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デジタルファッションとは?魅力や今後の可能性などを解説

「デジタルファッション」という言葉を聞いたことがありますか?コロナ禍以降、他人とのコミュニケーションをオンラインのデジタル空間で行うことも増える中、実際に身につけるファッションとは違った、「デジタルファッション」に注目が集まっています。

この記事では「デジタルファッション」とは、そもそもどのようなものかという点から、そのメリットとデメリット、実際の活用事例や今後の可能性などをご紹介します。

<目次>

1. デジタルファッションとは?

デジタルファッションは、オンラインゲームやメタバース空間で着用できる洋服やバッグ、靴などのファッションアイテムのことです。ゲーム内の着替えアイテムなどはこれまでにも存在しましたが、2019年にオランダの「The Fabricant (ザ・ファブリカント)」というファッションハウスが、世界初のデジタルクチュールを発表し、以降、様々なファッションブランドも参入するようになりました。

様々なブランドで展開されるデジタルファッションは、コレクターズアイテム的な意味合いもあります。例えば、スニーカーを履くためではなく、そのデザインを楽しみ、鑑賞するためにコレクションするようなものだと考えると分かりやすいでしょう。

2. デジタルファッションのメリット・魅力とは?

デジタルファッションの魅力のひとつは、低い環境負荷でファッションアイテムを楽しめることです。アパレル産業では、製造工程での環境汚染や、廃棄物の多さといった環境への影響が大きな課題となっています。こうした課題を解決できる点で、デジタルファッションはサステナブルなファッションともいえるでしょう。

また、実際の衣服では気にしなければいけない保管スペースや布地の劣化や汚れなども、デジタルならば気にせずに楽しむことができます。

さらに、デジタル資産にブロックチェーン上でその来歴を管理できる「NFT」と組み合わせられる点も魅力です。NFTであれば、ブランドの正規品であることを証明しやすく、二次流通も行いやすくなります。

3. デジタルファッションのデメリット

デジタルファッションの一番のデメリットは、実際に手に取ったり着用したりできないことでしょう。お気に入りのファッションアイテムを入手しても、そのアイテムを身につけて現実世界は歩けません。また、実際の衣服であれば楽しめる素材感や着心地といった感触も、現在の一般的な技術では体験できません。そういった意味で、リアルなファッションがデジタルファッションに完全に置き換えられることは考えづらいでしょう。

また、一般的なデジタルアイテムは容易にコピーされる可能性がある点も注意が必要です。デジタルマーケットには海賊版も多くあり、NFTなどの仕組みがない場合にはそれが正規品であることを証明するのは難しくなります。

4. デジタルファッションの活用シーンは?

オンラインショッピングでのフィッティング

大ECサイトで洋服を買う際の難点は、試着ができないことです。この課題を解決するため、デジタルファッションを活用した「バーチャル試着」のサービスが試みられています。洋服の写真だけを見て購入するのではなく、ファッションを着用した自分の画像を見てから商品を購入出来るため、届いた洋服のサイズやイメージが違った…といったトラブルも低減できます。アパレルのECサイトでは30%にも昇るという返品率の低下も期待でき、企業側・消費者側双方にメリットのあるサービスです。

デジタル・ファッションショーの開催

実際の洋服にまで仕立て上げずに、3Dアニメーションによってファッションショーを開催することも可能です。もともと、リアルの場で開催されるのが一般的だったコレクションの発表方法も、コロナ禍を機に多様化し、デジタルでの発表機会が増えています。デジタルファッションでのファッションショーであれば、デザイナーの意図するデザインを純粋に見せられる点も魅力ですし、製造前に評判を確認することもできます。今後の服の作り方・売り方に変化を与えるかもしれません。

オンライン空間での自己表現

メタバースを始めとする仮想空間では、リアルな世界でのアイデンティティに捕らわれず、実際とは異なる性別や年齢、さらには動物やロボットとして存在することができます。さらに、模様が変化し続ける生地や、リアルの世界では再現の難しい金属や液体のような質感の生地、重力に捕らわれない衣服なども制作できるので、リアルな世界以上に、ファッションによって自己表現を行いやすくなります。

5. デジタルファッションを活用した事例

Nike x RTFKT によるデジタルスニーカー

Nikeは、バーチャルスニーカーを手掛けるRTFKT社を買収し、両者が共同で制作したデジタルスニーカー「Cryptokicks」を発表しました。その後、スマートスニーカー「Cryptokicks iRL」も発表。実際のスニーカーと引き換え可能なNFTとして販売され、NFTと現物のスニーカーも紐づけて認証されるなど、デジタルと現実を融合する試みが行われています。

ファッションNFT専門のマーケットプレイス「The Dematerialised」

デジタルファッションNFT専門のマーケットプレイスも登場しています。「The Dematerialised」は、その中でも注目を集める企業。マーケットプレイスには、柄が変化し続けるワンピースやスニーカー、パーツが宙に浮かぶジャケットなど、現実では再現できない魅力的なファッションアイテムが並びます。NFTでありながらも仮想通貨ではなく、一般的なファッションと同様にApple Payやクレジットカードで決済でき、購入のハードルを下げているのも魅力です。

デジタルファッションの「着用」を楽しめるブランド「TRIBUTE BRAND」

デジタルファッションは実際には着用できないのが難点ですが、それを解決するような試みも始まっています。デジタルファッションブランド「TRIBUTE BRAND(トリビュート ブランド)」では、デジタルファッションを購入後、自分の写真をアップすると、数日中にそのデジタルファッションを着用した写真が送付されます。SNSに投稿するためだけに洋服を購入する人たちもいる中、サステナブルの観点でも魅力的なサービスですね。

デジタルファッションと映画のコラボレーション アンリアレイジ ✕ 「竜とそばかすの姫」

既存のファッションブランドもデジタルファッションに進出しています。ファッションとテクノロジーの融合を特徴とする日本のブランド「アンリアレイジ」は、細田守監督の映画「竜とそばかすの姫」とコラボレーションし、登場人物の服をデザイン。2022年春夏パリコレクションではNFT作品として発表しました。これらのデジタルファッションは、日本初のNFT美術館 「NFT鳴門美術館」に総額5,000万円で落札されたことでも話題となりました。

6. デジタルファッションの今後の可能性

デジタルファッションは黎明期であり、今後の可能性は未知数です。ただ、NFTバブルが終焉といわれつつある中でも、ハイファッションのブランドが次々と参入を始めています。リアルなファッションとは競合せず、リアルなファッションではできない部分を補完できる魅力的な分野と言えるでしょう。既存のブランドだけでなく、デジタルに特化した新たなアパレルメーカーが次々と登場してくることも想定されます。

現時点では、デジタル空間での活用がメインとなっていますが、XRなどの新しい技術を組み合わせることで、リアルな空間で楽しむ試みもはじまっています。こうした点を考慮すると、デジタルファッションの活用はより広がっていくことが期待できるでしょう。

7. まとめ

オンラインゲームやメタバース空間で着用できるデジタルファッション。実際には着用できないという難点は持ちつつも、現実世界では不可能なファッションを楽しむことができるほか、「バーチャル試着」のように企業側・消費者側双方にメリットのある新たなサービスへの展開も期待できます。既存のファッションブランドだけでなく、デジタルファッションに特化した新興企業も参入するなど、今後の展開が期待される分野です。

デジタルハリウッド大学の学びの特色

VRやプロジェクションマッピングなど、新しいメディア表現やコンテンツを研究し、創造、開発する

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