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『東京オンリーピック』 DVD発売を記念してクリエーターズトークを開催!

唯一無二のヴァーチャル・スポーツ競技大会である 『東京オンリーピック』 。日本、アメリカ、イギリス、アルゼンチンという各国のクリエイターが、架空のスポーツ競技を映像化し、オムニバス形式で収録した作品です。本作品のDVD発売記念として、『東京オンリーピック』 総監督を務めたデジハリ卒業生真島理一郎氏、『巨大相撲』 を手がけたP.I.C.S.の中尾浩之氏、 『男子ヒューマニズム』 を制作した現役デジタルハリウッド大学生の澤田裕太郎さんに 『東京オンリーピック』 制作秘話や作品づくりの極意、企画の発想法など、ここでしか聞けない話を伺いました。

『東京オンリーピック』 制作のきっかけ

真島さん:前作『スキージャンプ・ペア*1 を観て下さった方から、他の競技も観たいという声をいただいていたのですが、二番煎じになると思って僕はあまり乗り気ではなかったんです。しかし、企画を考えているときに様々なクリエイターがそれぞれひとつずつの競技を担当してオムニバスにするというアイデアが出て、それなら自分には出せない面白さが出せるかな、と思って 『東京オンリーピック』 の企画をスタートしました。僕はロサンゼルスオリンピック以来どんどんエスカレートしている商業オリンピックをちょっといじりたいという思いから、どうしても開会式が作りたくて。CGなら何でも出来るなぁとやりたい放題、間違った形でエスカレートした開会式を描きました。でも意外と火薬の量でもなんでも、CGより北京オリンピックのほうが上でしたね(笑)そういう意味でもCGだけで大会場で4年に1度の祭典というスケール感を出すのは苦労しました。

—続いて、『東京オンリーピック』 に収録されているそれぞれが監督した各競技の作品について、実際の映像を流しながらご解説いただきました。

真島理一郎監督 『男子親離れ』 について

真島さん:8カ国の選手が、母国語でそれぞれ 「お母さん」 と叫びながらお母さんを投げて親離れをするというしょうもない競技です。 『スキージャンプ・ペア』 では、飛んだ時のポーズの面白さを出そうとしていたのですが、今回は投げる姿や投げた後のお母さんの姿勢はシンプルにしました。見せたかったのは投げた後の、いい大人がお母さんと叫ぶ恥ずかしい姿だけなんです。競技前に流れる、親子の思い出のスライドショーもすべてリアルなんですよ。選手の本当のお母さんです。オーディションの条件が “お母さんとの思い出の写真を提供してくれる人” でした。

中尾浩之監督 『巨大相撲』 について

中尾さん:僕はスケールの大きいのがとにかく好きなんですよ。そして日本らしいものがいいかなぁと思って相撲にしました。映画館でやるということもあって、大画面に耐えうる、超大作を作りました。背景はCGで、人物はブル-バックで撮り、それを後でコンピュータに取り込んでアニメっぽくする、独自に考えた 「ライブメーション」 という方法で制作しました。

真島さん:オンリーピックはオンリーピクチャーズという意味なので、様々な手法を使った映像をそろえたかったんです。そのため中尾さんにもオリジナル技法で制作してください、とお願いしました。

澤田裕太郎、真島理一郎 共同監督 『男子ヒューマニズム』 について

真島さん:一緒に映像を作るきっかけとなったのは、僕が澤田くんの作品 『じゅうじん』*2 を気に入って、ぜひ共同で作品を作らないかと誘ったんです。打ち合わせをしているときに、澤田くんが 「これで何かできませんかね?」 と市販の人形を持ってきてくれて、この人形を壊したい!そう思ったのが今回のパペットアニメーション 『男子ヒューマニズム』 のスタートでしたね。

澤田さん:人形の会社まで行って 「壊させていただきます」 と挨拶したんです(笑)真島さんがボーリング好きだったので、ボーリングに見立てた作品にしました。コマ撮りで撮ったアニメーションです。大学の制作スタジオにこもって1ヶ月間で作りました。アニメーションは1人でやったのですが、事前準備が大変でした。セットは真島さんが設計してくれて、デジタルハリウッドの生徒さん5人くらいにボランティアで手伝ってもらいました。

真島さん:ボーリングのレーンをひとつひとつ張るのが大変でしたね。人形は、裏に鉄板をうちこんで磁石でくっつけて立たせています。大きな人形はだいたい20センチくらいで、40体。日本選手もアメリカの選手も全部澤田くんの顔なんです。横に伸ばして張るとちょうど澤田くんになるんですよ。

—実際に映像を見て、こんな面白い映像を自分でも作ってみたい、そう思った方々も多かったと思います。ゲストのみなさんは映像クリエーターになるために、どんな道を歩んできたのでしょうか。

それぞれが歩む、クリエイターへの道

真島さん:3DCGは未経験だったので、技術を集中して学ぼうとデジタルハリウッドに1年通いました。技術では僕よりうまい人は沢山います。それでも勝負したいという気持ちがありましたね。技術ではないところで勝負して、ネタでうまく作品を作れないかな、と考えました。デジタルハリウッドの卒業制作で作った 『スキージャンプ・ペア』 も最初に人を1体作っただけなんですよ。顔は課題で生まれて初めて作ったCGで、表情も変わりませんし、色を変えるだけで各国の違いを出しました。それでも、ここで終わらせたくない、長編をやりたい、と夢のように思い脚本を書いたんですね。それを実現させるために2003年から2006年まで色々なところに持ち込み、映画化したいことを伝えたんです。そしてavexさんと東宝さんが目をつけてくださって映画化しました。僕の原点です。

中尾さん:自主制作映画世代の僕は、小学校時代に初めて8mmフィルムに触れ、映像作品を作るようになりました。中学も高校も映画を撮っていて、大学に入ってやっとビデオが出てきました。しかし映画を作るには助監督から入るとか、シナリオでコンテストに入賞するとか、高い壁があったんです。しかし近年、自分でスタッフを集めたり、資金を何億と集めたりということをやらなくても、自分のペースで、自分のイメージどおりに作ったものを市場に出せる時代になったんです。これから映像を作ろうとする人はうらやましいですよ。作りたいものがあったらすぐに作れるし、見せる場所も映画やテレビだけではなく、Webで配信するなど多様化していますからね。

真島さん:確かに以前は、映像を作るだけでお金もかかるし、人に見せるところで一番お金がかかりましたよね。それが今ではタダ。澤田くんの 『じゅうじん』もデジカメで撮っているんですよ。それまでコマ撮りだって敷居が高くて20万ぐらいする機材が必要だったのに、制作費1万円くらいで作れるようになったなんてすごい時代になりましたよね。 『じゅうじん』 は課題でもなんでもなく趣味で作ったやつをデジタルハリウッドのイベントに出していて、僕の目にとまったんです。そうやってどんどん出していけば誰かの目に触れますよ。僕もよく『スキージャンプ・ペア』 に関して皆さんから「思いつくだけではなく、実際にちゃんと形にしたことがよかった」 と言ってもらったんです。アイデアをストックしておくのはもったいないので、形にするのが重要かもしれないですね。

—「アイデアを形にすることが大切」 というキーワードが出たところで、真島さんから中尾さん、澤田さんのお二人に 「アイデアはどのように思いつきますか?」 という質問がでました。

アイデアはあらゆるところに溢れている

中尾さん:僕はアイデアに困ったことはないですよ。やりたいことが100ぐらい控えているんです。この場でもアイデアは生まれていますよ。打ち合わせや今の雰囲気、お客さんがここに来る道中を想像するだけでネタになって、後は今一番興味がある大きなテーマをぶつけると、ひとつの作品に仕上がるという感じです。

澤田さん:僕は突然思いつきますね。漫画や小説を読んだり、映画を観たりしていると、マネをするというわけではないのですが、影響を受けます。

真島さん:マネではなく影響を受けるというのは分かります。僕はありものをまたべつのありものと結びつけて何かを生み出すのを得意としているんですよ。だからいろんな作品を観ますね。CGをやりたい人ってCG作品をよく観ると思うんですけど、CG以外の作品も観て欲しいですね。実写、映画、舞台、音楽と様々なものに触れてそういうところからいろんなアイデアが生まれると思うんです。ヒントが街中に溢れていると思うので、あんまりCGだけに偏らないでやっていくのもひとつの手かなと。CGのことがよく分からなくても、分かっている人たちとやればいいですし、自分の一番得意とするところを伸ばしていけばいいと思います。

—個性的な作品がそろう 「東京オンリーピック」 。アイデアは日々の生活の中から生まれているようです。アイデアを詰め込み、それぞれの得意分野で作り上げた作品の数々を、ぜひご覧になってください。そこから皆さんにもアイデアが浮かんでくるかもしれません。

(取材・原稿 小島千絵)

*1『スキージャンプ・ペア』 真島理一郎氏によるデジタルアニメーション。 2人の選手が1組のスキー板を使ってジャンプし、空中で荒唐無稽な技を繰り広げる架空のスポーツ。
*2『じゅうじん』 澤田裕太郎さんが制作したパペットアニメーション。 TV番組 『天下統一CG将軍』 (BSジャパン)で審査員特別賞を受賞。

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真島理一郎
『東京オンリーピック』総監督 / 「開会式&閉会式」監督 / 「男子親離れ」監督 / 「男子ヒューマニズム」共同監督
デジタルハリウッドにて3DCGを学ぶ。同校の卒業制作 『スキージャンプ・ペア」 がアヌシー国際アニメーション映画祭など世界30ヶ国以上で受賞上映し、avexよりDVDリリースへ。シリーズ売上累計は50万枚を突破。今回、満を持して本作の総監督を務め、国内外のトップクリエイターを集結させた。

【関連作品】
「スキージャンプ・ペア」オフィシャルDVD 発売元:エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ
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澤田裕太郎
「男子ヒューマニズム」共同監督
デジタルハリウッド大学在籍の現役学生。自称・軟体造形職人としてクレイ/パペットアニメを手がける。デジタルクリエイターズコンペティション2006で優秀賞を獲得するなど、今後の活躍が期待されている。
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中尾浩之/P.I.C.S.
「巨大相撲」監督
'00年カンヌ広告祭におけるニューディレクターズショーケースで世界の新人監督8人に選出。国内外で数々の受賞歴を誇る気鋭の映像ディレクター。代表作:「ZERO」「スチーム係長」「trainsurfer」「昭和ダイナマイト」「タイムスクープハンター」。

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