クリエイターとは?業界ごとの種類や仕事内容をわかりやすく紹介。

「クリエイター」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。元々は「創造者(神)」という意味の英単語ですが、日本語では「創作家」や「制作者」のように、特に映像、アニメ、ゲームなどのコンテンツをつくる人の総称として使われています。
この記事では、「クリエイター」という職業が具体的にどのような仕事をするのか、また、どのような業界で活躍できるのかを高校生や保護者の皆さんに向けてわかりやすく説明します。将来の進路選択に役立つ情報をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
<目次>
クリエイターとは?

クリエイターとはどんな職業?
クリエイターとは、自分のアイデアや専門的な技術を駆使して、新しいコンテンツや作品を作り出す人のことを指します。デジタル技術が日々進化している現在、クリエイターが活躍できる場は広がっています。
たとえば、Webサイトのデザインをする「Webデザイナー」やスマートフォンのアプリを開発する「アプリ開発者」、YouTubeなどで動画編集を行う「動画クリエイター」など、多くのフィールドがあります。それぞれの仕事で必要なスキルや専門的な知識は違いますが、共通しているのは、自分の作品を通じて新しい楽しさや感動を人々に提供できる点です。クリエイターの仕事は自分の個性や創造力を活かせるため、やりがいを感じられる職業としても人気です。
多様な業界で活躍するクリエイター
クリエイターが活躍する業界は幅広くあります。代表的なものについて見てみましょう。
たとえばゲーム業界では、キャラクターをデザインする人やゲームの物語を考える人など、多様な役割があります。また広告業界では、見る人を惹きつけるデザインを作成するデザイナーや、印象的なキャッチコピー(商品やサービスを魅力的に伝える短い文章)を書くコピーライターが活躍しています。
映画や音楽などのエンターテインメント業界でも、映像編集者や音楽プロデューサーなど、多彩な仕事があります。いずれの業界でも、新しいアイデアを生み出す創造力と、それを形にする専門技術が重要です。クリエイターは常にトレンドや文化を作り出す存在として、社会で求められています。
クリエイターの需要が増え続ける理由
近年、インターネットやスマートフォンの普及に伴い、私たちの生活にはデジタルコンテンツが欠かせなくなりました。その結果、クリエイターの需要がますます増えています。特にYouTubeやInstagram、TikTokなどのSNSでは、誰もが気軽にクリエイターとして活躍できる環境が整っています。そのため、自分のオリジナルのコンテンツを世界に発信する人も多くなりました。
こうした流れの中で、クリエイターになるための専門的な資格やスキルを学ぶ人も増えています。デジタル技術の知識を身につけることで、自宅やカフェなど、場所にとらわれず柔軟に働くことも可能です。これは自由な働き方を求める現代のニーズにもマッチしています。
業界別クリエイターの仕事内容
ここからは業界ごとのクリエイターの仕事内容について見ていきましょう。
Web業界
Webプロデューサー
Webプロデューサーは、Webサイトを作るプロジェクト全体をまとめる総責任者です。クライアント(顧客)の希望や要求を聞き取り、それを実現するための計画を立てます。具体的には、サイトの目的やコンセプト(基本となる考え方)を決めたり、予算を調整したり、作業がスケジュール通りに進むよう管理します。また、お客様とのコミュニケーションを重視し、期待されている内容や品質をはっきりさせて、決められた期間内にサイトを完成させるのが役割です。
Webディレクター
Webディレクターは、Webサイトを制作する現場のリーダー役です。プロデューサーが決めたコンセプトに沿って、デザイナーやプログラマーといった専門スタッフと協力しながら、作業を円滑に進めます。具体的には、スタッフ一人ひとりの作業予定を管理したり、必要な人材や予算の調整をしたり、問題が起きた場合にはその対応をします。
Webデザイナー
Webデザイナーは、Webサイトやスマートフォンアプリの「見た目」をデザインする職業です。訪れた人が興味を持ってくれるように、魅力的で使いやすいデザインを作るのが主な仕事です。具体的には、Adobe PhotoshopやIllustratorなどのデザインソフトを使い、色やレイアウトなどを工夫しながら最新のデザインを取り入れます。また、ユーザーインターフェース(使いやすさ)やアクセシビリティ(どんな人でも簡単に使えること)を意識しながら、見た目だけでなく実際の使い心地も良いWebサイトを提供します。
Webプログラマー
Webプログラマーは、Webサイトの仕組みや機能を作る職業です。主にHTML(Webページを作る言語)、CSS(見た目のスタイルを整える言語)、JavaScript(サイトに動きをつける言語)といったプログラム言語を使用して、サイトを実際に動かすための仕組みを構築します。エラーが起きず快適に使えるサイトを作るため、保守や管理業務を行うこともあります。
Webライター
Webライターは、Webサイトを訪れる人たちに役立つ情報を、分かりやすく伝える文章を書く職業です。テーマに沿った情報をインターネットや書籍から集め、写真や画像を混ぜながら読みやすくまとめて記事にします。また、「SEO(検索エンジンで記事が見つかりやすくなる工夫)」を意識した文章を書き、Googleなどの検索結果に表示されやすくすることも重要な役割です。
映像業界
映像クリエイター
映像クリエイターとは、映画やテレビ番組、広告、オンライン動画などさまざまな映像コンテンツを制作する専門職です。企画から撮影、編集、完成までの全ての作業工程を担当・管理し、映像の質を高める役割を担います。映像クリエイターには、映像制作に関する高度な技術力のほかに、柔軟で豊かなアイデアや流行を取り入れる力も求められます。
ゲーム業界
ゲームプロデューサー
ゲームプロデューサーは、ゲーム開発全体を管理し、プロジェクトをまとめる責任者です。市場のニーズやトレンド(現在の流行)を調査・分析して、ゲームのコンセプト(基本となる考え方やテーマ)を決めます。また、予算やスケジュールを調整し、開発チームを指揮しながらプロジェクトを円滑に進めます。
ゲームディレクター
ゲームディレクターは、ゲーム開発の方向性を決め、実際の制作作業を指揮する役割です。ゲームの演出方法やデザインの方向性を具体的に決定し、クリエイティブチーム(デザイナーやプログラマーなど実際に制作を行うチーム)に明確な指示を出すことが求められます。
ゲームプランナー
ゲームプランナーは、ゲームの基本的な仕組みやストーリーの流れを設計する専門職です。ゲームの内容を具体的に企画し、プレイヤーが楽しく遊べるような仕掛けやアイデアを考えます。さらに、開発中のゲームを試しにプレイ(テストプレイ)し、改善点を見つけて提案を行うこともあります。
ゲームプログラマー
ゲームプログラマーは、ゲームが実際に動くようにするためにプログラムを開発する役割です。具体的には、コンピューターやゲーム機で動くようにコード(プログラムを構成する命令文)を書き、ゲームエンジン(ゲームを動かすための土台となるソフトウェア)を使って機能を作ります。
その他
シナリオライター
シナリオライターは、ゲームの中に登場する物語やキャラクターのセリフを書く専門職です。プレイヤーがその世界に引き込まれるような魅力的なストーリーを考え、ゲームの体験を豊かにします。キャラクターの設定やストーリー展開を工夫してプレイヤーの感情を動かし、ゲーム全体の満足度を左右する重要な役割を担います。
イラストレーター
イラストレーターは、ゲームのキャラクターや背景、アイテムなどのデザインを担当する職業です。ゲーム全体の視覚的な魅力を作り出すために、独自の発想力と高い技術力を使ってデザインを描きます。プレイヤーに印象的で記憶に残るビジュアルを提供するために、常に新しい表現方法を探求し続けることが求められます。
サウンドクリエイター
サウンドクリエイターは、ゲームの音楽や効果音(ゲーム内で使われる音)を制作する専門家です。音を通じてゲームの雰囲気を演出し、プレイヤーがゲームの世界に入り込みやすいように工夫します。ゲームのシーンや世界観に合った音楽や音を作り、ゲームへの没入感(夢中になってゲームの世界に入り込める感覚)を高めます。サウンドクリエイターは、ゲームの質を左右する重要な役割で、高い音響技術と表現力が求められます。
CGクリエイター
CGクリエイターーは、3Dモデルやアニメーション(立体的に動く映像)を作成し、映像・映画やゲームの世界をリアルで立体的に表現する専門職です。プレイヤーが作品の世界観に自然に入り込めるよう、細部までこだわった高品質なコンピューターグラフィックスを制作します。
クリエイターと親和性の高い資格やスキル
クリエイターとして活躍するためには、専門的な資格やスキルを身につけることが大切です。特にWebデザイナーやゲームクリエイターなどの分野では、その業界特有の技術や知識を学ぶことがキャリアアップにつながります。こうした専門スキルがあれば、多様なプロジェクトに参加でき、業界内で求められる人材になりやすくなります。ここでは特に重要なスキルについて解説します。
Adobe等のソフトウェアの操作スキル
クリエイターとして成功するためには、Adobe Creative Cloud(アドビ・クリエイティブ・クラウド)などのデザイン系ソフトを使いこなせることが不可欠です。特に次のようなソフトがよく使われています。
- Photoshop(フォトショップ):写真加工やデザインに広く使われるソフト。
- Illustrator(イラストレーター):イラストやロゴなどの作成に適したソフト。
- Premiere Pro(プレミアプロ):動画編集に広く使用されているソフト。
これらのソフトウェアを使えるようになることで、デザイン、イラスト制作、動画編集など、さまざまな作業を高いクオリティで行えるようになります。多くの企業でもこうしたソフトの操作ができる人材を求めています。
プロジェクト管理能力
クリエイターの仕事は、多くの場合、プロジェクト形式(特定の目標に向けて期間を決めて行う仕事)で進められます。そのため、計画的にプロジェクトを進める能力(プロジェクト管理能力)が重要です。具体的には次のようなことが必要になります。
- 納期(提出期限)を守ること。
- 与えられた予算内で作業を完了させること。
- お客様(クライアント)の希望を満たすため、スケジュールや作業内容を明確にすること。
- チームメンバーと円滑にコミュニケーションを取りながら作業を進めること。
また、作業の進行を効率よく管理するため、プロジェクト管理ツール(スケジュール管理やタスク管理を効率化するソフトウェア)を使えるようになっておくことも重要です。
コミュニケーション能力
クリエイターとして仕事をする際には、優れたコミュニケーション能力(相手と円滑にやり取りする力)が求められます。クライアント(お客様)やチームメンバーとスムーズにコミュニケーションが取れれば、仕事をスムーズに進めることができます。
具体的には、
- 自分のアイデアやデザインの意図を相手にわかりやすく伝えること。
- メールやオンラインミーティングなどリモート(遠隔)でのやり取りでも、内容が正確に伝わるよう意識すること。
こうしたコミュニケーション能力を身につけることで、周囲との協力関係を深め、プロジェクトを成功に導くことができます。
クリエイターになるには?

クリエイターとして活躍するための道はいくつかあります。どの進路にもそれぞれの特長があり、自分の目標や学び方に合った選択をすることが大切です。ここでは主な3つのルートをご紹介します。
大学へ通う
大学に進学することは、クリエイターを目指すうえで代表的な方法の一つです。アート、デザイン、コンピュータサイエンスなどの分野を体系的に学ぶことができ、専門知識と技術をバランスよく習得できます。さらに、グループワークや実践的なプロジェクトを通じて、実際の制作現場に近い経験が積めるのも大きな魅力です。幅広い分野の仲間や先生と出会うことができ、将来につながる人脈を築けるというメリットもあります。
専門学校へ通う
専門学校は、実践に特化した教育が特徴です。短期間で実務に直結するスキルを身につけたい人には特に向いています。Webデザインやゲーム制作、映像編集など、特定分野に集中して学べるカリキュラムが組まれており、最新の業界動向に沿った授業が行われています。企業と連携したプロジェクトやインターンシップの機会も多く、現場で役立つスキルをリアルに学べる点が強みです。
独学で学ぶ
最近では、インターネットを活用して独学でスキルを身につける人も増えています。YouTubeのチュートリアルやオンライン講座、無料の学習プラットフォームなどを利用することで、自分のペースで学習を進めることが可能です。SNSを活用して作品を発表したり、クラウドファンディングで個人プロジェクトを実現するなど、学んだことをすぐに実践につなげられる環境も整っています。
クリエイターに必要なスキルを学ぶなら”デジタルハリウッド大学”
デジタルハリウッド大学は2005年の開学以来、クリエイターとして活躍するために必要なスキルを実践的に学べるカリキュラムを通じて、コンテンツ業界で活躍する多くの卒業生を輩出してきました。高等教育機関としての取り組みをいくつかご紹介します。
卒業制作展
デジタルハリウッド大学では4年間の学習成果を披露する場として、毎年2月に卒業制作展を開催しています。「デジタルコンテンツのカオス」が代名詞で、デジタル・アナログを問わず多種多様な作品が生み出されています。毎年、この展示会から多くのクリエイターたちが羽ばたいています。
初展
「クリエイティブスキル習得の初期段階からアウトプットの機会を用意することが、学生の作品制作と展示のレベルアップに不可欠である」という考えのもと、1~2年次における基礎学習の成果を発表する展示会です。4年間の大学生活の折り返し地点での制作物を外部に向けて披露することで、卒業制作展へのモチベーションにつなげることも狙いのひとつです。
「新たな分野への一歩になった」。『初展』を経験した3年生が学び得たもの|デジタルハリウッド大学
オープンキャンパス
受験生向けのイベントであるオープンキャンパスでも、在学生・卒業生クリエイターによる演出などを取り入れています。
「春のオープンキャンパス2024」(2024年3月開催)では、在学生クリエイティブチーム「TORCH VISION STUDIOS」が、大型LEDパネルを用いたステージ演出に挑戦しました。プロの技術と学生の成長が一体となった現場を体験でき、映像クリエイターを志す高校生にとって刺激になる内容です。
【開催レポート】春のオープンキャンパス2024【デジタルハリウッド大学】 | ニュース&イベント | デジタルハリウッド大学
学ぶべきスキルとその需要
デジタルハリウッド大学では、Adobe系ソフト(Photoshop、Illustrator、Premiere Pro など)の操作スキルに加えて、Maya(3DCG制作ソフト)やUnreal Engine(ゲーム開発・リアルタイム映像制作ツール)など、業界で広く使われているツールも実践的に学ぶことができます。さらに、プロジェクト管理能力やコミュニケーション力など、チームでの制作に欠かせないスキルも養われます。
これらの力は、現場で即戦力として活躍するために必要とされるものであり、多くの卒業生が在学中に身につけたスキルを武器に、プロの現場で活躍しています。
卒業後のキャリアサポート
就職やキャリア形成に関する支援も充実しています。インターンシップの紹介や面接対策等、学生一人ひとりの進路を丁寧にサポート。こうした取り組みによって、多くの卒業生が第一線の現場で活躍しています。
まとめ
この記事を書いているデジタルハリウッド大学(DHU)は、「クリエイターのための学校」としても知られています。創設者である杉山知之は著書『クリエイター・スピリットとは何か?』(ちくまプリマ―新書、2007年。電子版は2022年)のなかで、次のように述べています。
“クリエイターへのいちばん最初の第一歩は、まずは自分の好きなものはなにかを知ること、そして、自分の好きなものをつくることなんだ。それがわかっていないことが多い。いくらコンピュータを使えるようになったとしても、自分の好きなものさえわからないという状態では、いざものをつくるときに途方にくれるしかなくなってしまうんだ。(中略)だからこそ、クリエイターを目指す人は、自己発見のトレーニングを通して、それぞれ自分なりの原点を見つけだしてほしい。”

クリエイターは、デザイン・映像・ゲームなど多様な分野で活躍できる魅力的な職業です。そのためには、Adobeソフトの操作スキル、プロジェクト管理能力、コミュニケーション能力など、幅広いスキルが求められます。
将来、「何かをつくる仕事がしたい」「自分の好きなことを仕事にしたい」と思っている人は、ぜひクリエイターという進路を前向きに検討してみてください。自分の手で、新しい時代の表現をつくるチャンスがここにあります。