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【開催レポート】THINK FROM Web3.0 赤澤 直樹先生による特別講義「Web3.0とDAOが突きつけるコミュニティのサイズ。」

【開催レポート】THINK FROM Web3.0 赤澤 直樹先生による特別講義「Web3.0とDAOが突きつけるコミュニティのサイズ。」

開催日時

2022年1月23日(月)19:30~21:00

場所

Zoomオンライン中継

【開催レポート】THINK FROM Web3.0 赤澤 直樹先生による特別講義「Web3.0とDAOが突きつけるコミュニティのサイズ。」

サステナブルな企業のあり方、事業の構築を再考する特別講義「THINK THE SIZE.」。全5回の共通のテーマは、未来を見通すためのひとつの視点である「サイズ」です。2023年1月23日に実施された「THINK FROM Web3.0 Web3.0とDAOが突きつけるコミュニティのサイズ。」では、Fracton Ventures 共同創業者&CTOの赤澤 直樹先生が登壇しました。

インターネット黎明期のWeb1.0時代、巨大IT企業が利益や情報を独占しているWeb2.0時代、そこから脱却しインターネットを分散型の社会にしようとしているWeb3.0時代。そのカギを握るのが、ブロックチェーンやDAOだと赤澤先生は言います。では、Web3.0やブロックチェーン、DAOとは一体何なのでしょうか。この記事では赤澤先生の特別講義をダイジェストでお送りします。

本講義は、Zoomによるオンライン中継で実施しました。

赤澤直樹Akazawa Naoki
Fracton Ventures 共同創業者&CTO/MetaTokyo株式会社 CTO

2016年からフリーランスエンジニアとして活動を開始。機械学習やブロックチェーンを利用したアプリケーションの企画設計開発を行う。2019年からはブロックチェーン人材を育成する株式会社FLOCで講師やカリキュラム開発を行う。2018年から国外のコミュニティを中心に、トークンエンジニアリングの発展・普及にコミットしている。2021年1月末にはFracton Ventures株式会社を共同創業。同社でWeb3.0社会、DAOの普及・到来に向けて啓蒙を含めた活動を行う。

Web3.0とは、インターネット史における最新のフェーズ

本講義のキーワードであるWeb3.0とDAO。そこを深掘りする前に、まずは土台の知識から赤澤先生は解説しました。

そもそもインターネットの歴史は古く、第二次世界にまでさかのぼります。大戦時に軍用コンピューターが使われ、終戦後その数は増えていきました。1990年代には各地のコンピューターをつなぎ、集合知として活用するためにワールドワイドウェブ(WWW)というシステムが誕生。世界に広がる情報通信網としてインターネットが普及し始めました。

さらには、HTMLやCSSなどの、人とコンピューターをつなぐ言語も開発され、利便性が向上。それにより、コンピューターは技術者だけのものではなくなります。これがWeb1.0の時代です。

インターネットが世界中で使われるようになった結果、あらゆる情報がオンライン上にあふれます。「より効率的に情報を探索したい」。そんなニーズに応えるために、検索エンジンであるGoogleやヤフーなどが登場。2010年代には、FacebookやTwitterなどの相互にコミュニケーションができるアプリも登場し、人々はインターネット上に長い時間滞在するようになりました。ここまでがWeb2.0です。

そして現代はWeb3.0の時代。赤澤先生は「Web2.0と大きく違うのは、インターネット上で情報の真偽を検証できる点です。Web2.0では人が集まっている中央に事業者がいて、データをごっそり持っています。そのため事業者が持っているデータが嘘か本当か、外部の人間が知る術はありません。しかしブロックチェーンという技術によって、誰もが管理者になり、データの真偽を確かめられるようになりました。今は歴史の転換点にあるのです」と主張しました。

また赤澤先生は、Web3.0の根幹のシステムであるブロックチェーンについても補足します。

「ブロックチェーンは日本語で分散型台帳と訳されます。ノードと呼ばれる世界各地のコンピューターが取引データ(ブロック)を記録し、それをオープンなネットワークで分散して管理しているのです。たとえばビットコインの場合、2022年時点で約16,000のノードが点在しており、そのノードの持ち主が取引データを記録、更新し続けています。」

DAOとは新しいコラボレーションの形

基礎知識を確認した後は、本講義のメインテーマであるDAO(Decentralized Autonomous Organization)に話が移ります。

DAOとは自律分散型組織のことで、Web3.0時代を代表する組織のあり方として、近年注目を集めています。「DAOの本質は、中央に人が介在しておらず自由にコラボレーションができることです」と赤澤先生は主張。

DAOは、トップが組織を支配しているようなピラミッド型の組織でもない。中央に人がいて、細かいマネジメントをせずとも個々の裁量で動くような、ティール組織と呼ばれるものでもありません。中央にいるのは人ではなく、ブロックチェーンというシステムがあるだけ。組織の管理者を気にすることなく、DAOに参加している人は自由に活動できるのです。

またビットコインのような暗号資産と同様、ブロックチェーン技術を採用しているため、DAO内のやり取りや取引履歴を誰でも閲覧することが可能です。その透明性の高さや新しい組織構造であることから、DAOは評価を受けているそうです。

DAOはさまざまなフィールドで活用されている

DAO内では個人が自由に活動できますが、決して無秩序ではありません。DAOを設計するうえで重要なのは「自分たちが作りたい世界から逆算して、こんな報酬で人々の行動が調整されるだろうと設計すること」だと赤澤先生は主張します。

DAO内で流通するのは米ドルや円などのお金だけではなく、暗号資産やNFTなど価値を測れる“トークン”が使用されています。トークンの切れ目が縁の切れ目であり、そこは現実世界と何ら変わらないのです。

このトークンという考え方を活用して、現在はさまざまなDAOが試行錯誤しながら活動しているそうです。

たとえば、投資を目的としたDAOでは、個人がお金を出し合ってNFTアートや株式を購入します。お金以外の価値として、トークンを一時的にDAOが保有し、購入時よりも価格が上昇したところで手放して利益を分配。何を買うのか、いつ売りに出すのか、投票で意思決定するDAOが多いと言います。

さまざまなDAOが増える中で、DAOに関連するツールへのニーズも増えます。財務管理や報酬の調整、投票システム、コミュニケーションができる場所などをDAO専用のプログラミングコードで作らなければなりません。そこで「Aragon」という、DAOが構築できるサービスが登場します。

「Aragon」のようなツールさえあれば、最低限の環境が整えられることから、DAOに対する敷居が低くなっていることを赤澤先生は強調しました。

Web3.0が導く、未来を見据えたキャリア

ここまで赤澤先生はWeb3.0やDAOについて解説しましたが、DAOに直接関わろうと思ってなくても、これからのキャリアを考えるうえでDAOは良い題材になるのだそうです。

「DAO」は馴染みのない言葉かもしれませんが、結局は人の集まりです。どうやったら人が集まるのか、集まった人たちが熱狂するにはどんな仕組みにすれば良いのか、どうやって意思決定をすればいいのか、投票する際ひとり1票という考え方は本当に適切なのか。テクノロジーや政治、経済などの観点から総合的に考えられなければ、DAOは成立しません。

「Web3.0の時代で重要なのは、すべてをひとりでやろうとしないこと。僕たちが会社全体でWeb3.0やDAOの普及に取り組んでいるのは、ひとりの力では解決不可能だからです。そのため、DAOについて考える際には、個人が自分の得意分野を見つけ、当たり前のことを当たり前にできることが必要になります。それらが前提にあることでDAOが活性化し、個人ではできない大きなことが達成されます。仮想のDAOを設計し、どんなコラボレーションが起きそうかを考えることで、今後のキャリアが見えてくるかもしれません」と、赤澤先生は話しました。

イケているDAOは、個の利益と全体の利益が一致している

講義終盤に差し掛かり、質疑応答の時間へ。

「ブロックチェーン自体はデータの改ざんが実質不可能なことから、比較的性悪説をベースに構成されていると思います。また現実の経済社会も性悪説がベースになっていると思います。一方で個人の裁量が大きいDAOの場合は、性善説がベースにないと成り立たないように感じます。そのためDAOは、小さいコミュニティでしか成り立たないのでしょうか」

この質問に対し赤澤先生は、そもそも悪さをすることが個人的なメリットにならないようDAOを設計することが重要だと主張。

「結論から言えば、大きいサイズのDAOを作ることは不可能ではありません。規模の大きなイケているDAOというのは、報酬を設計する段階で個人の利益とDAO全体の利益が一致するようにしています」

加えて赤澤先生は、報酬の設計が成功した例としてビットコインを紹介。共存共栄の関係性こそがDAOの理想の形であることを伝えました。

「ビットコイン経済圏は、世界で最も大きなDAOのひとつです。ビットコインの取引履歴を管理することをマイニングと言うのですが、そのマイニングの報酬がビットコインなのです。仮に報酬が米ドルだった場合、ずるをしてでも稼ごうとして不正を働く者が現れるかもしれません。しかし、ビットコインを報酬にしたことで、ビットコイン経済圏の信頼度と自分の資産価値は連動するようになります。そのため、参加者は勤勉な行動をしなければならないのです」

DAOについて考えることで、未来を見通せるようになる

ほかには「魅力的なDAOの場合、最初に加入した人だけが潤って、次の世代が入るにはハードルが高くなるのでは?」という質問も届きました。

赤澤先生は「たしかに、先行者利益を得られるDAOもあります。あるDAOでは一定数のトークンを保有していることが参加条件で、そのトークンの価値が初期よりも上がっており、後発組の参加は難しい状況にあります。その一方で、次世代に向けてお金をプールするDAOもあるため、新規メンバーにも門戸が開かれているDAOもあります」と回答。

理想のDAOを作るためにどう設計すべきか、先生自身も試行錯誤している最中だそうです。しかし、独自の世界観を設計するのもDAOに関わる醍醐味のひとつだと言います。

最後に、未来を見通すための道具としてWeb3.0やDAOを紹介し、特別講義は終了しました。

「Web3.0やDAOは新しいことのように思えますが、突き詰めれば人の気持ちを考えることになる面白い領域です。新しいコラボレーションのあり方を考えられる魅力的な分野だと思うので、皆さんの得意分野をベースに、思考実験をしてみてください」

   

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