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【開催レポート】墨田クリエイターズバトン第5回  行政マンと経営者が語るクリエイターの街 すみだ

【開催レポート】墨田クリエイターズバトン第5回  行政マンと経営者が語るクリエイターの街 すみだ

開催日時

2022年1月13日(木)19:20~21:00

場所

オンライン開催(ZOOM)

 2022年1月13日、デジタルハリウッド大学では特別講座『墨田クリエイターズバトン第5回【行政マンと経営者が語るクリエイターの街 すみだ】』を開講しました。

 講師を務めてくださったのは、クリエイター専用のシェアオフィス”co-lab墨田亀沢:re-printing”を運営する株式会社サンコーの取締役社長である有薗悦克さんと、墨田区の産業を支援する行政担当者である小林弘明さんです。

 墨田区の事例から、街の一員としての活動の始め方、その活動に対する行政の支援、若者への期待やキャリアなど、実際にコミュニティを作ってきた墨田区の経営者、行政担当者の目線から対談形式でお話しいただきました。

 本講座はZoom によるオンライン中継での開催となりました。

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墨田区の行政マン 小林弘明さん

 まずは小林さんの自己紹介から講義は始まりました。

 小林さんがなぜ墨田区の職員になったかというと、専門学校生の時、学校があった墨田区の定食屋でお店の方々の人情に触れ、それが強く心に残っていたことがきっかけだったと仰っていました。

 平成3年に墨田区役所に入庁されてからは、まず福祉事務所で福祉サービスの提供を行い、その後リサイクル清掃業務、広報広聴担当を経て、現在は経営支援課に在籍され、雇用促進、創業支援、人材育成支援を行われているそうです。

 小林さんは次に、墨田区の産業支援についてお話されました。墨田区は古くから工場が多く、近代工業発祥の地と言われるほどの産業の街でした。昭和54年には、全国の自治体に先駆けて中小企業を振興する条例を制定し、係長級以上の約200人の職員を総動員して、区内製造業の約9,000件にもおよぶ実態調査をしたそうです。

 現在は、平成25年に制定した「墨田区産業振興マスタープラン」に基づき、工業だけでなく商業、観光といった産業の垣根を外し、区内企業を均一に支援するのではなく、意識の高い事業者を集中的に支援をするといった方針をとり、10年後に向けて「Stay Fab -楽しくあれ-」というビジョンを持って産業振興を行っているそうです。

 小林さんは「よかったら墨田区をステージに活動してほしい。皆さんの思いのこもった一歩があれば、きっとこの街は受け入れてくれます。」とご自身の紹介を締めくくりました。

経営者 有薗悦克さん

 有薗さんは、2つの会社での経験を経て、現在は家業である株式会社サンコーの三代目社長を務められています。

 「株式会社サンコーは墨田区で下請けの印刷屋でしたが、なぜシェアオフィスを運営するようになったのか…」と切り出し、この講義の配信会場でもあるco-lab墨田亀沢設立のいきさつを語られました。

 きっかけは、サンコーのオフィスが入っていたビルのオーナー会社が倒産し、そのビルが売りに出されたことでした。もしオフィスを移転するなら大きな印刷機も移動しなければならず、その額を試算すると数千万円にもなったそうです。その後サンコーがそのビルを所有することになり移転問題は解決しましたが、次は空いたフロアをどう使うかという問題が挙がりました。この時に相談に行った先が墨田区役所だったそうです。

 この問題を解決するために、小林さんもご説明されていた「産業振興マスタープラン」にある「新ものづくり創出拠点」の事業を利用されました。クリエイターと組んで仕事の領域を広げたい印刷会社と、印刷設備を使いたいクリエイター、両者をつなげる「場」を設けることでイノベーションを起こせるのでは?と考え、クリエイター専用のシェアオフィスを作ることになったそうです。

 しかし、設立当初はうまく行かなかったそうです。有薗さんは「もともと東京の西側で成功していたシェアオフィスのサービスだったため、ビジネスモデルをそのまま持ってきても劣化コピーにしかならない。モノづくりの街であること、職人がいることに価値がある」と気づき、オープンの1年後、「ものづくりの『職人』と『クリエイター』が出会い化学反応が起きる『場』」というコンセプトを提示しました。

 このコンセプトを打ち立ててから様々な人が集まるようになり、デザイナーだけでも作れない、職人だけでも作れないものを一緒に考えられるような場になりました。現在では印刷業だけでなく、他の製造業ともコラボレーションも生まれるようになってきたそうです。

 自己紹介の後は、登壇者のお二人に対談形式でお話しいただきました。

行政と産業の関係について

 まずは行政と産業がどのように関わっているのか、当事者であるお二人のその関係性をを語っていただきました。

 経営者である有薗さんは「例えば事業を発展させたいときに親身になって話を聞いてくれる。我々が何か困っていることを相談に乗ってくれる行政は、ビジネスに欠かせないパートナーです。」と仰られました。

 この有薗さんのご発言に対し、行政担当者の小林さんは「なんでも相談してほしい。直接事業に関わる話だけではなく、『こういうことやってみたいけど何かない?』のように、フランクに聞いてもらいたい。」とお話されました。

起業したい場合はどうするか?

 行政への相談の仕方について、まずはどのようなことを相談すればいいのか、墨田区で起業する場合を例に挙げてお二人に質問を投げかけました。

 小林さんは「墨田区では事業支援に関する相談窓口があり、気軽に相談を受け付けている。例えば『こういう人っていませんか?』『こういうことをしたいんですが…』という質問に対してなら、色々な事業者を紹介する。紹介した人は幅広い人脈や知識を持っているので、相談をした人が街に溶け込むようなサポートがができるんじゃないか。」とお話されました。

 一方、有薗さんは、実際に区役所に相談に来た人を紹介される事業者のお一人だそうです。有薗さんは「相談してくれる人のやりたいことに共感できることがあったら応援したい!街を元気にしてくれたら、巡り巡って自分に返ってくる。」と語られました。

デザインを学ぶ学生に対しての期待

 学生に対してはどのようなことを期待しているのか、お二人にお伺いしました。

 まずお二人は声をそろえて「学生に対して期待している!」と仰られ、特にデザインを学ぶことの重要性に対してお話されました。

 有薗さんは経営者の目線でこうお話されました。「デザインができる人はものを作るだけで終わらない。経営にはブレインが必要。そのブレインの役割としてデザインを学んでいる人が関われるのではないかと考えている。デザインとは『物事の本質を見つけ出して表現すること』。デザイナーは会社そのものの価値をデザインすることができるのではないか。」

 小林さんも、デザイナーとの仕事を通じてデザインに対する考え方が変わったと仰られました。「デザイナーに作ってもらいたいものを伝えると、ちゃんとカタチにしてくれる。それまでは、ただ単に『これを作ってください』とお願いしていたが、今は作ってもらいたいという思いがないとダメなんだと気づき、『〇〇という考え方を実現するためにはどうしたらいいのか』という企画の段階からデザイナーと一緒に作っていかなければならない、という考え方に変わっていった。どうしたいのかを深堀して、一生懸命にカタチにしてくれたものが出来上がった時は感動します。」

どのように街とのつながりを作るのか

 ここまでのお話で、小林さんも有薗さんも、学生が街に入ってきてくれることを歓迎しているとおっしゃっていましたが、実際はどのように街とのつながりをつくれば良いのでしょう。この質問に対し、お二人は街で募集されているボランティアに応募することをご提案されました。

 例えば墨田区では、スミファという墨田区の町工場を見学できる「オープンファクトリーイベント」を行っているそうですが、この場でも様々なボランティアを募集しているそうです。多くの企業が参加するこのイベントでは、いろんな人と加速的に知り合うことができ、有薗さんはこれを「人脈ブースター」と表現していました。

 また、自分ができること、得意なことにこだわらず、「好き」や「興味がある」というきっかけでボランティアに参加してほしいともお話されました。

実際に街で働くメリット、キャリア

 街に入り、地域に溶け込んで働くことにはどのようなメリットがあるのかについてもお話しいただきました。

 小林さんは「街をフィールドとして働いている人は、本業とは違うこともしている。例えばデザイナー、クリエイターの方はイベント企画運営をしていることが多く、イベントを通じて新たな仕事として広がることもある。」とお話され、有薗さんは「街に入り込んで小さい組織や個人事業主として仕事をすると、目の前のリアルな仕事ができる。人を幸せにしている実感が得られる。」とお話されました。

 お二人は共通して「小さい組織で活動をすることで、その効果や影響が自分に返ってくる。」ということをお話されていました。


 最後に、講義を聴いている学生に対して、お二人はそれぞれ次のようなメッセージを送られました。

小林さんからのメッセージ

 「何かをしたいなという思いを持っていてほしい。就職しても、起業をしても、何をするときも大事になる。私はこうしたいんだ、こうなりたいんだという思いを持ってもらうことが大事だと思います。」

有薗さんからのメッセージ

 「『うちの街にはなんもないよ』と思っていても、実はあたりまえの中にこそ価値がある。その価値は街を離れて、また戻って来るときに気づくことがある。街の歴史があり、そこに住み続けている人がいる時点で何もないことはない。あたりまえの中の光るものを、今学んでいることを使って見つけてほしいです。」

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だから、とにかく一歩踏み出す
その選択が正しいかなんて、
今の時点じゃ誰にも分かんないし

最終的に、自分の道は、
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みんなを生きるな。
自分を生きよう。

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