自主制作からクライアントワークまで。CGデザイナーとして活躍する元・留学生の成長秘話
郭 小笛さん
2022年度卒業

中国出身の郭小笛(かく しょうてき)さんは、デジタルハリウッド大学(DHU)で映像制作を学び、現在はデジタルプロモーション事業を展開している企業のCGデザイナーとして活躍されています。
本記事では郭さんが外国人留学生として、在学中にインターンシップで得た知見や経験を、社会人としてのキャリアにどう活かしているかを深堀ります。
聞き手:
仲秋壱真(学部1年|キャンパスPRプロジェクト7期生)
学内インターンシップ生としての日々
——DHU入学のきっかけを教えてください。
中国にいる時から映像制作、特にVFXや実写合成に興味を持っていました。東京の日本語学校に留学し、進学先を考える中で、デジタルスキルを横断して学べる1学部1学科というDHU独自のスタイルに惹かれ、入学を決めました。
——郭さんは入学してすぐ、DHUの広報イベントを支える学内インターンシップ「キャンパスPRプロジェクト(CPRP)」の2期生として活動されました。応募した理由は?
大学に対する愛着が強かったことが大きな理由です。受験生当時、夏のオープンキャンパスが3日間開催されていたのですが、全日程参加しましたし、受付で毎回配布される入場用のリストバンドを3日分つけたまま1ヶ月以上過ごしていました(笑)。
その愛着から、今度は運営側として支える立場を経験してみたい。逆の立場からイベントや活動に関わることで、新しい視点や学びが得られるのではないかと思ったんです。
それから、プロジェクトを統括していた入試広報のみなさんの人柄にも惹かれました。一緒に活動することで多くのことを学べるのではないかと思ったことも、参加を決めた理由の一つですね。
——CPRPとして過ごした半年間の中で、特に印象に残っていることを教えてください。
夏のオープンキャンパス(夏OC)ですね。私は作品展示の企画を担当しました。2週間ごとに合計3日間の開催だったので、準備が大変だった反面、とても楽しかったことを覚えています。



——インターン生当時、どういったことを意識されていましたか?
受験生や保護者の疑問に応えることを意識していました。オープンキャンパスに参加する生徒さんたちは、こちらが思っている以上に熱心に大学のことを見てくれている。私の専門は映像系でしたが、専門分野以外の質問でも全部受けとめてあげたいっていう気持ちでした。なので、なるべく突っ込んだ話をしてあげることも意識していました。

——どのようなスキルが身についたと感じますか?
CPRPの初回MTGって、メールの書き方などのビジネスマナーを叩き込まれるところから始まると思うんですけど、これが役立ちました。特に就職活動の時、企業とのやりとりは基本的にメールですからね。
あとは言葉遣い。留学生として日本語の不安は常にあるのですが、2期生のメンバーはもちろん、社会人である入試広報のみなさんと密にコミュニケーションを取っていたので、とても助けられました。
——私たち7期生も、そのあたりは同じように叩き込まれました。
そうしたご縁もあって、ここ数年はオータム・トライアウト総合型選抜の試験会場で、入試説明会で使用する写真や動画の撮影を担当させていただいています。そこで感じるのは、年を追うごとに受験生の雰囲気が良くなっていること。この動画を見て、試験当日の雰囲気を理解したうえで出願しているからこそ、「入試だけど楽しもう」という受験生が集まってきているんじゃないかと。
CPRPはインターン生として、在学生と職員の間に立つ存在ともいえます。DHUは個性溢れる大学なので、その魅力をよく知るインターン生が責任感を持って発信する。それって教職員が伝えるよりも説得力もある部分があるし、受験生の心にもきっと響きますよね。それがCPRPの存在価値なんじゃないかなと思います。

クライアントワークの難しさと楽しみ方
——現在の企業に入社された理由を教えてください。
会社説明会の最後に、カメラを180度回転させて社内の様子を映す映像が流れたんです。イベント自体が楽しかったのもあるのですが、その映像からみなさんが楽しく仕事をしている様子が伝わってきて。つくることが好きな人たちが集まっていて、DHUと近いところがあるなと感じました。
——普段のお仕事はほぼご自宅で完結されているそうですね。
はい、最近はハイブリッドワークを推進されている会社も少なくないですし、他の部署は出社しているスタッフもいますが、私の所属している部署はフルリモートですね。
——CGデザイナーとしてさまざまな企業のクリエイティブ制作に携わっているとのことですが、どのような業務内容ですか?
例えば、ディレクターやプランナーの方からこういうCG画像を作りたいというラフが送られてくるんですけど、それに沿ってつくるだけではデザイナーが介在する意味がない。なのでこちらから「こういうデザインはどうですか?」と、2〜3パターンを提案して選んでもらったりしています。
レイアウトやフォントを整えるだけなら、きっと3年後や5年後にはすべてAIが自動でやってくれるようになるでしょう。だからこそ、プロのCGデザイナーとしての視点を活かした提案力が大切になると考えています。

——在学中の経験が活きたエピソードがあれば教えてください。
「人に頼ること」を意識しています。
大学4年間で映像制作をずっとやってきたんですが、会社に所属して案件として映像をつくるというのはまた別の話で、自分の経験だけではとてもじゃないけど対応しきれない。インターン生として活動していた時も、自分一人の力では企画を進めていくこともできないし、改善点がわからず悩んだこともありました。
そういう時に、どんどん仲間や先輩に質問したり、助けを求めたりすることが重要です。スキル面もそうですけど、そもそも仕事ってプロジェクトが並行して進んでいくので、困った時はなるべくたくさんの人を巻き込むようにしていました。
ーー社会人になるとスケジュール管理も大変だと思うのですが、どのように管理していますか?
多い時は10個の案件を同時に持つこともあるので、人に頼る前に自分がやるべきことはもちろんやるようにしています。
まず、仕事の優先順位を考えます。週のはじめに、今持っている仕事を全部こなすまでにかかる時間を計算をします。例えばこの仕事を8時間やるとすると、1日が埋まる。じゃあ残りの4日は何に使う?といった感じで、1週間の業務量を把握します。もしオーバーしそうだったら、着手する前に上司や先輩に相談して調整してもらいます。
——大学生の頃と比較して、制作に対するスタンスに変化はありましたか?
大学では自分がつくりたいものを制作していましたが、クライアントワークとは勝手が違うことも多いです。自分がいいと思っているものと、お客さんが思ってるものが全然違うこともあります。この違いには苦労しました。
ある日、制作依頼のあったデザインを納品したお客さんから「この英字フォントを、日本語のフォントと同じものにしてください」という修正依頼が来たんです。デザインを進める中で日本語用と英数字用のフォントを使い分けることはよくあって、このケースでもデザインルール的に現状のフォントから別のものに変更することはできませんでした。
なぜそのような依頼が来たのか理由を探るため、制作物を改めて確認したところ、英語フォントの文字の太さが日本語のそれよりも若干太かった。そこで私は、「フォントの違いというより、太さのばらつきを気にしているのかな?」と解釈して、フォントの太さを揃えた上で確認いただいたところ、OKをいただけたんです。
お客さんはどういう意図で修正依頼をしてきたんだろう、ということを汲み取って、先輩にアドバイスをもらいつつ、自分が今までやってきた経験やセンスを生かす。お客さんにはもっといい解決法があることを提示したいという思いが常にありますね。
——これから社会に出ていく私たち後輩にとっても参考になるお話でした。最後に、DHUへの入学を検討している受験生に向けてメッセージをお願いします。
楽しくやってください。楽しく仕事して、楽しく学べることが一番幸せです。人生、辛いことや難しいこともたくさんあると思うんですけど、楽しいことを見つけていきましょう!
