株式会社マーベラスエンターテイメント取締役が語る
“アニメを企画する”仕事
映画や出版など様々なメディアを扱っている高橋光輝教員のデジタルコンテンツ産業概論。この授業はゲストを迎えて授業が進んでいきます。今回ゲストにお招きした講師は株式会社マーベラスエンターテイメント取締役片岡義朗氏。アニメ作品のプロデュースやアニメ作品の舞台化についてお話いただきました。
アニメを企画するとは
売れるアニメを作るにはどうすればよいか、日々、企画が練られています。「企画を通す場は、誰でも1票を持っているという意味で民主主義であるべき」と片岡氏は言います。「通る企画はやはり経験値の差が出るため、新人の企画はなかなか通らないのですが、だからといってチャンスがないわけではありません。みなさんも希望を持って、自分の企画を通すために、たくさんの企画を考えてみてください」と、学生にエールを送ります。また、企画はアニメを制作に導くだけではありません。制作後、どのように展開させていくか、宣伝計画や販売計画を練るのも大変重要な仕事です。「DVDを何十回も見て良いところを見つけ、計画を練っていきます。最近では制作スタッフが現場のことを語るイベントが人気です。監督や声優に出演を交渉し、どのようなイベントに仕上げるかを考えていきます」こうした仕事を進めていくために、今、学生にも出来ることをアドバイスしてくださいました。「イベントを企画するのは大変な作業です。ですが、学生のみなさんが仲間内でイベントを企画するときと用意することは基本的に同じです。違いは発表するメディアが大きくなるという点ですが、こなすべき作業は同じなので、今から、たくさんイベントを企画してみることをオススメします。実際に、採用面接をする際には、履歴書で部活暦をよく見ます。その人がいかにリーダーシップを発揮してきたかを見るためです。また、履歴書だけでは分からない部分も多いので、面接で詳しく聞くようにしています」と、就職活動にも役立つ話を聞かせてくださいました。
アニメに幅広く携わる仕事
「アニメを“企画する”と一言で言っても、お金を集めるところからスタートし、発表するメディアを選び、キャスト選びにも参加し、製品化するときにはパッケージデザインにも携わります。最終的に収益を回収していくというのが1サイクルで、常に複数の企画が回っているのです。脚本やアフレコの制作過程にかかわって、自分の作りたい方向に流し込むのも大事な仕事です。自ら手を動かして制作するわけではない中で、自分で描きたい絵をみつけてくるというのは難しい作業です。ですから、普段から“演出をしたい”“絵を描きたい”という友達と一緒にいるといつか一緒に仕事が出来るかもしれません」このように、幅広い仕事があるそうです。自ら制作をするわけではありませんが、自分の思い描いた企画を、考えたとおりに進めていくための努力が必要だと教えてくださいました。
難しい声優選び
声優が作品に与えるインパクトは大きいので、キャスティングには気を使うそうです。「原作者の方で、キャラクターの声のイメージをもたれている方は多いです。それでも、やはり数多くの声優の声を聴いている方は少ないので、こちらから合うと思うキャスティングを提案していきます。この声優がこのキャラクターに合う!と強く感じたら、通すのもプロデューサーの仕事です」そんな中、難しい立場になることもあると話してくださいました。「最初、視聴者からの反応が悪いことももちろんあります。ですが、自分でイイと思ったら信念を通すべきです。絶対に分かってもらえると思っています」
ワンソース・マルチユース
片岡氏が語るキーワードに“ワンソース・マルチユース”という言葉が出てきました。意味は“一つのデータ(情報)を複数の目的やメディアで利用すること”です。どのような例があるのでしょうか。その例のひとつ、アニメの舞台化の話をしてくださいました。「優良コンテンツのマルチ展開をプロデュースしていくのも仕事です。その中で私が中心となって始めたのがアニメのミュージカル化です。現在、人気を博している『テニスの王子様』のミュージカルが有名ですが、アニメのミュージカルのさきがけとなった作品は『HUNTER×HUNTER』という作品です」この『HUNTER×HUNTER』という作品のミュージカルでは、主要人物の声を、アニメで声を当てていた声優陣がそれぞれの役をこなしているのが特徴です。「アニメの声優陣を選ぶ時点で、頭の中でミュージカルの構想はありました。ですから、できれば声優本人が演じられるといいなぁという思いも持ちつつ、キャスティングしました。そして、見事にキャラクターにもピッタリ合った方が声優陣に決定したため、ミュージカルの役もそのまま演じていただきました。結果、ミュージカルがアニメのファンの方にも受け入れられたのでとても嬉しかったですね」と笑顔で話してくださいました。
終わりに
新しいことを始める際には、風当たりが強いこともあります。ですが、その風に負けることなく、強い意志を持って、仕事を進めていくこと、そして常に新たな視点を持つことの大切さを教えてくださいました。将来アニメを企画したいと思っている学生も多く、授業後も質問が絶えませんでした。
(取材・原稿/小島千絵)















