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大学トップの中の学部・大学院の中の著名人の特別講義の中のメカトラックス株式会社の代表取締役社長 永里壮一氏

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メカトラックス株式会社代表取締役が語る
人型ロボットの研究開発と起業について

デジタルコンテンツの世界は、これまでの出版、新聞、映画、テレビ、ラジオ、音楽、ゲーム などのコンテンツ産業と、通信やコンピューターといったIT の世界が出会うところで、日々、新たな試みが行われています。杉山知之学長の「デジタルコンテンツビジネストレンド」では、現実社会の変化に対応して、常に現状のキャッチアップを行うという意味から、その時々において、適切なトピックを選定し、そのことについて実践または研究を行っている実務家または研究者などを招いて進められています。今回のゲストはメカトラックス株式会社の代表締役社長、永里壮一氏。メカトラックス株式会社はアミューズメント、ゲーム、エンターテインメント向け人型ロボットを研究開発している会社です。現在の製品の紹介や、課題などを通して、ロボットをコンテンツとしてどうみせるか、いかにエンターテインメントにしていくか、といった話をしてくださいました。

最近のロボット市場

永里氏
現在、人型のロボットキットは10万円を切るくらいの値段で、誰でも入手可能です。自分で組立てなくてはいけませんが、さほど難しいものではなく、ある程度パソコンを使える人であればカンタンに楽しむことができます。そういう意味では、ホビー用途レベルであれば、人型ロボットはもうそれほど珍しいものではありません。他方、ASIMO等に代表される高機能な人型ロボットは、非常に高度な技術がベースとなっていますが、具体的な仕事をこなすというよりは、技術デモンストレーションに特化したものが殆どです。現状、前者は大量生産による低価格化が進む一方、後者は多額の研究開発予算を持つ大企業・公的研究機関の独壇場であり、其々、我々のようなベンチャー企業が参入しづらい市場になっています。

“Robot to the Home”「ロボットを家庭へ」

永里氏
我々は、将来的には家庭で役立つロボットを作っていきたいという思いがありますが、人型ロボット分野に限っていえば、前述のとおり既存市場は魅力的ではありません。そこで、比較的高度(=高価格)なロボットを量産・販売できる市場を新規に創出できないものか、かなり試行錯誤しました。着想の鍵は「人型ロボットであることのメリット」を考え抜くことでした。機能性だけを追及すれば、人型であることに合理性はありません。現に、世界中、特に欧米のロボットは人型であることに全くこだわっていません。人型ロボットである最大のメリット、それは人型ロボットそのものが持つ「魅力」にあります。禅問答のようですが(笑)、人型ロボット好きで始めたビジネスではありますが、その「好き」を誘引させること自体が最大のメリットと考えたのです。「惹きつけられる」、「感情移入できる」こういったメリットを最大限に活かせると同時に、比較的高度(=高価格)な人型ロボットを量産投入できる規模を持つ市場は何か?我々の答えは、業務用アーケードゲーム機市場でした。
現在、アーケード(ゲーセン)市場は、家庭用ゲーム機の高機能化、レジャーの多様化などもあり非常に苦戦していますが、一方で、まだ年間2000億円ほどもある大きな市場です。そこに、ゲーセンでしか体験できない高機能ロボットゲーム機を投入することで、ビジネスチャンスがあると考えました。販売先(ゲーセン運用者)はビジネスユーザーですので、比較的投資余力もあります。更に、コンシューマービジネスでは困難な、稼動ルールの厳守も可能で、安全性も担保できます。人型ロボットが危険なことは、実はあまり知られていません。場所によっては全体重を支えるほど強力なモータが必要となりますが、このモーター(関節)が人を巻込んでしまったらと考えると、我々ベンチャー企業にとって、高度な人型ロボットのコンシューマービジネスは非常にハードルが高くなります。そこで我々は、このアーケード市場でビジネスユーザーを相手に技術・ノウハウを確立しながら、徐々に家庭向けのコンシューマー市場に参入していければと考えています。

起業にあたっての心構え

永里氏
戦略、ビジネスモデルももちろん大事なのですが、それらを実現する為のマネジメント能力、実行力がより重要だと思います。永続する判断、知性、見識などはありませんので、常に変化に対応することが重要です。じゃあ、起業に際して具体的に何を勉強すれば良いのかとおっしゃるかもしれませんが、まずは、経営者、もしくはそのチームの一員としてはじめることが大事です。経営者は母親みたいなものだとよく例えられます。女性も、子どもを産んで育てながら母親として成長していきます。同じように、最初から経営者として知識・経験・能力がある人なんかいません。少しずつ、経営者としてやっていきながら身についていくものだと思ってます。

本学でも起業をしたい、と考えている学生が多くいる中で、とても励みになるメッセージだったのではないでしょうか。
また、杉山学長から「数年続けていく中で、資金的に理解がある方の協力がないと、経営を続けていくことは難しいと思うのですが、いかがですか?」との問いがありました。その問いに対して「幸い、私たちは金融機関や大学、自治体から手厚い支援を頂いており、非常に感謝しています」との答えに、やはり、経営をしていく中で、自分のやりたいことと、人々が求めていることが一致することが大切だということが伝わってきました。みなさんも、ロボキャッチャーを見かけたら、ぜひ遊んでみてください。

(取材・原稿/小島千絵)

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