにかく人が作ったものを見まくり、自分でたくさんものを作り、見せることが重要だ。」
早くも、次回作の構想を練られているという監督。自分にしか作れないものを作りたいという信念にはとても期待させられる。将来は、カンヌ映画祭に招待されるような作品を作ることが目標だそうだ。

監督はアニメーション以外にも実写を撮っていますが、実写とアニメーションの違いはどこですか?

櫻井教授の最後の質問は、僕になら答えるのが難しいような奥深いもの。
「監督にとってアニメとは?」 一呼吸おいて、いわきり監督はこう語った。 「アニメは、自分を表現するのにピッタリなもの。脚本やセリフ、アニメーションなど、すべてを自分で考えることができるから。」
自分の世界観をトータルプロデュースという形で実現している監督のお話は、僕らのこれからの大学生活の指針となるに違いない。 何度、携帯電話から流れてくる曲を繰り返し聞いたことだろう。それでもレポートを書き終えた僕の頭の中には、まだ作品の暖かさが残っている。オープニング曲、エンディング曲を歌うのは監督と、かねてからミュージックビデオ制作でのお付き合いがあったり、好きだったアーチストだ。そんな監督の音楽に対する思い入れと、エイプリフルズとトモフスキーの映画に対する「情熱」。もう一度感動を味わいに、今度は映画館に足を運ぼう。

(取材・ 原稿/デジタルハリウッド大学学生 森 治樹)

いわきりなおと監督 プロフィール

デジタルハリウッド大阪校にて3DCGを学んだ後、VJ活動を始め、関西VJコミュニティで有名に。その後、ゲーム会社でクリエイターとして活躍しつつ、個人での活動を並行して進め、数多くのPVを制作する。2005年フリーに転身、2006年には有限会社こどもinc.を設立し、マンガ、 PV、VJ映像制作の集大成としてアニメショーン「楓ニュータウン」の制作を開始する。

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