日本でものづくりをする夢を叶えるために。
チェ ジュンホさん
2023年度入学
Yangmyung High School出身

────ジュンホさんはプラモデルが大好きなんですよね。
たぶん、原体験はレゴブロックだと思います。それからプラモデルが大好きになりました。小学生の頃にはすでにガンプラ(ガンダムのプラモデル)に出会い、以降は夢中になって追いかけています。
──日本のアニメや漫画は韓国でも人気なんでしょうか。
そうですね。ここ数年の盛り上がりでいうと『ONE PIECE』『鬼滅の刃』、新海誠監督の映画など、劇場でヒットする作品が人気です。僕は幼少期から、近所のレンタルビデオ屋さんで『マジンガーZ』やガンダムシリーズなど、ロボットアニメのビデオを借りて観ていました。漫画も好きで、500冊以上買っていた時期があります!

──それでガンプラにハマっていったんですね!
韓国のプラモデルはミリタリー系のものか、キャラクターものばかり。ガンダムのようなかっこいいロボットのプラモデルはあまりないので、出会ったときは衝撃的でした。当時から既製品にジャンクパーツを組み合わせてミキシングビルドしてみたり、自分で塗装をしてみたり。オリジナリティを加えて作っていました。世界一のガンプラビルダーを決めるコンテストの韓国予選では、ジオラマ込みの作品を制作したこともあります。技術を磨きながら没頭していきました。ガンプラの影響で“日本でものづくりをしてみたい”という思いが強くなり、高校時代には日本語教室で本格的に日本語学習をスタートさせました。

────韓国では学歴が重視され、日本以上に受験戦争が過酷だと聞きます。ご両親の反応はどうでしたか?
中学までは僕も勉強に力を入れていましたが、高校に入ってからは勉強は自分に合わないと感じるようになり、身が入らなくなってきていました。もしかしたら最初は心配したかもしれませんが、それでもやりたいことを応援してくれる親だったので、進路のことを親に相談したときは賛成してくれました。
──DHUを知ったのはいつですか?
高2のときに日本への留学を希望する学生向けの「日本留学フェア」に参加し、日本でものづくりの勉強ができる大学としてDHUを知りました。その後は自分でいろいろ調べました。オンラインオープンキャンパスのおかげで、海外からも情報を得られたので助かりました。
────では、高校を卒業をしてからすぐ受験を?
すぐにでも日本に行きたかったんですけど、ネックになったのは韓国の徴兵制度。多くの韓国人男性は大学1年時に休学して入隊するのですが、どうしても留学前に済ませておきたかったので、高校卒業後すぐの入隊を決意。20か月の兵役期間を経て、除隊後に受験準備を始めました。
それに正直な話をすると、当時の僕はゲームに対してまだ腹をくくりきれていなかった部分もあったんです。専門学校に行ったらもう後戻りはできないけれど、大学であればゲーム以外のさまざまな選択肢も選べるだろうという考えもありました。
──受験はどうでしたか?
提出するポートフォリオは自分のこれまでの作品やガンプラ愛を詰め込んで制作しました。ただ、問題はオンラインでの面接です。日本語での受け答えに少し不安があったので、対策としては話す内容の台本を書き、母や日本語の先生の前で1週間以上練習しました。それでも当日は緊張しすぎて質問を何度か聞き返してしまったのですが、面接官がゆっくり話してくれたのでなんとか自分のペースを取り戻すことができました。

──留学に不安はなかったですか?
高校を卒業後すぐに来ていたら不安があったかもしれませんが、兵役で親元を離れる経験をすでに積んでいたので、そこまで心配していませんでした。むしろ期待のほうが大きかったです。初めてDHUがある御茶ノ水駅に降り立ったとき、新海誠監督の映画『すずめの戸締まり』に出てくるシーンと同じ風景が広がっていて感動したのを覚えています。そのときに日本に来た実感が一気に湧きました。
────今はどんなことを学んでいますか?
CGをメインに勉強していています。将来のことを考えるとCGは必須ですからね。2年時からは、造形も勉強する予定です。
────大学ではオールナイトフリータイム(大学閉館後の22時から翌8時まで、PC教室での制作活動を行うことが可能)をよく利用されていますね。
普段の課題や自主制作をする際によく友人たちと利用しています。家だと遊んでしまうことが多いけど、学校だと集中できてはかどりますよ。

──ほかに大学の施設や制度で活用しているものはありますか?
3Dプリンタ、UVプリンタ、レーザーカッターなどのデジタルファブリケーション機材等を備えていて、プロトタイピングとグラフィック系制作の仕上げができる「LabProto(ラボプロト)」をよく活用しています。何か作りたいと思ったときに、そこに行けばたいていのものが揃っています。
────将来の目標はもう決まっていますか?
プラモデルやおもちゃを扱う会社に入って、設計技術者になりたいです。今までみてきたものがほぼ全部日本製なので、やはり日本企業で腕を磨きたいと思っています。そして最終的には自分で会社を立ち上げたいです。

────最後に、ジュンホさんにとってプラモデルの魅力ってなんですか?
自分で作る楽しさです。組み立て自体は簡単ですけど、それを自分好みに仕上げることもできる。そこに無限の可能性を感じます。それに組み立てるだけで終わりではなく、ポーズをつけて撮影をしたり、飾ったり……なにをしても楽しいです!