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【開催レポート】墨田クリエイターズバトン第4回  ものづくりの街×デザイナーの化学反応

【開催レポート】墨田クリエイターズバトン第4回  ものづくりの街×デザイナーの化学反応

日時

2022年1月6日(木)19:20~21:00

場所

オンライン開催(ZOOM)

レポート

デジタルハリウッド大学 2年  堀合 桜子

 2022年1月6日、デジタルハリウッド大学では特別講座『墨田クリエイターズバトン第4回【ものづくりの街×デザイナーの化学反応】』を開講しました。

 講師を務めてくださったのは、大手企業に在籍しブランディング業務に携わりながら、複業活動として企画とデザインを提供する個人事業「オクノテ」を開業し、二足の草鞋で活躍している清水覚さんです。

 ものづくりの街とデザインの掛け合わせでご自身の力を発揮している清水さんから、デザインに対する考えやその考えに至った経緯についてご講演いただきました。

 本講座はZoom によるオンライン中継での開催となりました。

墨田区でのものづくり

 まずは清水さんの現在のお仕事についてご紹介いただきました。清水さんが勤めている会社ではプランナーとして企画・制作ディレクション、コピーライティングを担当されており、一人で仕事をすることはなく、チームで動くことが多いそうです。一方で、2019年に開業したオクノテでは、デザイナーとしてご自身でデザインをされており、お客様と一緒に新しいものを作ったり、広告やWebサイトを作ったりしているそうです。今回の講義ではオクノテの事例を中心にお話しいただきました。

 オクノテでは、中小企業の方から「新しい商品を作りたいけどどうしたらいいのかわからない」「技術はあるけど何を作ったらいいのかわからない」などの新商品やサービス開発の依頼が多く寄せられるそうです。いくつか具体的な商品を紹介され、その中でも、ものづくりの街墨田区の企業と関わった2つの例について詳しくお話してくださいました。

 まず一つ目が、べっ甲を扱う製作所の事例です。工芸品として扱われるべっ甲の美しいまだら模様は、職人の技術によって生み出されています。清水さんが関わった製作所の職人の方は、「唯一無二のものを作りたい。『美しい!』『すごい!』『高くても買いたい!』と思ってもらえる高品質な商品を作らなければいけない。」という考えをお持ちだったそうです。清水さんはこの考えに賛同し、美しく、べっ甲の工芸的な価値を落とさないような、持ち手と台座部分にべっ甲を使用したワイングラスをデザインされました。しかし、このワイングラスの完成は一筋縄ではいかず、べっ甲の持つ水や熱への弱さをデザインで克服するだけではなく、デザインやアイデアを実現するための技術を持つ企業を探し回ることになったそうです。企業によってはデザイン案を聞いて“無理”の一言で断られることもあったそうですが、複数の中小企業の技術が集結し、ようやくべっ甲のワイングラスが完成しました。

 清水さんはこのプロジェクトから学んだこととして「デザインを考える際に、『できること』 から考えないということが大事です。『できないこと』『やったことないことに』挑戦することはその分、障壁や困難がありますが、それらをむしろ楽しむことが大事です」と語られました。

 また、この事例からはもう一つ学んだといいます。それは「仕事は仕事を生む」ということだそうです。

 このケースでは、ワイングラスといういい物ができたからこそ、その縁でWebサイトリニューアルや、名刺のデザインの新しい依頼などに繋がっていったそうです。清水さんは「どんなに小さな仕事でもどれだけ力をかけるかで次の仕事に繋がります。全てのものづくりが一発勝負、ベストを尽くしてください。」とお話されていました。

 二つ目の事例は、革小物を製造している企業の事例です。創業100年を機に自社ブランドを立ち上げ、魅力的なオリジナル商品を作りたいという依頼があり、清水さんがお話を伺いに行くと、その企業はすでにたくさんの魅力的商品を作られていたそうです。依頼は新商品の企画でしたが、清水さんは「これらを魅力的に見せて売れるようになることが本当の課題ではないか。」とご提案されたそうです。

 そこで清水さんはブランドの整理、ブランドビジュアルの一新、ネットショップの改修に取り組まれました。非常に細かな作業の積み重ねもあったそうですが、その結果、オンラインストアの売り上げと訪問者が増加し、メディアへも取り上げられたそうです。

 この事例から、清水さんは「作ることを目的にしない方がいい。デザイナーにとって作品ができることは魅力的に見えますが、それを作ることが本当に相手にとっていいものになるのか考えなくてはいけません。不必要なものを切り捨てることも考えて作ってください。」とデザイナーとしてのお考えを語られました。

複業という働き方

 清水さんは、ご自身が実践されている複業というキャリアについてもご紹介していただきました。ご自身が複業としてオクノテでデザイナー続ける中で、より地域に密着した仕事をして手助けをしたいと思うようになったそうです。その理由を次のように語っていただきました。

「デザインは課題解決が本質だと思っています。現在はリモートでできることが増えたのでその場にいながら様々な地域の仕事もできるようになりましたが。地域(=ローカル)はデザイナーにとって課題の宝庫で、解くべき問題がたくさんあります。ローカルな仕事は地味というイメージがあると思われていますが、そこある課題こそデザインを必要としています。また、規模が小さいからこそチャレンジが積極的にでき、成功した時の注目度が高いのも、ローカルな仕事の特徴です。デザイナーこそローカルで活躍してほしいと思っています。」

学生へのメッセージ

 清水さんは学生に対し2つのメッセージを送られました。

 まずはデザインについて次のように語られました。

 「みなさんはデザインについて『あなたは何をデザインしていますか』 と聞かれた時、何と答えますか?この時に具体的に商品名などを挙げてしまいますが、私は五感で感じるもの全てがデザインの守備範囲だと思います。『デザイン』として名前を付けられる事柄は氷山の一角です。デザインを考える時は、 『なぜ?』という疑問を持ち続け、考え続けることで氷山の一角の、さらにその先の問題も解決できるのだと思います。」

 そして最後に学生へ次のようなエールを送られました。

 「作れるって本当にすごいことです。想像することをする方は多くいますが実際にデザインとして形に落とし込む人は多くありません。何かを作ることは、みんなできるはずですが、それを実行できていないだけです。だからこそ、作れる人には真の課題を見つけ、解決できる人になってほしいと考えています。これから失敗もあるかもしれませんが、失敗を後悔するのではなく、失敗から反省をして、デザインをより良いものにしてください。」

   

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本気で夢を追うって
簡単じゃないんだってマジで

これから先、諦めたくなる瞬間が
かならず来る
もちろんおれにもくる

でも、その夢を実現できたら、
きっと「最高だ!」って思えるんだよ

だから、とにかく一歩踏み出す
その選択が正しいかなんて、
今の時点じゃ誰にも分かんないし

最終的に、自分の道は、
自分で選ぶしかないでしょ!

みんなを生きるな。
自分を生きよう。

本気で夢を追うって
簡単じゃないんだってマジで

これから先、諦めたくなる瞬間が
かならず来る
もちろんおれにもくる

でも、その夢を実現できたら、
きっと「最高だ!」って思えるんだよ

だから、とにかく一歩踏み出す
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最終的に、自分の道は、
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みんなを生きるな。
自分を生きよう。