ブランディングとはどういう意味?目的やメリット、施策の実行ステップを解説
商品やサービスの販売に携わっていると「ブランディング」という言葉をよく耳にします。しかし実際には「ブランディングの意味がよくわからない」「自社には必要性を感じない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
ブランディングは商品やサービスを売る企業にとって、重要なビジネス戦略のひとつ。
ブランディングに成功すると、ビジネスを有利に薦めることができます。やるかやらないかで売上が変わる、といっても過言ではないでしょう。
この記事では、ブランディングの意味と必要性、ブランディングをするための具体的なステップ、意識するポイントをあわせて紹介しています。
<目次>
1. ブランディングとは
ブランディングとは、自社ブランドに対する顧客のイメージや共感性を高め、付加価値の向上や他社との差別化を目指す活動を指します。
ブランディングの成功は、長期的な利益の確保・プロモーション活動への依存脱却につながります。近年では、商品やサービスだけではなく、企業経営にも必要とされている重要な活動です。
一般的なブランディングの定義
ブランディングとは、単に商品の認知を広げるための活動ではありません。
ブランドとは、一般社団法人ブランド・マネージャー認定協会によると、
ある特定の商品やサービスが、消費者・顧客によって「識別されている」とき、その商品やサービスを「ブランド」と呼ぶ
(引用元:https://www.brand-mgr.org/knowledge/word/新しいタブで開く)
と定義されています。言い換えれば、「競合他社と差別化するための要素」です。自社のブランドを確立して独自のポジションを築き、「これならこの企業(商品)」と顧客に共通イメージを持ってもらうことがブランディングです。
ブランド=高級品は間違ってる?
「ブランド」と聞くと、高級品をイメージする方も多いのではないでしょうか?しかし、ブランドは高級品だけを指す言葉ではありません。
たとえばファーストフード大手「マクドナルド」。黄色い「M」の看板がよく目立ちます。同時に看板を目にすると「ハンバーガー屋」「1食1000円以内で済みそう」などのイメージが沸いてきませんか?これがブランディングの成功事例です。
このように、顧客が認知した商品の価値や共通イメージを「ブランド」と呼びます。ブランド=高級品ではないのです。
2. なぜブランディングが必要なのか
ではなぜブランディングが必要なのでしょうか。
ブランディングに成功すると企業価値が高まり、中長期にわたって高い費用対効果をもたらします。
たとえば、「ちょっとオシャレな空間で美味しいコーヒーが飲みたい」という場面でスターバックスをイメージする方も多いのではないでしょうか。スターバックスの価格帯は少し高めですが、オシャレな雰囲気や美味しいコーヒーを求めてスターバックスを選ぶ人は多く、どこにでもある人気のお店です。
このように、特定のイメージが認知されると、商品を選ぶ場面で選択肢としてあげてもらえる可能性が高まります。
ブランディングに成功すると、集客やPR、販促などあらゆる場面で多くのメリットを得ることができるようになるのです。
3. ブランディングするための具体的なステップ
ブランディングは、ターゲットに「その企業ならではのもの」とイメージしてもらうための取り組みです。他社と差別化ができれば優位性を保つことができ、市場競争力が高まります。ここからは、ブランディングをするために必要なステップを具体的に紹介します。
ブランドの方向性を決定する
まずは「どんなブランドにするのか」ブランドの方向性を決めます。方向性を決めるために「環境分析フレームワーク」を使用します。
環境分析フレームワークには3C分析、PEST分析、5フォース分析があります。
3C分析:顧客のニーズ・自社と競合の強み弱みの分析
PEST分析:政治、経済、社会、技術の4つの要因から世の中の流れを分析
5フォース分析:業界内競争、新規参入者、代替品の存在、買い手売り手の交渉力、この5つの脅威から収益性を測る分析
これらを分析し、成功するブランドの方向性を決定します。
組織でブランディングの必要性を共有
ブランディングを企業で行う場合、企業全体で必要性やメリットを共有しておくことが成功の秘訣です。目的や必要性を明確化し、企業全体で理解することが成功につながるでしょう。
また、せっかく築き上げた企業のイメージも、途中で方向性がブレてしまうと、顧客に不信感を抱かせてしまいます。それがきっかけで顧客離れにつながる可能性も。ブランディングは長期的なビジネス戦略です。
そうならないために、方向性をしっかり決めて、企業全体でブランディングの必要性を共有し、理解しておきましょう。
ブランドコンセプトを決定
ブランドの方向性が決まったら、ターゲット層やターゲットに提供できる価値『ブランドコンセプト』を決めます。誰にどんな目的で、どんな機能が受け入れられるか、具体的に決めていきましょう。
それに合わせてターゲットに一番伝わる言葉で、ブランドコンセプトの言語化を行います。いくつも候補を出して、伝えたい価値や企業の武器、特徴が一番伝わる言葉を選定してください。選ぶ言葉ひとつつで、顧客に伝わるイメージは大きく変わります。
ブランドアイデンティティを設定する
ブランドアイデンティティとは、「ターゲットからこう思われたい」「こんなイメージを持ってほしい」という企業が作り上げる行動の目標です。
ターゲットが企業名やブランド名を見ただけで、企業が設定したブランドアイデンティティをイメージできるのが理想です。
そのため、愛着を持ちやすいもの、企業が提供できるものがより伝わる内容など、個性あるブランドアイデンティティを設定しましょう。継続してPRすることでターゲットのイメージ定着につながります。
ブランドの価値を設定する
ブランドの価値とは、ターゲットがブランドから得る【喜びの度合い】です。
ブランドから得る喜びが多いほど、愛着や思い入れを抱くようになります。
顧客が価値を感じる項目は、大きくこの4つに分類されます。
- 実利価値…品質、機能、使いやすさ
- 感性価値…デザイン、ブランドの個性
- 情緒価値…好印象の使用実感や体験
- 共鳴価値…価値観の表現、社会的実現
ブランドの価値を設定することは、競合他社と差別化やブランド力向上にもつながります。
ブランド名・ロゴの作成を行う
ブランド名とロゴは視覚的要素として、顧客の記憶に残り、ブランドイメージに大きく関わります。
ブランド名は分かりやすいものが好まれます。かつ、ターゲットが間違えやすいような似たブランド名がないことも重要でしょう。
ロゴは、細かすぎるデザインだと縮小したときに見づらくなってしまうことも。あらゆる場面で使用されることを想定し、拡大縮小してもパッと見てわかるデザインがいいでしょう。加えて、ブランドが持つ価値観やブランドコンセプトに合ったデザインであることも大切です。
ブランディングでのタッチポイントを決める
タッチポイントとは、【ターゲットとブランドの接点】です。
たとえば「ターゲットが広告を見てブランドを知る」「口コミ記事を見て商品を認知する」ことです。
タッチポイントの設定において重要なのは、「ブランドを認知してもらえれば良い」というわけではなく、ブランドが伝えたいメッセージがターゲットに正しく伝わるかどうか。そのため、ブランドイメージを明確にして、ターゲットがどんな媒体にどの程度触れているかを把握した上でタッチポイントを決めましょう。
ブランドの認知度を検証する
ブランディングを開始して、一定期間が経過したところでブランド認知度を検証します。
認知度とは、ターゲットがブランドをどの程度認知しているか、を指します。ブランドはターゲットに認知され、魅力を感じてもらうことで形成されます。そのため、ターゲットがブランドに対してどのようなイメージを持っているかを調査するのです。
調査会社を通したアンケート調査やWeb広告を利用する方法が検証の手法として挙げられます。検証結果によっては、タッチポイントの見直しや広告媒体の見直しも必要です。
4. ブランディングとマーケティング、プロモーションとの違い
ブランディングと同じ場面で聞くことが多い言葉に「マーケティング」「プロモーション」があります。実際に使っている人も、意味をきちんと理解している人は意外と少ないかもしれません。
どのような違いがあるのでしょうか。ここからは、関係性も合わせて解説していきます。
ブランディングとマーケティングの違い
ブランディングとマーケティングの違いを簡単に説明すると、
ブランディング・・・消費者のイメージを高めるために行う活動
マーケティング・・・商品やサービスを効果的に売るために行う活動
この2つはどちらも商品やサービスを売るために行う活動ですが、目的が異なります。
また、ブランディングはマーケティングの1つとも位置づけられます。ブランディング力が高まると、マーケティングの費用対効果も高まる、というような関係性もあります。
ブランディングとプロモーションの違い
ブランディングは、他とは異なる独自のイメージ、消費者に良いイメージをもってもらうための行動ですが、プロモーションは販売促進や新規顧客の獲得を目指す手段です。
しかし、この2つは無関係なものでもありません。ブランディング活動によってターゲットに良いイメージを認知してもらい、さらに商品の購入につながるプロモーションを行い、販売促進につなげる、という連動した関係性にあります。
5. ブランディングで意識すべきポイントについて
ブランディングを行う上で意識するポイントは「どんな人に何を伝えたいのか」ということです。
ブランディングとは、ターゲットに対して自社のブランドを高いイメージで認知してもらうために行う取り組み。そのためには「どんなブランドで、どのような価値をターゲットに提供できるのか」を明確にしておかなければターゲットへのアプローチ方法を考えることができません。
また、ブランドがターゲット市場で良いポジションを確立できるのか、事前に調査する必要もあります。すでに似たライバルブランドがある場合は、自社のブランド価値を見直す必要も出てきます。
ターゲット市場と自社ブランドの価値をよく理解しておくことはブランディングの基本です。
6. ブランディングについてもっと詳しく学ぶには?
ブランディングは、市販されているビジネス書や大学などの専門の学校で学ぶことができます。
会社でマーケティングに携わる人、個人的に知識を得たいと思う人など、ブランディングについて学びたいと考える場面や目的は人それぞれ。
個人的に趣味でブランディングの知識を得たいと考える人は、ブランディングをテーマにしたビジネス書で知識を得ることができるでしょう。
ブランディングの知識を仕事に生かしたい、より深い知識をつけたいと考える人は、専門的な学校で学ぶことをおすすめします。基礎からしっかりと学ぶことで、ブランディングの構造を理解できて、仕事にもつながりやすくなります。
7. デジタルハリウッド大学での学び
デジタルハリウッド大学では、デジタルスキルの習得だけでなく、経営やマーケティング、広告、広報・PR等など、新たなコンテンツビジネスを創出するための学びを提供しています。ブランディングに関連する科目としては、「マーケティング基礎」「イベントプランニング」「ビジネス心理学」「リサーチ基礎」などが挙げられます。
8. まとめ
企業や商品を良いイメージで広く認知してもらうためのマーケティング戦略のひとつであるブランディング。
ブランディングが成功すると費用対効果が高まり、ビジネスを有利に進めることができるようになります。確実に成功させる方法は決まっておらず、ブランドに合ったやり方で進める必要があります。
そのためにブランディングの方法や目的、必要性をしっかり理解した上で、ブランドに合ったやり方でブランディングを行いましょう。
デジタルハリウッド大学の学びの特色
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