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【開催レポート】映像集団STUDIO4℃クリエーターによるメイキング特別講義&STUDIO4℃最新作『海獣の子供』冒頭15分特別プレビュー!

【開催レポート】映像集団STUDIO4℃クリエーターによるメイキング特別講義&STUDIO4℃最新作『海獣の子供』冒頭15分特別プレビュー!

開催日時

2019年6月4日(火)19:30~21:00

場所

デジタルハリウッド大学 駿河台キャンパス
東京都千代田区神田駿河台4-6
御茶ノ水ソラシティ アカデミア 3階 駿河台ホール

レポート

デジタルハリウッド大学 2年  土屋 康祐

 デジタルハリウッド大学では、特別講座「映像集団STUDIO4℃クリエーターによるメイキング特別講義&STUDIO4℃最新作『海獣の子供』冒頭15分特別プレビュー!」を開催しました。

 講師を務めてくださったのは、本作「海獣の子供」にてCGアニメーション、CGIアートを担当された、STUDIO4℃の平野浩太郎氏、稲葉昌也氏です。本講座では、まず映画冒頭の15分を上映した後に、お二人がこの映画のアニメーションを完成させるにあたり、どのような作業を行ったかを解説していただきました。

「海獣の子供」とは

 原作、五十嵐大介先生の「海獣の子供」を「鉄コン筋クリート」のSTUDIO4℃がアニメーション制作、映画「ドラえもん」や「宇宙兄弟」などを手掛けてきた渡辺歩氏が監督を務め、音楽を久石譲氏、声優には芦田愛菜さん、ピクサーアニメ「リメンバー・ミー」の吹き替えを務めた石橋陽彩さんを起用するなど今話題のアニメーション映画です。

作画とCGアニメーションの融合

 まず、主に鯨の3DCGアニメーションを担当された平野氏からお話をいただきました。本作を製作するにあたってまず求められたのは、原作の五十嵐大介先生の画力の凄まじさをアニメーションで再現することだったそうです。この作品では、人物のキャラクターは作画、魚たちは3DCGで描かれています。作画とCGを組み合わせたアニメーションは、見ていて露骨に違いが分かってしまいがちですが、この作品では極力そうならないように、CGアニメーションを作画に寄せるようにして製作されたそうです。

 例として、予告編でも使われた、「海面がせりあがり、そこから鯨が勢いよく出てくるシーン」がどのように作られたかを、工程ごとに解説していただきました。監督が描かれた絵コンテやレイアウトとそれを受けて制作した1個目のCG。そのアウトプットを受けて作画監督の小西氏がそれをさらに修正したもの、修正を受けて、再びCGを完成させるための下準備として作ったもの、最終的にOKになったカット。

 最初に作ったCGアニメーションは、OKになったカットと比べると作画とCGとの違いが分かりやすすぎると平野さんはおっしゃっていました。作画監督の小西氏にもその点を指摘されたそうです。なぜそうなってしまったかというと、そこには作画とCGの違いが大きく関わっていました。作画は線の情報なので、秒間8コマ程度あれば滑らかな動きをしてくれます。それに対し、CGは面の情報なので、可能な限りたくさんのコマを使わないと滑らかな動きをしません。この差が、明らかな違いを生み出していたそうです。

 また、鯨の体全体の動きがスムーズすぎる。生き物の動きに含まれる、緩急、ねじれ、くびれなどの要素を描き切れていないという問題点もあったそうです。

 OKになったカットを作る際は、作画監督に「次に作ったやつがアウトだったら鯨は作画でいく」と言われ、全霊をかけて製作されたそうです。その結果、鯨の、生身の生き物らしい動きを描写することができたとおっしゃっていました。

劇中のエフェクトに関して

 続いてCGIアーティストの稲葉氏から、主に担当された「祭り」のシーンのエフェクトに関して制作手順を追ってお話をいただきました。その「祭り」とは、主人公の体の中に宇宙の星々が映るというカットでした。

 まず、美術監督、作画監督が描かれたレイアウトには主人公の上半身の輪郭が描かれているのみで、そこからエフェクトを作り上げなければなりませんでした。そこで、作画監督がこれまでに描かれた宇宙のシーンから、星や銀河などを50個ほど集めてきて、Adobe After EffectsのTrapcode Particularの機能を用いて配置しました。また、キャラクターの輪郭から金色の粒子を飛ばしてほしいというリクエストがあり、それはプラグインを使って実現させました。

 つまり、この映画を製作するにあたって、作画担当の方々が考えるVFXのようなことをすべてAfter Effectsで製作したそうです。

 また、ジンベエザメが海の中で光の粒子を食べるシーンでは、同じくTrapcode Particularを利用したそうですが、この機能には、エフェクトを一点に集めるといった描写は難しいそうです。ではどうやったのかというと、吐き出す映像を作った上でそれを逆再生することでカットを作ったそうです。

3Dの背景と2Dのキャラクター

 最初に上映された冒頭15分に含まれていた、主人公が学校から飛び出して街中を走っていくシーン。 キャラクターは作画で描かれたものですが、背景はAfter Effectsのカメラマップという機能を使って3Dで製作されたものだと、稲葉氏が説明して下さいました。

 美術さんがキャラクターが走っていく場所に応じた背景を20枚程度描き、After Effects上で壁を作って背景のイラストを壁紙のような形で張り付け、それをカメラで撮影しているというわけです。背景に含まれる影や、カーブミラーに映りこんだ景色なども美術さんが描いてくれているので、3Dを利用しているという違和感を感じさせないとのことです。

 二次元の絵は背景の奥の方ほど描写を省略して、手前の情報をより細かく描きます。これを3Dを用いて表現したそうです。

製作スタッフ全体の連携

 映画は、監督、作画監督、美術監督、作画、3DCGなど、全てのスタッフが緊密に連携をとりあって製作するもの。上記の例からもわかるように、作画監督との意思疎通が不可欠です。

 絵コンテや、絵コンテを修正してできるレイアウトから、監督がどのシーンに強いインパクトを持たせたいかを理解し、それを取り入れてアニメーションを完成させていきます。意見を共有し、良いカットを完成させるにはとても時間をかけなければなりません。 

 本作「海獣の子供」は、5年もの総製作期間を費やした末に完成したそうです。通常のアニメ映画は大体3年くらいと考えると、この長さがよくわかります。平野氏が紹介してくださった鯨のカットは、1カットのためだけにおよそ1か月も時間をかかっています。作画監督が、作画の仕事全体にとてもこだわり、通常はとても時間がかかる3DCGも、もっと時間をかけてより良いものを作り上げることができたと平野氏はおっしゃっていました。

 ちなみに、スタッフの中には、フランス人、中国人など、多くの国籍の人たちが混ざり合って製作をしていたそうです。

さいごに

 「アニメを見ていて『今のわかりやすいCGだな。いけてないな』と思われることが多いと思うが、この作品では極力そうならないように心掛けた」と平野氏はおっしゃっていましたが、私も実際にアニメーションを見ていて同様の感想を持つことが多いです。現場の最前線で働いている方々は、作画と3DCGの組み合わせ方についてどのように考えられているのかを知ることができる、とても有意義な時間を過ごすことができました。

   

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