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大学トップの中の学部・大学院の中の著名人の特別講義の中の映画『ホッタラケの島 ~遥と魔法の鏡~ 』プロダクション I.G森下氏、塩谷氏

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映画「ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~」
プロデューサー&演出担当者が語る日本発フルCGアニメーションの挑戦

2009年夏に公開された映画『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』。フジテレビとアニメ制作会社プロダクション I.Gがタッグを組み、日本発のフルCG長編アニメとして話題を集めています。今回、デジタルハリウッド大学ではモデレーター高橋光輝教員進行のもと、映画『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』のプロデューサー森下勝司氏と、演出を担当した塩谷直義氏をお招きし、特別講義を開催しました。将来アニメ業界で働きたい方に向けて、製作過程を細かく話してくださった講義の一部をお伝えします。

ホッタラケはオリジナル作品ですが、この映像を作ろうとしたのは、どんなきっかけだったのですか?

森下氏
物語の原点になる神社のコンセプトはフジテレビのプロデューサー関口大輔さんが発端です。2005年の夏頃、テレビシリーズ『バンパイヤンキッズ』でフジテレビさんとやりとりをしており、劇場映画もやってみたいという話題が出てから2年ほどは企画を考えていました。2007年くらいから具体的に動き出し、監督の佐藤さんや脚本の安達さんと少人数でストーリーを考えていきました。

安達さんは乙一さんというペンネームで小説も書かれていますね。

森下氏
はい。安達さんは本人も映画監督をし、ご自分の作品の脚本は書かれていたのですが、脚本家として映画に参加することは初めてでした。

日本では2Dアニメで人気を博していますが、なぜフルCGにしたのですか?

森下氏
世の中の流れがCGに向かっていて、海外ではディズニーが2Dアニメーションから撤退したり、日本のゲームでもCGが増えてきたりと2Dの発注が減ってきていました。マシンのスペックがよくなり、学校でCG系の優秀な方がたくさん輩出され、3DCG制作に良い環境が整ってきていました。IGでもCGに力を入れていこうとIGFXという部署を作ったころでした。やはり作品がないと人も成長しないですし、人も集まってこないのでちょうどいい機会だと思い、フルCG作品に挑戦しました。

数年前から構想していたようですが、フジテレビ50周年記念作品というのは当初から決まっていたのですか?

森下氏
開発に時間をかけ、今年よりもう少しあとに完成する予定でした。そんな中、フジテレビ50周年記念作品にアニメーション作品も1つ入れたいという話が出て、この作品の制作を早めて記念作品に出来ないかということになりました。作品は、観てもらってこそですので、力を入れて宣伝していただけるチャンスを掴む意味でも、現場は厳しいですが、1年ちょっと前倒ししました。現場の方々には本当に無理してもらいました。モチベーションの高い人たちが集まっていたから出来たのだと思います。

監督に、なぜ実写作品の監督を選ばれたのですか?

森下氏
関口さんから「推薦できる監督がいる」と薦めていただいたのが佐藤監督でした。佐藤監督はゲームのCGムービー制作経験があり、CGを全く知らないわけではなかったのですが、アニメーションのプロではなかったので「現場で全ての指示をだすことはできません。アニメーション監督を別にたててほしいです」とはじめから言われていました。ですので、得意な部分をそれぞれ役割分担する形でスタッフィングしていきました。

では演出に塩谷さんを選ばれた理由は何でしょうか?

森下氏
塩谷さんは『東京マーブルチョコレート』での独特な演出の評判を聞いていました。アニメーションに詳しくない佐藤監督と現場との間に立ち、演出していく難しい立場でしたので、塩谷さんにお願いしました。

このような役回りは初めてだったと思いますが、制作過程は想像できましたか?

塩谷氏
イメージできませんでしたし、このような役回りはなかなかないですよね。佐藤監督は実写出身、僕は2D出身、そして今回の作品はCGで作るというのが、バランスがとれていてお互いに分からないところは補完しあうというのが面白いと感じました。

キャスティングはどのように決めたのですか?

森下氏
主演の綾瀬はるかさんは関口さんがぜひ綾瀬さんを起用したいとおっしゃったのがきっかけです。やはり、脚本を書いているときからキャラクターのイメージとして綾瀬さんのイメージがあったのではないでしょうか。他はほぼオーディションです。一番人数の多く集まったオーディジョンはテオでした。テオの場合は人間ではないので、作品や役どころのイメージを声優事務所に伝えてオーディションを実施し、合計50人くらい集まりました。テオ役の沢城みゆきさんは有名な声優ですが、名前で選んだのではなく、オーディションで役に合っていると感じたので選びました。

悪役の登場シーンが印象に残っているのですが、力を入れたのでしょうか?

塩谷氏
ラストボスといわれる男爵が出てくるのは中盤です。ぱっと見ただけで悪者と分かることと、男爵が人間を忌み嫌いながらも人間より上と思っているというのを、どう綺麗に見せるかをいろいろと考え、4~5回キャラクターが変わりました。決定した男爵以外のキャラクターも男爵の城の中に描かれています。

テオへの思い入れはいかがですか?

塩谷氏
一番始めにいただいた脚本で、感情移入をしづらかったのが実はテオでした。いじめられるのですが、その時に反抗しないのです。一方では一人暮らしをしていて、自立しています。どうも両立しないキャラクターだなと感じていました。途中の編集作業で明るいキャラクターにし、いじめられた際に反抗させたり、はるかとコットンへの焼きもちを弱めたりと、影の部分を隠すことで、自立したキャラクターに近づけ、感情移入ができるようになりました。テオ役の沢城さんの力も大きかったと思います。

プロデューサーを目指している方にアドバイスをお願いします。

森下氏
一言でいうとプロデューサーにも、様々なタイプや役割があります。現場中心のプロデューサーをやりたいか、対外的なことを中心のプロデューサーをやりたいかにもよって違ってきます。私は対外的なことが中心ですので、その話をさせていただくと、人との出会いが大切になってきます。今回の『ホッタラケの島』も関口さんとの出会いから始まっています。そのような出会いや、人との関係をいかにはりめぐらせるかが肝心です。出会いを考えるときに、今の立場に左右されがちです。損得勘定で考え、偉い人と付き合いたいと思うかもしれませんが、ついこの前まで一緒に仕事をしていた人が急に偉くなることもある業界です。ですので、自分と同年代や年下といかに付き合うかが大切です。昔一緒に仕事をした人が財産になって、次の仕事にも続いていきます。

3DCG、2Dの監督も経験し、実写の監督ともやりとりした演出家としてアドバイスをお願いします。

塩谷氏
スケジュール&クオリティコントロールをしっかりして、最終的なイメージを持ち、全体の進行を把握していくのが演出だと思います。また、『ホッタラケの島』の経験を話すと、これだけ時間がないと、間に合うだろうかという空気がどうしても出てくるのですが、スタッフを不安にさせないよう努めました。聞かれたことには戸惑わずに答え、元気よく話し、100人以上の人と細かくコミュニケーションをとりました。僕は2Dアニメーションから3DCGに入った人間なので、そこからうまれる発想もありました。一番時間がかかったのは色の部分です。実写から3DCGに入った佐藤監督はカメラのレンズにたいしてとてもこだわっていました。これは面白い発見でしたね。ですから、自分の興味のある分野だけでなく、色々なものを見たり知ったり、選択肢を狭めないことも大切だと思います。

(取材・原稿/小島千絵)

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