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守屋監督が語る、映画『シーサイドモーテル』ができるまで

映画『シーサイドモーテル』の監督・守屋健太郎氏をお迎えし、デジタルハリウッド生限定の試写会と監督によるメイキングセミナーを開催いたしました。エッジのきいたスタイリッシュな映像、音楽、緻密な構成があいまった独特の作品世界を作り出す映画監督、守屋健太郎氏の最新作『シーサイドモーテル』は、生田斗真、麻生久美子、山田孝之、玉山鉄二、成海璃子をはじめとする豪華キャスト陣が繰り広げるアンサンブルストーリーとなっています。原作は岡田ユキオが別冊漫画ゴラクで連載していた人気漫画を実写映画化し、公開前から話題を呼んでいるこの映画。今回、守屋監督に撮影舞台裏、映画の製作工程、作品の見どころなど、さまざまな視点から語っていただきました。

この作品を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

私はTV制作会社に属し、日ごろはミュージックビデオや番組のタイトルバック、CM、深夜ドラマなどを制作しています。以前に一度『スクールデイズ』という映画を制作しましたが、それ以来映画からは離れていました。そんなときに、漫画ゴラクに連載している漫画『MOTEL』に出会いました。まず目に入ったのが原作の帯に書いてあった「周りは山ばっかりで海なんてどこにもないじゃん」というセリフでした。海がないのにシーサイドモーテルという設定に、なんてシャレの効いた話なんだ!とそのひとネタにとても惹かれてしまったんですね。読んでみたらまさに自分のやりたい群像劇。この題材なら名前と内面が伴わない、大切な何かが欠落している、そんな人たちの物語を描けると思い、映画にしようと思ったんです。

キャスティングについて聞かせてください。非常に豪華なキャストですよね。

生田さんはバラエティの仕事で面識があり、舞台も経験しており演技がうまいなぁと感じていました。今回、心の声がよく出てくるのですが、相手が居ながらにして1人芝居になる演技を成立させられる役者さんはなかなかいないですが、生田さんはそのあたりが非常にうまいので、これは彼しかないと感じましたね。麻生さんは私自身非常に好きな女優さんであり、いつか一緒に仕事をしたいと思っていた方でした。また、一番動きが少ない部屋での演技で、二人の会話劇だけで成立させられる人であり、ユーモラスな部分も非常にチャーミングにこなしてくれる方だと考えてお願いしました。

映画を作っていく上で苦労した点はどんな部分でしたか?

脚本は30回くらい書き直したのではないかと思います。脚本は柿本流さんと2人で書いているのですが、往復書簡のような形でメールをやりとりして作っていきました。普段、PVでは爆発などの大きな仕掛けを使って作るのが好きなのですが、衝突や爆発で感じる“すごい”と、良いセリフや良い物語で感じる“すごい”は観客にとっては等価です。今回の作品も多少は衝突のシーンもありますが、良いセリフ、良い物語になるように力を注ぎました。良い脚本があって初めて良い役者さんが出てくれます。設計図が歪んでいると家が歪んでしまいますからね。良い設計図を書いて、良い大工さんに集まってもらい、良い家を作ろうと思ったんです。

原作者の意見はありましたか。

実は原作者の方の意見はゼロなんです。編集者の方が過去に監督をした『SCHOOL DAYS』を気にいってくれており、話を通してくださったのが大きいですね。そして原作者の岡田さんが映画好きで、原作に縛られると映画としてよくならないと考えてくださる方だったので、好きにやらせてくださいました。原作のキャラクターはもっと若いのですが、人の持っている影の部分を強調するために年齢を上げるなどキャラクターを変更させてもらいました。

コンテは描きましたか?

CMやPVではクライアントに説明をするためにコンテは必ず描かなければいけません。今回の映画に関しても、事前に厳密なカット割りを作っていたのですが、実際に役者さんに動いてもらうと、自分の頭の中で考えたものよりずっと豊かな動きや表情を見せてくれるんですよ。ちょっとした言い回しでどんどん面白くなっていく。そんな中で、自分のカット割りにムリに役者さんを納めてしまうのはもったいないと感じ、自分のカット割りを1回捨てて、ライブ感を大事にした新しいやり方で撮っていきました。

カット割りは多く撮影期間は短かったと聞きましたが、それを可能にしたのは何ですか?

やはりチームワークです。20代のころはなんでも1人でやりたいタイプでした。そんな1人で自分の世界を作っていく面白さから、30代になって、色々な人のアイデアをもらって変えていくということが楽しいと思うようになりました。色々な仕事を通じて知り合い、本当に僕が信頼できる人たちが集まったというのが今回のチームでした。

後半は学生からの質問に守屋監督が答えてくださいました

作る時に切羽詰まるようなことはありましたか?

人材と予算と時間の制約が必ずある中で、どういうバランスで自分の描きたいものを作るのか、という割り振りを自分の中で考えていきました。4つの部屋で起こった出来事を描いた映画ですが、予算などの関係で1つの部屋の内装を作り変えて撮影していきました。自分が何にこだわっているのか、ということをみんなに伝えるということが監督の仕事だと思います。どうしても海外で撮りたいシーンがあったのですが、予算的には国内。ですが、みんなが憧れる場所として描きたいシーンだったので他のところを削ってでも海外まで行きましょう!と、できる限りスタッフを少人数にすることで海外での撮影を可能にしました。

どういう気持ちで撮り始めましたか?

学園祭やお祭りのような気分で楽しかったです。普段は映画を撮っていないので、自分の企画で映画を撮れるというのはとても嬉しいことでした。映画を撮りたいんです、と声をかけると、みんな「映画が撮りたかった」「声かけてくれるのを待ってたよ」と言ってくださり、みんながやりたい、という気持ちが1つになっていく感じがありました。スタッフは皆さん日本映画界で活躍されているすごい方ばかりなのですが、そんな方たちが、心意気で良いよと言ってくれる、それだけでありがたかったです。自分が頭の中で描いているものがどんどん豊かになっていくのは、寝る暇はなかったですが、とても幸せでした。

最初に映画を撮ることになったきっかけはなんですか?

20代には物語には興味がなく、最新の機材や、CGのソフト、映像のギミックに興味がありました。どうやったら格好いい映像が作れるのかばかり考えていましたね。ですが、そういう流行りは3年くらいするとすたれてしまいます。しかも、若い人がどんどん新しい感性で作ってくるので、自分はどうしたらいいのだろうと思ったとき、良い物語は100年たっても色褪せることはないと気付いたんです。自分が年をとっていく中で人間を描いていきたいと思いました。そのときから、全然観ていなかった映画もたくさん観るようになり、物語って本当に面白いなあ、と感じるようになりました。そう思ってこの10年くらい映像に携わってきて、今回2本目の映画を撮れて本当に嬉しいですね。

他の映画を見るときに気をつけていることはなんですか?

映画を見ていて自分が素に戻る瞬間があるかどうかを見ていますね。「そんなことないだろ」と思う瞬間がなく、最後までのめり込める映画かどうかを気にしています。最後までテンポ良く見せ切りたいというのは、こんなこと起きないよ、と思わないで楽しくどっぷり映画の世界にはまりました、となれば成功だと思っています。今回の『シーサイドモーテル』も全体のテンポ感にこだわって撮りました。ラブとかエロティックとかコメディとかサスペンスなどのさまざまな要素を盛り込みつつも、何を描きたかったの?という散漫な印象にならないようにバランスをとるのが大変でした。

映画監督になりたいと思っている学生に、監督になるためのアドバイスとメッセージをお願いします。

やりたいことがある、ということが一番大切だと思います。これがやりたい!とたくさんの仲間を引き込んで、自分の気持ちを訴えることが大切で、自分がこういう世界観にしたい、ということを周りのカタチにしてくれる人たちに伝えることが仕事です。ぼくは普段は口下手で伝えるのは苦手なのですが、熱意があればやりたい想いが伝わります。後は、映像が好き、というのが大前提ですね。好きな人が集まっている現場なので、自分にとって一番楽しいことが映像という人が続けていける仕事だと思います。

最後に守屋監督を囲んで、記念撮影が行われました。

学生からの質問にも最後まで丁寧に答えてくださった監督。将来映画に携わる仕事をしたい学生たちの励みになったようです。ありがとうございました!

映画『シーサイドモーテル』は、6月5日(土)より新宿ピカデリーほか全国ロードショーです。
シーサイドモーテル公式サイト:http://seaside-motel.net/

(取材・原稿/小島千絵)

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