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無趣味な私が映像業界に興味を持つなんて。

遠藤百華さん

2022年度入学
福島県(県立)福島高等学校出身

──高校時代のことから教えてください。

夢や目標もないごく普通の学校生活を送っていました。まさか自分がエンターテイメントの道に進むなんて。今でも不思議な感じがします。転機は、高2のときの学園祭。新型コロナウイルスの影響で文化祭が中止になり、代わりにクラスごとに制作した映像作品を発表し合う映画祭を行うことになったんです。監督をやりたい人がクラスにいなかったので、軽い気持ちで名乗り出ました。

それが、やってみたら楽しくて。みんなと一つの作品を作り上げることに、いつの間にか夢中になっていました。それからは絵を描くようになったり、自分の伝えたいことを形にするようになり、自然とクリエイティブなことに興味が湧いていきました。

──それで進路としてDHUを選んだのですね

実は進路については高3のときも決めかねていました。周りはもう志望校を決めて受験準備を始めていたのに……。とりあえず大学進学はするつもりで共通テストまでは受けていたものの、具体的な受験先は未定。そんな後がない時期に、ネットでDHUのことを知りました。調べてみると総合選抜の出願期間だと知り、すぐ書類を準備して受験します。

──それで進路としてDHUを選んだわけですね

「みんなを生きるな。自分を生きよう。」というキャッチコピーに惹かれました。いろんなことに迷っていた私にとってはその言葉が思い切り刺さってしまい、ここでなら面白いことができそうだなと思いました。

────志望理由書には「映像・映画選考を希望」と書いていますね。

はい、やはり学園祭での経験が理由です。映画を趣味としてたくさん観てきた、ということはないんですけど、何よりもみんなで何かを作りたい、という思いが強くありました。

────現在はどんな授業を受講していますか?

映像の授業を中心に取っています。カメラの使い方を学ぶ授業、演出の方法、脚本の書き方を学ぶ授業、自分で脚本から編集までを行って提出する授業などがあります。高校生のときは知識がない状態の方が型にはまることなくオリジナリティを発揮できるのでは?とも思っていたのですが、やはりオリジナリティの土台としてしっかり基礎を身に付けておいた方がより良い作品が作れるんだなと今は実感しています。

────自分のオリジナリティはなんだと思いますか?

作品を観てくれた人に、考える余地を与えることを意識しています。観たあとに、言葉にはできないけど、鑑賞者の創造力を働かせるような作品を作っているつもりです。普段は登場人物に言わせたいセリフ、メタファー的な表現から思い浮かべ、そこからストーリーを膨らませて企画を作っているんです。

──映像業界の中で、具体的にどういう仕事に就きたいか見えてきましたか?

いろんな大人の方や友達には「監督が向いている」と言われることが多いのですが、自分的にはまだしっくりきていなくて。悩んでいるところではあります。

──すでに着手している企画があると伺いました。

監督として、自身の体験と震災を題材にした自主制作映画『3月11日』を制作しました。当時6歳だった私は、波が街を飲み込む映像や動揺する大人たちにただ茫然としていました。まるで一瞬で住む世界が変わったような感覚です。すぐに大阪での避難生活が始まり、何が起きているのか当時の自分はすべてを理解することはできませんでした。でも時が経ち、年齢を重ねるにつれて、やっと少しずつあの時何が起こっていたのか理解できるようになってきた。心の奥底にある、目に見えない悲しみや苦しみを表現することで、同じような感情を持っている人にも、またはその出来事を経験していない他者にも、影響を与えることができるのではないか。そう今は思っています。

──スタッフは全員学生だそうですね。

『3月11日』は、経済産業省令和5年度「福島12市町村学生アート制作プロジェクト」採択事業の1つ、学生映像コンテスト “今と未来”ファイナリスト作品。みんなで励まし合いながら今回のプロジェクトを進めてきました。制作のために、クラウドファウンディングにも初挑戦。資金調達や宣伝の大切さも学び、また一回り成長できた気がします。

───他の現場に参加されることもあるんでしょうか。

インターンなどでは実際の商業映画の現場で、制作部や美術部のスタッフとして参加することもあります。「映像業界で女性が働くのは大変」という話も聞きますが、私が参加する現場はちゃんとしているところばかりで安心しています。

──夢や目標がないと言っていた遠藤さんが、現在は映画監督を経験しています。過去の自分に何か言ってあげるとしたら、なんて声をかけますか?

コロナが流行ったときはどうなるんだろうと思っていたけど、それがなかったら学園祭で映画を作ることもなかった。そう思うと、今私がここにいるのはすべて導かれたものなのかなと思ったりします。やはり、そのときの選択がなによりも大事。「自分が納得できる方を常に選んでいたら、きっとどうにかなるよ」って言ってあげたいです。

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