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プロデューサーと監督が語る
テレビアニメ『のだめカンタービレ 巴里編』のすべて

2007年フジテレビ月9ドラマで放送され、TVアニメも人気を博し、日本中に一大クラシックブームを巻き起こした 「のだめカンタービレ」 。コミックの売り上げも累計2,800万部を突破するなどその勢いはとまりません。2008年の実写ドラマに引き続き、この10月よりTVアニメシリーズパート1の続編となるパート2「巴里編」が再登場しました。 今回は本作を手がける今千秋監督、松倉友二プロデューサーをお招きし、TVアニメが出来るまでの製作過程と演出上のポイント、制作秘話などを解説いただきました。“のだめ”ファンや将来アニメ業界で働きたい方に向けて、こだわりの製作現場の裏側まで細かく話してくださった講義の一部をお伝えします。

どういう形でテレビアニメはスタートしたのでしょうか。また実写との関連性はどうだったのでしょうか。

松倉さん:アニメーションを作ってくれませんかというお話がきたのは2004年です。2007年1月スタートのアニメなので3年ほど前ですね。このように企画段階はかなり早いことが多いです。 ドラマとアニメーションのオンエア時期の順番は決まっていました。実写ドラマのあとにアニメーションを作るのはすごくプレッシャーがありましたね。ドラマの出来も良かったですし、 『のだめカンタービレ』 という作品はクラシックの演奏シーンをすべて手書きでおこしていかなくてはいけないため、アニメーションにとってものすごくハードルが高い仕事なんです。

漫画家さんはアニメ化に関してどういう意向だったんですか?

松倉さん:アニメーションと漫画はメディアが違いますし、視聴者にどう届けるかという手法も違うので、その点を原作者の二ノ宮先生は分かってくださっていました。ですから、基本的にどう作っていくかはアニメーションのスタッフにまかせてくださいましたね。その中で 「千秋をかっこよくお願いします」 とか「演奏シーンはこのように・・・」 という二ノ宮先生のこだわりも織り交ぜていきました。

アニメーションの制作工程を説明していただけますか?

松倉さん:まずは企画です。オリジナル、原作ありの作品問わず企画のセクションがあります。この作品をアニメーションにするのはどうだろうというスタートから、作品規模を考えるところまで含めて企画のセクションです。企画は原作者の方などの原作関係と、ビデオメーカーなどの出資関係、そしてプロデューサーが進めていきます。そこでスタッフィングや脚本を思案する期間があり、その後、様々な作業に入っていきます。 脚本は、原作をアニメーション用に書き起こしていく作業です。絵コンテは映像の設計図ですね。アニメーションは連続したカットの流れで感情を表現していくので、それを絵コンテで指示していきます。その絵コンテを元にアニメーターが画面構成を決めていくのがレイアウトという工程です。このキャラクターがこれくらいの大きさで、ここでこんな動きをします、というように決めていきます。 続いて原画や動画です。アニメーションは通常だと1秒間24コマなのですが、全部絵をかいているわけではありません。そのキーポーズを描くのが原画で、キーポーズから次のポーズに時に絵がカクカク動かないようスムーズにしていくのが動画の作業です。着色は以前はセルロイドのシートに特殊な絵の具で塗っていましたが、今では紙に作画したものをコンピューターでスキャンして、デジタルで着色しています。背景の部分とキャラクターたちを合成し、編集して、セリフの声も含めて音響をつけ、完成させていきます。

声優はどのように決めたのですか?

松倉さん:声優を決定する方法は作品ごとに違いますが、今回はオーディションで決めました。オーディションは100人以上で行い、のだめ役で受けても別役になることもあります。

続いてパート2に関して伺います。
今監督はパート1からが引き継いだわけですが、 注意した点などはありますか?

今さん:基本的なキャラクターは出来ていたので、演出の部分で自分らしさがでるように努力をしました。パート1を超えるのが目標でしたね。パート1はオーケストラが止まっていたので、オーケストラを動かすことが第一関門でした。

パート1、パート2と関わった松倉プロデューサーは、パート2を作るうえで大切にしたことはありますか?

松倉さん:映像的解釈が難しい作品で、監督と試行錯誤しながらはじめたのがパート1でした。演奏シーンで、楽器を弾いているところのアップはCG制作会社の協力も得ながら動かせたのですが、それが精一杯だったんですね。何せ楽器演奏のノウハウなんてCG会社も持っていませんでしたから。パート2を作るにあたってスタッフから次はもっと出来るのではないかという声もあがり、パート2ではパート1で培ったノウハウを生かせる作品にしようと決意していました。オーケストラを、前回のようにアップだけではなくロングショットでも動かすことにチャレンジしました。

パリに視察へ行かれたそうですが、目的や時期、視察の様子を教えてください。

今さん:アニメーションが始まる8ヶ月前に4泊6日でパリへ行き、大量の写真を資料として撮ってきました。 松倉さん:日本が舞台であれば分かることも、外国が舞台だと分からないことが本当多いんです。街のつくりがどうなっているのか、それこそドアノブ1つとっても分かりません。ですから、プロデューサーを含めた美術まわりの人間と、脚本を書くライターさんも行きました。そこで撮ってきた資料を絵コンテや作画の資料として使いました。

それではその資料をスタッフに渡し、作業に入っていくわけですね。
具体的な作業についてはどのような作業があるのでしょうか。

今さん:キャラクターはキャラクターデザインの方に作ってもらっていますが、原作があるので、基本は原作に沿って作っていきます。キャラクターの色も、『のだめカンタービレ』は二ノ宮さんのイラストブックを参考にしています。
松倉さん:『のだめカンタービレ』では曲のリストも作ります。曲の中には原作に表記されていないものもあります。オーケストラで演奏している曲も、全部新規で録り直しているんですよ。既存のCDから使ったものはないんです。プロのオーケストラと学生のオーケストラは音楽の質自体が違うので、しっかりこだわって録っています。そういった部分が分かる人がいないといけないので、音楽監修の方にも入っていただきました。クラシックを膨大に使ったので、どの曲の何楽章が必要かを具体的にしていかないと音楽の用意が追いつかなくなってしまうので、このリストはとても大切なものです。

パート2巴里編にあたって、力を入れている部分はありますか?

今さん:テンポアップをしてみました。ギャグシーンなどを少しまいてもいいかなと思いまして。私がCGを扱うのが始めての取り組みだったため、CGと作画の融合には苦労しましたね。内容ではのだめと千秋の成長に注目してほしいです。

プロデューサーを目指している学生にアドバイスはありますか?

松倉さん:これをやったらプロデューサーになれるというものはありません。これは実写もアニメーションもそうですが、モノを作るという作業はものすごくたくさんの人と関わります。その人たちといかに話ができるかが大切だと思います。たくさんのクリエイターをまとめていくのがプロデューサーの仕事ですので、時には丸くなることも必要ですね。 それができればあとはセンスですかね。 「フィルムを見る目」 「スタッフを見る目」を養っていってください。

ご自身で考えている自分らしさはなんですか?
(デジタルハリウッド大学1年生より質問)

今さん:自分が作った作見たみた人が 「原作やパート1と同じ作品なのに違う作品みたい」 といってくださったんですね。そういった客観的に見られて言われることが自分らしさであり、それを受け止めることが大切だと思っています。

将来アニメ業界で働きたいのですが、学生時代にしておいたほうがいい、
見ておいたほうがいいというものはありますか?
(デジタルハリウッド大学2年生より質問)

最後には参加者にサインをしてくださいました。アニメ業界で活躍したいという声に、また会いましょうと優しく声をかけてくださっていました。

今さん:友達をたくさん作ってください。現場に出たときに、それが仕事でつながりになります。 松倉さん: そうですね。監督の言うとおりだと思います。僕ももともとゲーム業界に2年いてアニメ業界に来たのですが、ゲーム業界にいたときに一緒に働いていた人と今でも仕事をしていますよ。そこで感じたのがアニメ以外のことをいっぱいやっておく大切さですね。アニメのことしか知らない人では知識もセンスも幅が狭くなってしまうので、運動する、本を読む、実写の作品を見るなどアニメ以外のこともたくさんやって、それからアニメ業界にきたほうが楽しめると思います。

『のだめカンタービレ』■のだめカンタービレ
DVD 『 のだめカンタービレ巴里編 』 (初回限定生産版)
Vol.1 発売中!(第1話、第2話収録)\3,465(税込み)
Vol.2 1月28日(水)発売!(第3話、第4話、第5話収録)\4,935(税込み)
以降全4巻毎月順次発売!
(発売:アスミック/フジテレビ 販売:角川エンタテインメント)
(C)二ノ宮知子・講談社/のだめカンタービレ2製作委員会

■「のだめカンタービレ」続編、2009年 秋放送決定!
過去10年間すべての深夜アニメの再校視聴率記録を更新し、6.6%の新記録樹立!

■「のだめカンタービレ」公式サイト http://www.nodame-anime.com/

(取材・原稿/小島千絵)

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