【祝グランプリ】サイバーエージェントのCGクリエイターになる波多野さんが実践した、CG制作上達の極意とは
波多野 涼さん
2025年度卒業

デジタルハリウッド各校を卒業した学生によって生み出された卒業制作の中から、年度ごとに優秀作品を決めるクリエイティブアワード「DIGITAL FRONTIER GRAND PRIX」。
2025年度のグランプリに選ばれたのは、デジタルハリウッド大学(DHU)を卒業した、波多野 涼さんと大西 香々望さんによるフルCGアニメーション作品『EMOLI』でした。制作者のひとりである波多野さんは、DHUに入学してからCGアニメーションの勉強を開始。在学中に作品制作を続け、2026年度からは株式会社サイバーエージェントの3DCGクリエイターとして働き始めます。
DHUで過ごした4年間で、どのようにして技術力・表現力を身に着けていったのでしょうか。
CGアニメーターを志しDHUに進学
——波多野さんはDHUに入学してから主に3DCGのアニメーションを勉強していました。入学前からCG制作をしていたのでしょうか。
小学3、4年生のときにPCに興味を持ち始め、制作を始めました。当時はボーカロイドの曲とMVが好きで、自分でも二次創作のPVを作ってみようと思って。物置から誰も使っていなかったPCを引っ張り出して、ニコニコ動画に投稿していました。音に合わせて映像を動かす、音ハメが気持ちよくて、中学3年生くらいまでモーショングラフィックス映像の制作を続けていました。
CGに興味を持ったのは高校生のとき。それまでは、図形やテキストなどを音楽に合わせて動かす、モーショングラフィックスにハマり、その技術を活用したMV制作に熱中していました。
——小・中学生のころは、モーショングラフィックスを誰かから教わっていたのでしょうか。
いえ、ほとんど独学でした。ツールについて分からないことがあれば、YouTubeのチュートリアル動画を見て解決するようにしていました。また、Twitter(現 X)で、同年代の人が集まる制作コミュニティに入っていたため、「ここが分からない」とつぶやくと誰かが教えてくれました。
——それからなぜCGに興味を持つように?
高校1年生になって、大学進学や就職について考える機会が増えてきたときに、自分が続けてきた映像制作を仕事にするイメージが湧かなかったんです。それから、需要がありそうなエンジニアになるのはどうかと考えプログラミングの勉強をしてみたのですが、自分の中で面白みを見出だせず断念。その後、高校2、3年生ごろに興味を持ったのがCGアニメーションでした。
もともとは2D作画のアニメが好きで、従来の3Dアニメには違和感を持っていました。ですが『宝石の国』という3DCGのアニメを見て、こんなに感動できるんだ!とイメージを覆されて。調べてみるとオレンジという制作会社が作った作品でした。自分もいつかはその会社のCGアニメーターに、と考えるようになり、そのころからBlenderを触り始めて3Dモデルを作るようになりました。
——進学先はどのように検討していきましたか。
CGを学べる専門学校と工業大学、DHUの3校を検討しました。その中でDHUは、技術力の向上だけでなく、いかに表現するかを追求できそうな環境だと思い、第一志望でした。またCG以外にも周辺領域の勉強ができ、現役のクリエイターから直接教わることができます。高校生の時点では「自分は将来CGアニメーターになる」と決め切っていたわけではなかったので、さまざまな分野を学べるDHUへ進学しました。
技術力と表現力を養うため、1年次から取り組んでいたこと

——DHU入学後はどんな授業を受けましたか。
まずは、改めてCGの基礎を学ぼうと、古岩先生が担当している「3DCG演習」を受けました。1年生のときにはツールの扱い方を学び、授業の課題とは別にCGアニメを自作していました。
その作品を自分のスマホにダウンロードし、授業が終わったタイミングで先生に声をかけ、見てもらう。先生にフィードバックをもらったら、再び翌週に修正版や別のカットも見てもらう。1年生のうちはそのサイクルをずっと続け、少しずつスキルを磨いていきました。
——どのようなものを制作していたのですか。
まずはセンスがあると思った人の作品を模倣していました。自分にはおそらく天性のセンスはないだろうから、模倣するしか上達の道はないと考えたんです。同じ軌跡を辿れば、その人が何を考え、どんな苦労をしたのか追体験できるだろうと思っていました。
誰かの作品を参考にし続けていると、「自分だったらこんな表現もできそう」と新しいアイデアが浮かんでくることもあって。模倣によって自分の表現力がアップしていく感触がありました。
——その努力が実を結び、波多野さんは1年生のときに受けた「CG-ARTSアニメーション実技試験」で見事全国1位になりました。
DHUに来たからには、1年生のうちに10位以内には入りたいと思っていたので、とてもうれしかったです。名だたる制作会社が審査を務めているため、もし自分の技術が通用しなかったらどうしようと心配ではありました。でも、いざ受けてみると、1年生の段階で「新卒採用を前向きに検討したいレベル」と評価してくれた企業もあり、自信になりました。
それからは安心してアニメ制作に打ち込めるようになり、模倣だけでなくオリジナルの世界観やキャラクター制作にも取り組み始めました。
——4年間を振り返って、やっておいてよかったことはありますか。
CGの授業以外にも、1年生のときに履修した「作画演習」は受けておいてよかったと思います。この授業では、2Dの静止画をいかにして動画にするのか、アニメーション制作フローを学べました。
CGアニメを制作する場合、CG特有の滑らかな動きから意図的にコマを間引き、手描きイラストのようなセルルック調の動きに変える、リミテッドアニメーションという方法があります。それまではコマ抜きをしてCGアニメを作る経験をしてこなかったので、コマを作る作業ができたのはよかったと感じています。
業界には2Dアニメーターから転身した3DCGクリエイターの方も多く、授業で触れた内容が話題に出ることがあり助かっています。
ほかには、3DCGサークルに所属したのも良い経験となりました。サークルには金森 慧さんという2学年上の先輩がいて、古岩先生だけでなく金森さんにも作品を見せてフィードバックをもらっていました。僕が2年生のときには、金森さんの卒業制作作品である『ORIGAMI』にアニメーターとして携わり、チームでひとつの作品を作り上げる経験ができました。
DHU卒業後は、サイバーエージェントのCGクリエイターに

——就職活動を始めたのはいつごろですか。
2年生のときには就職活動を意識し始めていました。まずは、CGアニメを作っている制作会社や、『ウマ娘』や『Shadowverse』などのゲームを開発するサイバーエージェントなどのインターンとして働き、どんな現場なのかを勉強していました。
アニメ業界とゲーム業界、どちらで働くか悩んでいた中、ちょうど『ゼンレスゾーンゼロ』という新しいスマホゲームの情報がリリースされました。上海のゲーム会社が開発したものなのですが、日本のユーザーが親しみやすい、手描きで作画したようなセルルック調のアニメが演出のひとつとして流れます。
クオリティの素晴らしさに惹かれたのと同時に、これを日本のスマホゲームでも実現できたら……と少し悔しい気持ちもあって。自分が日本のゲーム会社で働いて、日本国内外の人を驚かすようなゲームを作りたいという気持ちが湧いて、ゲーム事業があり、ヒットタイトルも複数出しているインターン先、サイバーエージェントの選考に進みました。
——選考に向けてどんな対策をしましたか。
サイバーエージェントは、他のゲーム会社と比較して、企業カルチャーとのマッチ度を重視している企業です。技術力や表現力があっても、面接でカルチャーマッチしないと判断されれば採用されないそうなんです。それを教えてくれたのがインターンを通じて知り合った先輩でした。選考に進むと決めてからは、インターンに行くたびに先輩に面接対策を手伝ってもらいました。
——他社の選考は考えましたか。
いえ、3年生の夏ごろにはサイバーエージェントから内定をいただいたので、他社の選考は受けませんでした。内定をいただいてからは内定者としてアルバイトをするようになり、配属の可能性がある部署をひと通り見学させてもらっています。

——4年間を振り返って、改めてCG技術上達のために大事にしていたことは何でしょう。
やはりを模倣することが大事だと思います。最初から無理してオリジナルキャラクターや動きを考えようとせず、センスのある人の作品を徹底的に真似る。ある程度自信がついてきたら、怖いと思うけれど誰かに見せる、ネットに投稿する。それから自分が何を作りたいのかを考えて、完全オリジナル作品に取り組むのがいいと思います。
たとえばXに投稿すると、CG作品に興味を持っているユーザーのタイムラインに、おすすめとして表示されることもあります。そこから縁がつながって、自分の将来が変わることもあるので、作品を必ずSNSに投稿した方がいいです。僕はXを通じてインターン先の企業の方と知り合うことができました。
また、先ほど授業後に毎週先生からフィードバックをもらっていたとお伝えしましたが、フィードバックをもらい続けていると、それに納得できなくなるときがきます。制作を続けて自信がつき、自分なりのやり方を見出し始めると、「違うんじゃないか…?」と素直に飲み込めなくなる瞬間があるんですよね。
それでも、まずは素直に聞いて修正するようにしていました。客観的な意見は貴重であり、言われたことはとにかく取り入れようと決めていたからこそ、上達できたのだと思います。
——最後に、DHUの後輩や受験生に向けてメッセージをお願いします。
素直な気持ちで、制作を続けてください。チュートリアル動画を見たときには、まずは言われたとおりに作業しましょう。フィードバックをもらえたら、素直に意見を取り入れましょう。何事も素直さが大事だと思います。皆さんの活躍を祈っています!。



