2008年度 第3回 教員研修レポート
3月13日、08年度第3回のデジタルハリウッド大学・大学院合同の教員研修が開催されました。 教員研修とは、大学・大学院の理念・目標や教育内容・方法の普及、ならびに教員の教育力・指導力を向上させるために実施している研修のことです。本学では年間3回実施しており、今回は今年度最後の教員研修でした。
-「Faculty Development(FD)」とは
今、大学・大学院業界では、Faculty Development(ファカルティ・ディベロップメント。以下、FD)にどのくらい取り組んでいるかということがたいへん注目されています。
FDとは「大学・大学院教員の教育力を高めるための実践的方法」のことで、大学・大学院の授業改革のための組織的な取り組み方法を指します。本学でもFDに積極的に取り組むため、杉山学長や本学のCLO (Chief Learning Officer:最高教育手法責任者) である羽根拓也教授のほか、FDに関して造詣の深い数名の本学教員で構成された 「FD委員会」 を立ち上げ、教育力を高めるための施策を検討・実施するなど、日々FD活動に取り組んでいます。
まずは、昨年度のFD委員会で定めた、授業の方向性の基盤となるミッションを復習しました。 デジタルハリウッド大学・大学院が掲げたミッションは 『すべてをエンタテインメントにせよ!』 と 『Digitful World』 の二つです。この二つのミッションについて、学長の杉山より説明がありました。
-『すべてをエンタテインメントにせよ!』
現在、デジタルコミュニケーションでモノをきちんと伝える力は、全産業界が必要としています。そして人間それぞれが幸せで、楽しく、そして自分らしく人生を全うする権利があるという考えから生まれたのが 『すべてをエンタテインメントにせよ!』 というミッションです。学生がどんな業界へ進んだとしても、ここで学んだ能力で、すべてをエンタテインメントにしていってほしいという想いが込められています。先日の卒業制作展のテーマとしても掲げられたこの 『すべてをエンタテインメントにせよ!』 。学長は、学生の卒業制作作品から自由な気持ちを感じとることが出来、感動したといいます。この自由な気持ちを持って社会に向かい、そして、世界をエンタテインメントにして欲しい、と改めて熱弁をふるいました。
-『Digitful World』
『Digitful World』は杉山学長の造語です。Web、ゲーム、映画、ケータイ、広告、動画など、デジタルコンテンツは今や私たちの生活には欠かせないものとなりました。デジタル化が普及した今、デジタルコミュニケーションが人間社会の中心となる新たな世界がはじまります。その世界はWonderfulで、Powerfulで、Soulfulで、Beautifulな世界、それこそが 『Digitful World』 なのです。 本学ではこれらのミッションを掲げ、デジタル技術とそれを生かす方法を教えることによって、学生が夢を実現させ、デジタル社会で自分らしく生きていけるよう指導しています。
-ティーチングシェアリング

後半にはティーチングシェアリングが行われました。ティーチングシェアリングとは、本学教員のうち1名が、本学の他の教員に対して30分程度の模擬授業を行います。学生役の教員は、まずは学生視点で授業を受けます。終了後、授業の検証を行ってから模擬授業を行った教員、ならびに学生役の教員双方の指導方法を話し合い、共有することで、教育力の向上を図っています。 このように研修の間に何度も話し合いがもたれるのも本学の教員研修の特徴です。今回の研修も本学のCLOである羽根教授が司会を務め、グループワーク、Lite(learning and Teaching)といった羽根教授の担当科目「アクティブラーニング」の手法を取り入れて進行し、“個人知” を “集合知”に昇華させ、知識の定着化を図りました。
-「デジタル作画演習」 模擬授業
今回の模擬授業の担当教員は来年度より授業を担当される 「デジタル作画演習」 担当の小和田良博先生です。小和田先生は東映アニメーション株式会社にて液晶ペンタブレット作画インストラクターをしており、ご自身の手がけた原画は 『侍ジャイアンツ』 『鉄腕アトム』 他多数。作画監督担当として 『ドラえもん』 『タッチ』 など学生が親しんできた作品を多く手がけられています。T Vアニメーション作画30年以上の豊富な経験を活かし、本学でも教鞭を執ることとなりました。今回はその授業で使用する、アニメ制作プロ用ソフトウェアツール 「RETAS STUDIO」 を、実践を交えて紹介してくださいました。ペンタブレットを使うことにより、感覚的に描くことが出来るだけでなく、アナログだと不可能な修正がいくらでも可能となり、作業効率があがることが小和田先生のスラスラとすべるペンの動きからも見て取れました。楽しいアニメーションを作っていってほしい、と語る小和田先生。4月からの授業にも注目が集まり、他の教員から授業の進行について質問が出ていました。全15回の授業の中で、レイアウトの勉強から始まり、原画、動画を描いて、アニメーションの動き全体を完成するという授業の流れだそうです。現在のアニメ界で活躍するために重要な技術を身につけることが出来る 「デジタル作画演習」 は、特に留学生からのニーズが多く、日本でデジタル技術を学んで、母国に帰って活躍するという道も踏まえているのです。
-アニメコースについて

小和田先生の模擬授業後、今年度より導入された “アニメコース” について国際アニメ研究所副所長高橋光輝先生から説明がありました。 アニメコースでは、アニメ作り全体を通した授業展開をし、作画、原画、動画、そしてシナリオなどを学んでいきます。その他に、どういう歴史を歩んできたかなどメディア史に当たる部分や、海外にどう展開させるか、グッズはどう展開させるかなどプロデューサーの立場も学びます。完全デジタル制作に対応した 「実制作力」 と 「ビジネスとしてのアニメ」 を総合的に学ぶ、21世紀の日本アニメを担う人材を育成するカリキュラムになっていると説明がありました。
-2008年度を振り返って

最後に、今年度最後の教員研修ということで1年を振り返り、自らの授業の良かった点、悪かった点、そして改善点を挙げるグループワークの時間が持たれました。グループワークは盛り上がりを見せ、来年度から本学で授業を担当される先生も含めて、デジタルハリウッドのミッションを共有することが出来た有意義な時間となりました。
(取材・原稿 小島千絵)















