映画公開記念 監督・プロデューサーが語る
映画『ソラニン』ができるまで
浅野いにお原作の累計70万部を突破した大ヒットコミック『ソラニン』がついに実写映画化。今や国民的女優として活躍する宮﨑あおいと、注目の若手俳優高良健吾を主演に迎え、切なさあふれる新世代の青春ストーリーとして話題を呼んでいます。 デジタルハリウッド大学では、その映画『ソラニン』の監督を務めた三木孝浩氏とプロデューサー今村景子氏をゲスト講師として迎え、公開授業を開催いたしました。今回が映画初監督作品となる三木孝浩監督に、映画『ソラニン』の撮影舞台裏、映画の製作工程、作品の見どころなど、さまざまな視点から語っていただきました。
『ソラニン』を映画化しようとしたきっかけを教えてください。
今村プロデューサー:
発売直後に単行本を読んだ際に、号泣するほど感動し、この感動を伝えたい!とすぐに小学館に相談に行きました。まだ大ヒットする前でしたが、作家さんの圧倒的な才能を感じ、今後伸びていくだろうという将来性にも期待していました。
映画化におけるスケジュールはどのような進め方なのでしょうか。
今村プロデューサー:
どういった映画を作りたいかという企画を立て、映画に合ったスタッフやキャストに参加をお願いし、同時に製作費を集めることが仕事です。今回は原作がある作品でしたので、出版社に許諾を取りに行きました。編集とライツを担当している方とやりとりをし、原作者の浅野いにおさんにお会いできたのは許諾を得た後でしたね。かなり多くのオファーが入っていたそうで、他のプロデューサーからもやりたかったという声を聞きました。
三木監督は今回映画初監督ですが、以前はミュージッククリップ制作が中心でしたね。
三木監督:
はい。以前はソニーミュージックの映像制作セクションに在籍していました。ミュージッククリップだけでなく、アーティストのデビュー前から媒体向け用の映像を作ったり、ライブ映像を作ったりもしていました。ですが、ずっと映画制作がやりたいという想いがあり、声をかけて下さったのがとても嬉しかったです。
三木監督は原作『ソラニン』を読んでどう思いましたか?
三木監督:
浅野いにおさんの他の作品は好きで読んでいて、たまたま『ソラニン』だけ読んでいませんでした。ですが、お話をいただいてすぐに読んだら、音楽が題材になっている原作で親近感があるし、すごく感動したのでこれはぜひやりたい!と思いましたね。
キャスティングはどうやって選びましたか?
三木監督:
キャスティングに関してはプロデューサー陣と一緒にミーティングをかさねる中で23~24歳に近い年齢の俳優さんから探しました。誰があてはまるかを挙げていった際に、複数人声が上がったのが宮﨑さんでした。この年代の女優さんでダントツの演技力がある方ですし、今まで凛とした女性像を演じることが多かったので、どこにでもいるような女の子を演じるとどうなるんだろう?という面白さと、宮﨑さんの歌を聴いてみたいという興味もありました。
今村プロデューサー:
原作の持つ世界観を表現出来る人にお願いしたいと思っていました。やはり身近にいそうな女の子というのは演じるのが難しいので、演技力を持っている人であること、またギター演奏も本人が練習して歌ってほしいという思いがあり、宮﨑さんが役に入り込んでくださる方なので、彼女に芽衣子さんになってほしい!とオファーしました。
宮﨑さんの相手役となる種田役の高良さんはどのように選んだのですか?
三木監督:
声に魅了されましたね。プロデューサー陣から、良い若手の俳優さんがいると教えていただき『蛇にピアス』と『フィッシュストーリー』を見た時、映画から伝わってくるのは硬派なイメージでしたが、お会いすると本人がとてもナイーブで、とにかく声が良くて。フレッシュな感じも出したかったので高良くんにお願いしました。
バンド演奏は実際にキャストの方が演奏したのですか?
三木監督:
原作者の浅野いにおさんからの要望はそれほどありませんでしたが、キャストがきちんと演奏できる方がいいとおっしゃっており、同じ想いだったので、特に重要なリズム隊はベースにサンボマスターの近藤洋一さん、ドラムに桐谷健太さんをキャスティングしました。音楽ものだと、実際の音はプロが弾くパターンが多いのですが、宮﨑さんや高良くんにはクランクイン前にかなり練習してきていただいて本番の頃にはほぼ完ぺきに弾けていました。映画は順撮り(シナリオの冒頭から順を追って撮影する方法)が難しいのですが、宮﨑さんの演技に関しては最後のライブシーンにピークにもってきてほしかったので、助監督とスケジュールを組んでライブシーンを最後にもってきて、本当に出し切っていただきました。
初監督で感じたミュージッククリップと映画の違いはどこですか?
三木監督:
ミュージッククリップではアーティストや楽曲をより良くみせる宣伝ツールとして、一瞬でみんなを惹き付ける広告的な効果を考えて撮ることが多く、もっとかっこよく、きらびやかに、かわいく・・・とプラスしていく発想で作っていきます。映画の場合はひとつの軸となるストーリーがあって2時間の中でどうみせていくか、バランスが大切です。社会の波に乗れていない2人の生き様を描くにはよりかわいく、よりかっこよくという発想が出来なかったので苦労しましたね。ですが一方で、映画の現場では、撮影部、演出部、という並びで俳優部があり、キャストもスタッフの並列の中の1部なんです。物語・作品が一番にあって、より良く作るためにはどうしたら良いかをそれぞれのパートで作り上げていくというのがすごく新鮮でした。
映画プロデューサーとして大切にしていることを教えてください。
今村プロデューサー:
最初から最後まで作品という子供を生み出して世に出すところまで見ているのがプロデューサーです。最終的にどんなお客さんに届けたいかを考えるところが、立ち上げに繋がると思います。そしてその成長の道のりを一緒に歩んでくれる人を集めていきます。50人を超えるキャスト、スタッフみんな同じ方向を向いていないといけないので、コミュニケーションが一番大切だと思います。
監督として大切にしていることを教えてください。
三木監督:
現場が楽しくあること、ですね。モチベーションを高く持ってもらうことがいい作品を作るうえで大事なことなのではないかと思っています。一人が崩れることで全体が崩れてしまいます。みんなのモチベーションを高め、現場の空気を大事にしています。
最後に映画監督を目指している学生へメッセージをお願いします。
三木監督:
自分の作品が世に出たときに、本当に感動するんです。自分の作ったものが街中で流れ始めて、色々な人から反応を聞いたときの感動は素晴らしかったですし、自分の作品が影響を与えることが出来るのではないかという可能性を感じます。みなさんにもぜひその感動を得てほしいです。
(取材・原稿/小島千絵)















