AIイラストとは?生成AIとこれからのクリエイティブ
0. はじめに
SNSやニュースでも話題になっている「生成AI」。その中でもAIを利用して生成されるイラストを「AIイラスト」と言います。どんな特徴のイラストでも生成可能で、デザイン業界や広告、メディア制作など幅広い分野で活用されています。
本記事では、AIイラストを使用することでこれからのクリエイティブはどのように変化していくのかについて、デジタルハリウッド大学での学びや最新の研究成果の紹介を含めながら考えます。
<目次>
1. AIイラストとは?
AIイラストは、大量のデータを学習した人工知能(AI)が生成したイラストのことです。絵を描くのが苦手な人でも、簡単にイラストを生成することができます。
AIイラストに使用されるツール例
AIイラストに使用されるツールはさまざまですが、代表的な例として以下の3つが挙げられます。
- Stable Diffusion: Stable Diffusionは、ユーザーが入力したテキストをもとに自動で画像を生成するAIです。作成したいイメージをテキストで入力するだけでクオリティの高い画像を作ることができ、さらには商用利用することも可能です。
- RunwayML: RunwayMLは、機械学習モデルを使用してクリエイティブなプロジェクトを実現するためのプラットフォームです。様々なタスクに対応するモデルが提供されており、アーティストやクリエイターがAIを利用してイラストを生成するのに役立ちます。畳み込みニューラルネットワークや生成的モデルなどが利用可能です。
- DALL-E: DALL-Eは、OpenAIが開発したモデルで、テキストの説明に基づいて画像を生成することができます。例えば、ユーザーが「青い雲で覆われた城」などの説明を与えると、それに対応する画像を生成します。これにより、独創的で非現実的なイラストが生み出されることがあります。
AIイラストの将来性
これらのツールは、機械学習やディープラーニングの技術を駆使して、アートやクリエイティブなプロジェクトに新しい可能性をもたらしています。AIイラストに関する技術は日進月歩の発展を続けており、AIの学習能力や生成能力が向上するにつれて、よりリアルなイラストが作成されるだけでなく、個性的な表現やクオリティの高いイラストが生み出されるでしょう。
2. AIイラストの魅力・メリット
クリエイターがAIイラストを利用するメリットは多岐に渡ります。
1.表現の幅が広がる
AIイラストを使うことで、従来のイラスト制作では難しかった表現やデザインを実現することができます。幅広いテーマやコンセプトに対応した多様なイラストが作成可能です。
2.時間・労力を節約できる
AIが自動的にイラストを生成してくれるため、手描きやデジタル描画に比べて制作の時間と労力を節約することができます。また、修正や調整も短時間で行えます。
3.アウトプットの調整がすぐにできる
AIイラストは、パラメータや設定を調整することで、イラストの見た目や雰囲気を簡単に変えることができます。クライアントの要望に柔軟に対応することができ、より満足度の高いアウトプットを提供することができます。
4.イラストのクオリティを上げられる
AIが自動的に線画や配色を調整してくれるため、プロの技術がなくても高品質で美しいイラストを作成することが可能です。初心者でもプロ並みのクオリティでイラストを制作することができます。
3. AIイラストを生成する方法
AIイラストを生成する方法をいくつか紹介します。
1.作りたいイラストの特徴からイラストを生成
AIに特定のテーマや要素、キャラクターの特徴を与えることで、それに基づいてイラストを生成することができます。自分が思い描いたイメージ通りのイラストを簡単に作成できます。
2.画像から新たなイラストを生成
既存の画像をAIに与えることで、その画像から新たなイラストを生成することができます。写真などをベースに、アート感を持ったイラストを作成することができます。
3.ラフスケッチからハイクオリティのイラストを生成
手描きのラフスケッチをAIに与えることで、それを元にハイクオリティなイラストを自動的に生成することができます。手間のかかる修正や線画の仕上げ作業を省くことができます。
4.キーワードからイラストを生成
特定のキーワードをAIに与えることで、そのキーワードに関連するイラストを自動的に生成することができます。キーワードによって様々なテーマやイメージのイラストを簡単に作成することができます。
4. AIイラストの活用例
AIイラストはすでにさまざまな分野・業界で活用されています。
1.デザイン業界
広告やパンフレット、ウェブデザインなど、デザイン業界でのイラスト制作に活用されています。デザイナーのアイデアをAIによって具現化することができます。
2.マーケティング・広告
マーケティングや広告キャンペーンにおいても、魅力的なイラストは重要です。AIイラストを利用することで、効果的な広告素材を素早く作成することができます。
3.メディア制作
映画やアニメ、ゲームなどのメディア制作においても、AIイラストは利用されています。キャラクターデザインや背景イラストなど、多岐にわたる用途で活用されています。
4.ソーシャルメディア・コンテンツ制作
SNSやブログなどのコンテンツ制作においても、AIイラストが利用されています。目を引くイラストで、読者の興味を引きつけることができます。
5. デジタルハリウッド大学におけるAIイラスト
AIイラストの活用はまだ始まったばかりですが、デジタルハリウッド大学では教職員による研究や利活用が進められています。
例えば、2023年9月には生成AIと著作権に関するシンポジウムを学内で開催しました。
白井暁彦教授の著書『AIとコラボして神絵師になる|論文から読み解くStable Diffusion』は、AI画像生成技術の最先端を科学コミュニケーターである著者がやさしい口調で解説する、AIイラストの入門書です。
デジタルハリウッド主催の教育シンポジウム「近未来教育フォーラム2023」では、”Conversation With AI”をテーマに人工知能やビッグデータに精通した専門家による基調対談やプレゼンテーションを行いました。ちなみに、このイベントのメインビジュアルも実はStable Diffusionを使用して制作しています。
6. AIイラストを使用する際の注意点
このように活用の場面が広がっているAIイラストですが、使用する際には下記の点に注意することが必要です。
1.著作権
AIイラストを使用する前に、そのイラストの著作権が誰に帰属しているかを確認してください。AIイラストが商用利用可能なライセンスで提供されているか、または公共ドメインであるかどうかを確認しましょう。
2.危険な内容/情報流出
AIイラストが不適切な表現や性的なコンテンツ、暴力的なイメージなどを含んでいないかを確認してください。特に商業利用や公開目的の場合は、コンテンツの適切さをよく検討する必要があります。
3.プロンプト(入力)を与えるのにスキルが必要
AIに与えるプロンプト(入力)は、明確で具体的な指示であることが重要です。何を描きたいのか、どのようなスタイルや雰囲気を求めているのかを明確に伝えることで、より適切な結果を得ることができます。これらの適切なプロンプトを与える際にはある程度のスキルが必要です。
7. まとめ
今回の記事ではAIイラストができること、そしてこれらをどう活用していくかについて紹介しました。
これまでAIを「人間の職を奪う脅威」として考えられる方もいたかもしれませんが、AIをどう活用していくかがこれからの時代には必要とされています。今後も画像生成含め、AIの技術はますます進んでいくことでしょう。今回の記事をきっかけに、AIイラスト、そして人工知能の活用法について考えてみてはいかがでしょうか。
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