持ち前の明るさで人と会社を繋ぐ。「スタートアップの採用広報」ってどんな仕事?
渡邉 さくらさん
2022年度卒業

高校時代、家族のふとした一声をきっかけに2018年4月にデジタルハリウッド大学(DHU)へ入学した渡邉さくらさん。社会人3年目となる現在(2024年12月)は、株式会社ジザイエの採用広報として活躍しています。
ジザイエは「自在化」という技術を用いて、リモートワークの恩恵を受けていないエッセンシャルワーカーやブルーカラーワーカーと呼ばれる方々に新しい働き方を提供することを目指すスタートアップ企業です。
今回のインタビューでは、DHUへの入学を検討する受験生にとってはなじみの薄い「採用広報」という仕事に渡邉さんが出会うまでのストーリーを中心に、大学生活で得た知見や経験を社会人としてのキャリアにどう生かしているかを深掘りします。
聞き手:
菅原美智流(学部2年|キャンパスPRプロジェクト7期生)
掃除から学んだこと
━━DHUに入学するまでの経緯についてお伺いします。
高校3年の春くらいまでは、ウェディングプランナーや保育士を目指していました。そんな中、ある時父から「これからの時代、PC1つでできる仕事とか考えてみてもいいんじゃない?」と言われ、勧められたうちの1つがDHUでした。
さっそくオープンキャンパスに参加すると、デザイン制作や広告の体験授業などが楽しくて、キラキラしている先輩たちを見ているうちに興味が湧きました。この大学で学びたいと思い、その後もオープンキャンパスに通い詰めました。合計で5〜7回くらい参加しました。
━━在学中はどのような分野を学びましたか?
Webデザインを学ぼうと思って入学したんですが、Web以外の分野もひと通り履修して、基礎のところには触れました。
一口にデジタルスキルと言っても合う・合わないがあると思っていたので、何が自分に向いているのかを探っていきました。結果、Webはコードを書いていると眠くなってしまうことがわかり(苦笑)、自分の視野にはなかったマーケティングが面白いかもしれないと思うようになったんです。
━━DHUの広報イベントを支える在学生インターン「キャンパスPRプロジェクト(CPRP)」の1期生としても活動していたんですよね。
学内の掲示板に「学内インターン募集」という案内があり、募集要項に「1年生でもOK」「社会人スキルが身につく」といったことが書いてあったんです。1年生のうちから経験を積めるならやってみよう!という思いで応募しました。
━━印象深かったエピソードはありますか?
イベント当日の朝に必ず、CPRPメンバー全員でキャンパス内の清掃をするんです。入試広報のスタッフのみなさんといっしょにペーパータオルと洗剤と掃除機を持って、廊下の窓の桟(さん)とかまで、かなり念入りに。正直、当時は「そんな細かいところまでやるのか、大変だな…」と思いながらやっていたんですけど、社会人になってからその大切さを実感しました。
━━と、いうと?
来場された方が「そこは気づかないだろう」と思うところまで綺麗にしておくと、必ず誰かが見てくれているんです。実際、オープンキャンパスの参加者アンケートに「校舎がキレイでした」と書いていただくこともあって。
その経験があったから、今の職場でも大事な商談や来客がある時は、先回りしてデスク周りの整頓や掃除をして、会社に良い印象を持ってもらえるように心がけています。そうすると、会社の先輩から「いつもありがとう」と言ってもらえるんです。いつの間にか気遣いが身についたんですよね。
他にも、オープンキャンパスで来場された方にペットボトルの水を配る際、大学のロゴが見えるように手渡しするとか。こういう細かな気遣いを学べたことが、今思えばすごく大事だったなと。
私は企業のインターンにもいろいろ参加したのですが、そこでは社員さん含め知らない人ばかり。緊張感があるし、マナーも気をつけなきゃ、みたいな意識が強い。その点、CPRPは活動の拠点が大学内なので周りに同級生もいるし、フランクな環境なので、はじめの一歩として安心して活動できました。

失敗したことはない
━━社会人になって、渡邉さんが大事にしていることはありますか?
「人との接し方」ですね。元気よく挨拶するとか、相手の目を見て話を聞いてうなずくとか、時間を守るとか。当たり前のことを当たり前にすることを大事にしています。
というのも、学生時代に企業でインターンをしていた時、当たり前のことを当たり前にできる社会人が思ったより少ないなと感じたんです。ショックでもあったのですが、逆にそれができたらより活躍できる人になれると思いました。
当たり前のことをより丁寧にできる人になれば、周りも「この人に教えてあげたい」とか「協力してあげたい」みたいな気持ちになるはず。そういう思いから、初歩的なことをちゃんとやることを常に意識しています。
━━社会人になって失敗したことはありますか?
んー、人間だから小さな失敗はいくつかありますが、大きな失敗は思い当たりません。
ジザイエには社員5名ぐらいの時に入社したので、親や周りの友達からはとても心配されました。でも、この選択が失敗だと思ったことはありません。
失敗とは異なりますが、ネガティブな気分になることはあります。大手企業に務める新卒社員の方と話したりすると、入社直後からいろいろな研修を受けているらしく、商談前後のマナーのひとつひとつが素晴らしくて。「私、これできていないかも!」とか思って、ちょっと羨ましくなったり。
とはいえ、次の日になったら「できていないことは次から改善すればいいか」とポジティブに切り替えます。周りから見て失敗かもと思われても、反省して改善したら次の日には持ち越さないマインドで生きています。設立から2年で社員30名規模の会社に成長し、実現したいビジョンに向かって仕事ができているので、幸せな環境です。
━━強い……見習いたいです。ジザイエにも大学生のインターン生がいると思いますが、どんな方がいますか?
やる気のあるメンバーが多いです!先日、インターン生と出張に行ったんですけど、「ここをこうしたほうがいいんじゃないですか?」って言ってくれたり、資料も先回りで作ってくれたり。エンジニアのインターン生も一人で出張に行っていて、社員並みの働き方をしていました。一歩先を走ってくれるインターン生がいっぱいいるので、びっくりしますね。
採用広報の仕事とは
━━現在の仕事についても伺います。採用広報とは、そもそもどのような仕事なのでしょうか?
肩書きは「HR/PR Producer」です。ジザイエの事業紹介やCEO(代表取締役)をはじめとする社員のインタビュー記事の作成などを通じて、ジザイエに興味を持っていただくと同時に、弊社のメンバーとして活躍したいと思ってもらえるような情報発信に努めています。

━━採用広報を担当するうえで心がけていることがあれば教えてください。
ジザイエの仕事の楽しさが伝わるといいなという気持ちで、ありのままに書くことですね。発信する情報はすべて私自身も関わっているプロジェクトやイベントなので、その時の熱意が冷めないうちに書くようにしています。
また、記事だけだと伝わらない部分もあるので、FacebookなどのSNSには社内の雰囲気が伝わるような投稿もしています。 写真もよく撮影しています。写真で会社の様子や雰囲気を知って入社を決めてくれたメンバーもいるので、もっとうまく伝えられるように頑張りたいです。

━━「広報」を仕事にする、ってどんな感じですか?
たとえばCPRPのような大学広報だと、主なターゲットは受験生。なので、DHUに関心のある高校生により興味を持ってもらえるような発信をすることになりますよね。
ジザイエは?というと、サービスを導入しているクライアントもいるし、投資家もいるし、採用候補者もいるし、ユーザーのコミュニティもある。気を遣わなきゃいけないところがたくさんあるので、記事を書く時には「これは誰に届けたい情報なのか」を考えつつ、発信する媒体を変えるなどの工夫をしています。
また、採用広報は前に出ることが多いので、行動や身だしなみも普段から意識していますね。以前、チームメンバーから「さくらちゃん、最近疲れてるみたいだけど仕事大変なの?」と言われたことがあって。それ以来、会社の顔として見られることを意識しています。
夢は「挑戦できる場をつくること」
━━大学の授業の中で、今の仕事に活きていることはありますか?
「色彩論」ですね。授業そのものも面白かったのですが、審美眼を鍛えるという点で役に立っています。
「Webデザイン演習」も役立ちました。弊社にはエンジニアがたくさんいるのですが、自分でコードを書いた経験があるからこそエンジニアの苦労が分かるので、依頼する時もスムーズにコミュニケーションが取れる。作業ペースの早い・遅いもある程度理解できるので、納期がきつい時は気遣うことができます。
━━これからの目標や、夢はありますか?
祖父が昔、個人経営していて、その会社を父が引き継ぎ、コミュニティスペースやイベントをやっているのを見て育ってきているので、私もそういう活動に興味があります。
そのコミュニティスペースは土日の朝空いているので、まずそこでカフェを開いてみたいという目標があります。母や友達も一緒に仲間に加わりたいと言っていたので、みんなが挑戦できる環境をまず創り上げたいと思っています。
もしそれが軌道に乗ったら、弟も建築を学んでいるので、10年後ぐらいに新店舗を作ってもらうとか、いろいろ妄想して企んでいます。これまでのインターンや社会人経験を通じて、開店・起業のためのナレッジは溜まってきているので。
━━この渡邉さんのパワフルさはどこから来ているのでしょうか?
よく「猪突猛進だね」とか「好奇心旺盛だね」とか言われます。でもそれには理由があって、幼い頃に大きな病気にかかったことがあるんです。それを乗り越えられたからこそ、多少失敗しても死ぬことはない、みたいなマインドが昔からあります。
だから、大学入学直後からインターンに挑戦したし、大企業ではなく自分が実現したいビジョンを持ったスタートアップを選びました。人間はいつ死んでしまうかわからないので、興味を持ったことには迷わずどんどん挑戦しようというのが自分の中で根付いているのかもしれません。
なので高校生や在学生のみなさんも、ぜひ恐れずに何にでも挑戦してほしいです!

━━私たち後輩も勇気づけられました。ありがとうございました!
(2024年12月5日、大手町ビルにて)