【学生起業】DHUをフル活用して法人設立。学生兼起業家のビジョン。
南羽 えぬさん
2020年度入学
経済産業省による「大学発ベンチャー実施等に関する調査」の2022年度大学発ベンチャー企業数において、全国13位(私立大学としては5位)にランクインするデジタルハリウッド大学(DHU)。本学は、さまざまな機会を通じて挑戦する学生を応援しており、新たなイノベーションを起こす人材を多数輩出しています。
今回インタビューしたDHU4年生の南羽 えぬさんは、在学中に会社を設立した起業家のひとり。地元・新潟県の観光地やNPO法人などに価値を提供し、少しずつ事業を拡大しています。今回はDHUで学習したことや、ご自身の事業について聞きました。
落合 陽一先生の授業を受けられるのはどこか、探した結果DHUへ
——DHUへ進学したいと思った理由を教えてください。
高校時代から落合 陽一先生が好きで、卒業後は落合先生のもとで学びたいと思っていました。落合先生が教員を務めている大学が何校かあり、そのひとつがDHUでした。
自分に合った受験方式があったことや、高校時代から行なっていたゲーム制作ができる環境だということで、進学を決めました。
——念願だった落合先生の授業は受けられましたか。
はい。落合先生は毎年メディアアートの授業を開講しています。講義・制作・展示会を2〜3週間で走り切る短期集中型の授業で、ハードな内容でしたがとても勉強になりました。
▼南羽さんが参加した2022年度メディアアートの成果発表展示会の様子はこちら https://school.dhw.co.jp/course/xr/contents/n_xr_blog_1.html |
南波さんが大きく影響を受けた2つのゼミ
——1年生から4年生になるまで、どんな分野を中心に学んできましたか。
VR/ARを中心に学びました。DHUで特にお世話になったのは、VR/ARゼミの茂出木先生です。基本的にゼミに所属するのは3年次になってからなのですが、僕は1年次から見学していました。
ゼミ活動にアバターで参加したり、エンジニアとして茂出木先生から仕事をいただいたりしています。VRコンテンツのユーザーとしてだけでなく、開発者の視点からも、茂出木先生のゼミで幅広く学んでいます。
——1年生のころから、ゼミの見学をしていたということは、昔からVRやARが好きだった?
そうですね。新潟から東京のVRイベントに来るくらいには好きでした。VRの機器やゲームはもちろん好きなのですが、それ以上に僕はバーチャルに関することを考えるのが特に好きで。virtualという言葉の本来の意味は「本質的には同じもの」なんです。
物事の本質(=体験者にとっての価値)を考察することが好きで、コンテンツ制作においても、本質的な体験の価値を考えながら制作しています。
——なるほど!場を体験するという点においては、現実世界もバーチャル空間も同じということですね。VR/AR分野のほかに、印象深い授業はありましたか?
1年次に受講したソニー株式会社(以下、ソニー)さんの企業ゼミです。僕が受けた企業ゼミのテーマは、事業立ち上げや地方創生でした。
ソニーさんで働いている講師の先生にアドバイスいただいて企画を考え、フィールドワークを実施しました。向かった先は十日町市の松之山温泉。ソニーさんが設定したフィールドワーク先がたまたま地元に近い温泉街で、働いている方々には大変お世話になりました。そこから、自分にできることがあれば力になりたいという気持ちが強くなったんです。
事業を拡大、継続するために会社を設立
▲南羽さんが開発した「AniGuide」
——DHUでさまざまな経験を積まれている一方で、南羽さんは今年起業もされたんですよね。
はい。4年生になって本格的に事業に力を入れようと思い、大学をいったん休学して会社を立ち上げました。
企業ゼミで、松之山温泉で働く皆さんとつながれたおかげで、本格的なお仕事になりました。今の主力の事業は、バーチャルのキャラクターが現実世界の温泉街を案内してくれる「AniGuide」というコンテンツの開発です。僕らがヘッドマウントディスプレイを観光客の方に貸し出して、松之山温泉を体験してもらう企画が現在進行中です。
また、新潟県内のNPO法人の方々ともつながりが生まれて、地元の子どもたち向けに3Dスキャン技術に触れられるワークショップを主催しています。たとえば、子どもたちが作った人形をスキャンして、デジタル化したものを動かす体験をしてもらいました。
▲ワークショップの様子を写真で見せてくれた
このワークショップは、子どもたちに3Dスキャン技術に関心を持ってもらいたい、アナログとデジタルでどんな違いがあるかモノづくりを通じて体験してほしいと思い、始めたことです。
——すでに複数のお取引先があるんですね。法人化しようと思ったのはいつでしたか。
2023年の7月ごろです。それ以前までは個人でお客さんとお取引していましたが、しっかり会社を立て、事業を拡大、継続していくという姿勢を関係者の皆さんに見せたいと思い法人化しました。
VRを活用し観光地のファンを増やしたい
——南羽さんの今後の展望を教えてください。
大きな夢は、“アンフレームドコンテンツ”をもっと世間に広めることです。これは僕の造語なのですが、スマホやPCなど四角枠に収まっているのをフレームドコンテンツ、ヘッドマウントディスプレイのように枠に囚われていないものをアンフレームドコンテンツと呼んでいるんです。
たとえばAniGuideは、「推し」キャラクターと観光地を歩くコンテンツです。臨場感や没入感の高いヘッドマウントディスプレイを活用しており、キャラクターが隣で案内してくれる、この体験自体のクオリティをあげることを何より重視しています。
このサービスによって僕が実現したいのは、サービス自体をオリジナルコンテンツとして成り立たせること。推しと過ごした時間こそが自分にとっての原作であり、また観光地に訪れたくなる。そしてゆくゆくは、その土地のファンを増やすことも僕の夢です。
——アニメキャラクターという日本のカルチャー、VR技術の活用、地方創生、すべてがつながった素晴らしいビジネスだと思います。
それをずっと考えています。この事業を継続するために、お客さんが現地に来てお金を落としてもらえるくらい、満足度の高いコンテンツを作りたいです。
——最後に、個人事業主になりたい、起業したいと考えている学生へメッセージをお願いします。
現在の悩みは、事業をする仲間がまだまだ少ないことなんです。僕が1年生だったころはコロナ禍真っ只中で友だちを簡単に作れませんでした。オンライン授業が主体だった1~2年生の間にそれぞれが専門領域を見つけていて、気づけば知識もついていた…という感じだったので、普通の大学生活を送れていたら、仲間をたくさん見つけてひとつのプロジェクトに取り組むことができたのかもと考えています。
DHUの学生は1学部ですが、4年生になるころにはそれぞれが専門領域・専門知識を持つようになっています。だからこそ対面授業が主体の今の在学生やこれから入学する人たちには、早い段階からいろんな人と仲良くなって、自分の可能性を広げておくと良いことが待っていると伝えたいです。
あとは、大学のリソースを最大限に活用すること。今僕がいるメディア・ライブラリーには、ふつうの書店にはおいていないような専門書も数多くあります。学生起業だとどうしても、一般の企業と比べるといろんなものにお金をかけにくいので、大学が提供してくれるリソースをいかに上手く使えるかが重要だと思っています。