全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2024 SAGA eFootball™部門で、DHU2年・松永輝石さんが優勝!
松永 輝石さん
2023年度入学(総合型選抜[特待生選考]e-sports特化型)

2024年12月14日、15日に佐賀県で行われた、「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2024 SAGA」のeFootball™部門で、デジタルハリウッド大学(DHU)2年・松永輝石(kisepes)さん率いる埼玉県代表チームが全国優勝を果たしました。
同大会は、地域の予選を勝ち抜いた都道府県代表選手によって競われるeスポーツの全国大会です。「IdentityV 第五人格」、「eFootball™」シリーズ、「パズドラ」、「ぷよぷよeスポーツ」の4種目で競い合い、松永さんはeFootball™(サッカーゲーム)部門に出場しました。
DHUの特待生選考のひとつである「e-sports特化型」で入学後も、プロのeスポーツ選手としてのキャリアを着実に積み重ねる松永さんに、これまでの歩みや大会の感想について聞きました。

サッカーを続けられず、夢中になれるeスポーツの道へ
——まずは、eスポーツとの出会いから教えてください。
4歳のときに、サッカー好きな父からPlayStation 2の「ウイニングイレブン(ウイイレ、現eFootball™)」を買ってもらったのがきっかけです。ほぼ同時期にリアルのサッカークラブに入ったので、当初はどちらのゴールに入れればいいのかすら分からなかったし、ゲーム上で難易度の設定もできなかった。サッカーのルールや仕組みを理解してからはより楽しめるようになりました。
小学生に上がるとリアルのサッカーに打ち込むようになって、ウイイレからは一時的に遠ざかりました。高学年になってから久しぶりにプレイしたとき、当時と比べてゲーム内のグラフィックが格段に進化しているのに驚きました。まるで本物のスタジアムで選手を操作できるかのようなリアリティに感動して、再びウイイレで遊ぶ時間が増えました。

——リアルのサッカーはいつ頃まで続けましたか?
中学2年生までです。あまり上手くはなかったので、練習試合や大会などでも結果は残せなかったんです。サポートしてくれていた父の病気や引っ越しなどの要因も重なって、サッカーを続けることは断念しました。
——迷いや後悔はありませんでしたか?
約10年続けてきたので、サッカーを辞めるのは迷いました。ですが、ほかに打ち込めるものを見つければ大丈夫だと思って、頑張って切り替えました。中学3年の年(2019年)、eスポーツの国体(全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI)が初開催されると知り、「ついにゲームもスポーツになるんだ」とワクワクしたのを覚えています。いつかは自分も大会に出たいと思い、eスポーツにのめり込んでいきました。
敗れて心底悔しくても、eスポーツ選手を続けるわけ

——その後は通信制高校に進学されたと伺いました。
eスポーツ活動を中心に据えるため、通信制の高校に通いながら、eFootball™に集中できる学校がないかを探しました。「これからはeスポーツが流行る」「これで稼いでいきた」と両親に話しても、最初は取り合ってもらえませんでしたが、粘り強く説得していくうちに、徐々に理解を得られるようになりました。そんな時に母が、ルネサンス高等学校という、eスポーツコースのある学校を紹介してくれたんです。
——理想の環境が見つかったといえそうですが、いかがですか?
相当な覚悟で練習と勉強をしなければと思いましたね。両親を裏切ってはいけないし、中途半端なことは絶対にしたくない。何より「あんたがやっていて楽しいなら」と背中を押してくれた二人のためにも、この高校で頑張ってeスポーツ選手になる覚悟を決めました。
——高校生活についても教えてください。
基本的にオンラインで学習を進めるのですが、週2日のペースで登校日があり、ゲームの実技や動画編集スキルなどを磨きました。eFootball™の日本代表選手が講師として在籍していたので、その先生と出会えたことも自分の中で大きな出来事でした。授業の担当教員というよりは、部活の顧問くらいの距離感で練習に付き合ってくれて、自分では知り得なかったテクニックも教えてもらいました。「最初は負けても良いから、とにかく大会に慣れることが大事」という先生の方針もあって、さまざまな大会に出場するようになりました。
——eスポーツの大会、というのはどんな雰囲気なのでしょうか?
リアルの部活と変わらないと思います。練習とは違った緊張感があるし、自分のパフォーマンスができるようになるまでは大変でした。成果が出せたのは高校2年のとき。三重国体(全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2021 MIE)のeFootball部門・高校生の部で、ルネサンス高校のメンバーとして全国1位を獲得しました。賞がつくものを獲ったことがなかった自分にとっては本当に嬉しかったですね。コロナ禍だったため自宅で対戦していたのですが、優勝が決まった瞬間は思わず叫んでしまいました(笑)。
ただ、翌年の栃木国体では関東地区予選の段階で負けてしまったんです。敗れた相手はこの年の全国優勝者。連覇がかかっている大会で全国大会に進めなかったことが相当悔しくて、会場のトイレにこもってしまうほどでした。この敗戦を引きずってしまい、同年の「eJ.LEAGUE eFootball™ (eJリーグ)」 2022シーズンで、浦和レッズの代表選手として出場したものの結果は振るいませんでした。
とはいえ今でこそ、これらの苦い経験も高校時代に体験できてよかったことのひとつだと思っています。
——と、いうと?
プレッシャーの掛かる大会で、印象深い負けを早い時期に経験できたからです。負けると心底悔しいんです。正直に言うと、公の場でなければ口が悪くなってしまうこともあります。でも負けた経験から、今の自分に何が足りていなかったかが分かる。あの時こうしていれば、次はこのアプローチをしてみよう——気づくと、次の試合のことで頭がいっぱいになる。結局、ゲームもサッカーも好きなんですよね。負けた試合を必ず糧にして、次戦に活かそうとするスタンスは今も当時も変わりません。
プロのeスポーツ選手になる前提で、DHUへ進学

——その後、DHUへ入学します。どのようにして知りましたか?
まず、eスポーツプレイヤーとしての自分を軸として、やりたいことがいっぱいあるなと思っていました。eFootball™をプレーする動画配信者としても活動していきたいし、eスポーツイベントにも携わってみたい。
すると、DHUに通っている先輩が大学を紹介してくれて、試しにオープンキャンパスに行ってみました。学生が本当にやりたいことをやろうとしている雰囲気や、授業の多様さに驚き、さまざまな観点からeスポーツに役立つことを学べそうだと思って、DHUに入学を決めました。
——現在学んでいる分野、活動について教えてください。
映像制作とマーケティングについて学んでいます。ゲームや動画プラットフォームの力を借りて、さまざまな国と地域のeスポーツファンとつながれたらと思い、ストリーマー(配信者)としての活動に役立てています。学習したことを、すぐ実践に移せるのは良いところだなと。去年(2024年)の夏休みにはオープンキャンパスのYouTube Liveの音声スタッフとして参加するなど、授業外でもeスポーツ活動につながるような経験が積めています。

また父からの紹介もあって、大学生になってからは「LIMIT DESTROY」というプロのeスポーツチームに所属できました。浦和を拠点としてeスポーツの楽しさを発信していくチームであり、僕自身もeスポーツイベントで露出する機会が増えています。今後イベント運営にも携われる機会があるだろうし、そのときにはマーケティングの知識がきっと役に立つという思いから、その領域の授業を積極的に履修するようにしています。

家族や友人に祝福された、2024年の佐賀国体
——大学進学し、プロのeスポーツ選手としてのキャリアが始まりました。その後の戦績についても教えてください。
2023年(大学1年)の国体も参加しましたが、自分より上の世代と戦わなければならない慣れない環境ということもあったのか、予選落ちしてしまいました。その後はひたすら練習。eJリーグやeワールドカップなどで猛者たちと戦い、プレイングを鍛え上げました。そして、2024年、埼玉県代表としてネオぽんとタッグを組み、佐賀国体の本戦出場を掴み取りました。

——印象的な試合は?
Leva選手(DetonatioN FocusMe所属、東京代表)との佐賀国体の4回戦(準々決勝)です。日本のeFootball™プレイヤーと言えば彼。世界でもトップ5に入る実力の持ち主で、2024年のeJリーグで対戦した際も敗れた相手でした。
国体は2vs2のチーム戦。モバイルとPlayStationそれぞれの代表プレイヤーが1試合ずつ個人戦を行い、2試合の総得点で競います。モバイルの1試合目は1-2でネオぽんが惜敗。2試合目で僕が勝ち越さなければ、敗退が決定します。
とはいえ、ビハインドの状態で僕の番が来た方が、気持ちが楽だろうなとは思っていて。いざ試合が始まると、思った以上に攻められるポイントがありました。そこからだんだん気分が乗ってきて、自分のペースに持っていけたんです。結果は2-0。トップクラスの選手相手を無失点に抑えて、ベスト4へ進出できました。
決勝戦も印象に残っています。会場には観客の方が大勢いて、舞台上で試合前の意気込みを聞かれたときは緊張しましたが、画面の前に座れば関係ありません。ここまできたら勝っても負けてもいい。自分のモットーである「楽しんでゲームをする」ことだけを意識して、気負わず試合に臨みました。
——決勝の舞台、そして優勝者として表彰台に上がりましたがどんな光景でしたか。
そこまで感動しなかったかもしれません。というのも、小さい頃からこういった場面を想定して、ヒーローインタビューの練習をしていて慣れていたので(笑)。遊びでやっていたことが現実になったという感覚でした。
それよりも、優勝が決まった瞬間からポケットに入っているスマホの通知が止まらず、大会後に友人たちからのメッセージを見たときの方が嬉しかったですね。それに実家に帰ってからは、父が走り回るほど喜んでいたことを聞いて本当に嬉しかったです。
eスポーツ選手として歴史を紡いでいきたい

——今後の目標はありますか?
国体、ejリーグ、eFootball™ Championship Openが主要タイトルとされていますが、まずは誰も達成していない3冠を自分が成し遂げたいです。ストリーマーとしての活動にも力を入れて、イベントなどを通じて多くの人にeスポーツの魅力を知ってもらう。プレイヤー兼ストリーマーとして実績を作りつつ、活動の幅を広げていくのが当面の目標です。
——改めて、eスポーツの魅力について聞かせてください。
eスポーツといっても本当にいろんなゲームがあって、ゲームごとに輝けるプレイヤーが出てくるのが面白いと思っています。仮に運動が苦手だったり、何らかの事情でスポーツができない人であっても、eスポーツであれば輝ける。夢を諦めざるを得なかった人の可能性をも広げられるのが、eスポーツの魅力です。
もしかしたら数十年後にはeスポーツが、サッカーや野球のようなメジャーなスポーツのひとつになっているかもしれません。そこに至るまでの歴史を紡ぐのが僕たち現役のプレイヤーです。いろんな人が自分の夢を追いかけられるよう、僕らがeスポーツ業界を盛り上げたいと思っています。
——最後に、eスポーツに興味がある方、好きなことを仕事にしたい方へメッセージをお願いします。
将来について悩んでいる人もいるかもしれませんが、自分の好きなことを自由に試してほしいです。eスポーツに限らず、心の底から楽しんでいる様子が他者を惹きつけるはず。まずは自分が楽しめることを、やりたいと思うことを見つけて、トライしてみてください。
——ありがとうございました!今後の活躍も期待しています。
