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【開催レポート】株式会社GENEROSITY(ジェネロシティ) 平沼真吾氏による特別講義 「人生を「ハードモード」にしないための戦略的大学生活」

【開催レポート】株式会社GENEROSITY(ジェネロシティ) 平沼真吾氏による特別講義 「人生を「ハードモード」にしないための戦略的大学生活」
2026年5月8日、デジタルハリウッド大学は特別講義「人生を『ハードモード』にしないための戦略的大学生活」を開催しました。ゲストには、株式会社GENEROSITY(ジェネロシティ) 取締役兼CTOの平沼真吾氏をお招きしました。
今回ご登壇いただいた平沼真吾氏は、XRなどの最先端デジタル技術を駆使した革新的なプロモーションやマーケティングを手がけています。
この特別講義は、本学4年生の藤川愛紗さんの企画提案により実現しました。藤川さんは、インターン先である同社にて、韓国最大級のオンラインファッションプラットフォーム『MUSINSA』のポップアップ運営に関わり、現場の活気や来場者の反応を通じて、ものづくりが人の感動につながる瞬間を実感したといいます。華やかな展示の裏でテストや動作確認などの緻密な作業を担当し、仕事の裏にあるプロのこだわりを学びました。
「平沼さん自身も、順風満帆な人生ではありませんでした。後悔や失敗があったからこそ今がある。そのお話をぜひ学生のみんなにも知ってほしいと思いました」
藤川さんは企画に込めた思いをそう語りました。講義の冒頭、平沼氏も学生たちに向けてこう語りかけました。
「今日お話しすることの半分は、私自身がもっと早く知っておきたかった内容です。その半分だけでも持ち帰ってもらえたら嬉しいです」
大学生活をより楽しく、自分らしく生きるためにはどうすればいいのか。平沼氏自身の後悔や失敗談を交えながら語られた特別講義の様子をお届けします。

「安定だね」の一言を信じたら、人生の意義を見失った。
平沼氏は大学でXRや近未来UIを研究し、卒業後は東芝へ入社。その後、富士通でも働きました。誰もが知る大企業で働く平沼氏に対し、周囲からは「安定だね」「エリートじゃん」といった言葉が向けられたといいます。
しかし、その言葉の裏で平沼氏は違和感を抱えていました。
「家族や友人から『大手に就職して安定だね』と言われました。周囲の言葉を、自分の中の違和感よりも優先したことが、私のしくじり第一号でした」
大企業に就職したにもかかわらず、働く意義を見失ってしまった平沼氏。その理由はシンプルでした。
「自分で決めていなかったからです」
周囲が良いと言うから選んだ道。自分で決めていないから、納得感が持てなかったのだと振り返ります。
30歳を目前に退職を決意した平沼氏は、中国へ渡り、その後はPC一台を持って世界20カ国以上を巡る海外ノマド生活を始めます。
月収は不安定。日々の生活は「カオスそのもの」。しかし幸福度は過去最高であったといいます。
節約のために何時間もかけて夜行バスで移動する。治安の悪い地域の安宿にも泊まる。時には経験のために高級ホテルにも泊まる。お金は将来のためではなく、目の前の経験に使う。そんな生活の中で、自分の常識が何度も壊されていく感覚があったそうです。
「周りの意見は参考程度に。人生の脚本は自分で書く」
他人の言葉で人生を決めると、上手くいかなかった時に他人のせいにしてしまう。自ら選び、自ら責任を持つことが人生を楽しむ第一歩だと語りました。

「やりたいこと」は経験の先に見えてくる
現在はGENEROSITYで取締役兼CTOを務める平沼氏ですが、最初からその肩書きを目指していたわけではありません。
ケーキ屋さん。似顔絵屋さん。プログラマー。これまでに色々な肩書きを持ってきました。一見するとバラバラに見える経歴ですが、平沼氏の中では一本の軸でつながっているといいます。
その原点は、10歳の頃に母親に作ったオムレツでした。
「母が喜んでくれた時の笑顔が忘れられないんです。私は“笑顔フェチ”なんですよ」
平沼氏が大切にしているのは、肩書きでも収入でもなく「誰を、どう喜ばせたいか」という軸です。
「『働くのは楽しいですか?』と聞かれることがあります。軸さえあれば楽しいんです。仕事が遊びの延長になります」
学生からよく寄せられるという「やりたいことが見つからない」という悩みに対して、平沼氏は明快に答えます。
「経験が足りないだけです」
おすすめは「死ぬまでにやりたいことリスト」を100個書くこと。すべて実現できなくても構わない。やっていくうちに、自分が何に興味を持ち、何に心が動くのかが見えてくるといいます。
また、行動のきっかけは立派なものでなくても良いと語りました。英語も中国語も、ギターも「全部モテたいから始めた」といいます。しかし結果として、その経験は海外での生活や仕事の武器になりました。
「モテたいでも十分です。始める理由なんて何でもいいんですよ」
がむしゃら=美徳、はもう卒業しよう
講義の中心となったのは、大学生活をどう過ごすかというテーマでした。
「がむしゃら=美徳、はもう卒業しよう」
そう切り出した平沼氏は、自分自身を「怠け者」だと表現します。だからこそ、少ない労力で大きな成果を出す方法を考えてきました。
たとえば学費を稼ぐ方法一つを取っても、アルバイトを増やすだけが正解ではありません。勉強を頑張って学費免除を狙うという選択肢もあります。
「得られる結果は、汗の量ではなく仕組みの理解で変わります」
補助金や奨学金、ふるさと納税など、世の中には知っているだけで得をする制度が数多く存在します。
「ゲームで隠しコマンドを知るようなものです。地道にレベルを上げるよりも、効率よく経験値を貯められる方法があります」
学生のうちに世の中のあらゆる仕組みを学び、自ら情報を取りに行く姿勢が将来大きな差になる、と話します。そのために大学時代は経験の量を増やすことが重要です。特に1年生のうちは選り好みせず、遊びもアルバイトも全力で取り組む。同じ時間を使うなら、時給で選ぶのではなくスキル、人脈、実績の3つを得られる仕事が良い。
平沼氏は「できる限り一人暮らしを始めて欲しい」と勧めます。一人暮らしを始めると、生活の全てが自分の責任になる。そこで初めてお金や家族のありがたみが実感できるといいます。
さらに「遊びも、時間が許す限り全力で」と続けます。経験が増えるほど世の中の解像度が上がり、他者との対話が深まり、未来を予測する精度も高くなるといいます。
「2年生、3年生になったらぜひ企業インターンに行ってください。インターンは、自分に向いていない仕事を安全に試せる仕組みです」
自分自身が企業研究を十分にせず就職した結果、働く意味を見失った経験があるからこそ、学生時代のうちに様々な仕事を試してほしいと語りました。
人脈もお金も「投資」の視点で考える
大学時代に意識してほしいこととして、平沼氏は人脈づくりも挙げました。
「学生のうちは『会いたいです』と言えば会ってもらいやすいです。社会人よりも圧倒的に人に会いやすい特権を持っています」
20代で築いた関係は、相手が各業界で活躍する40代以降に大きな価値を生むといいます。
お金についても独自の考え方を語りました。お金とは価値を交換するための道具であり、価値を保存するものでもあります。
「お金持ちは悪ではありません」
大切なのは稼ぎ方だと言います。
「自分の仕事を家族や友達に自慢できるか」。それを一つの基準にしてほしいと学生たちへ伝えました。
稼いだお金を消費に使うのか、それとも投資に変えるのか。その積み重ねが10年後の差になります。
完璧な企画書より、不格好な試作品
後半では、行動することの重要性について語られました。
平沼氏が紹介したのは、ハッカソンで一日で開発したサービス「#SnSnap」です。店頭で撮影した写真をハッシュタグをつけてSNSに投稿すると、専用のフォトプリンターで印刷した写真を貰えるマーケティングサービスです。
後にフライング タイガー コペンハーゲンへ導入されたこのサービスは、ありあわせの材料で制作したもので、クライアントから「学園祭か」と言われるほど粗削りなものでした。それでも店頭とSNSを結びつける施策が成果を生み出し、継続案件へとつながっていきました。
「価値があるのは、完璧な企画書より、早く行動して作った不格好な試作品です」
まずは作ってみる。世に出してみる。フィードバックを受ける。その積み重ねが価値を生むのだといいます。
行動しないリスクは、失敗するリスクより大きい。やりたいことが思い浮かんだら、その日のうちに動く。会いたい人がいたら、その日のうちに連絡する。
「今日が一番熱量が高い。明日はもっと動かなくなります」

AI時代に価値を生むのは「What」と「Why」
講義の最後に語られたのは、AI時代の生存戦略です。今の学生が社会に出る頃には、世界はAIによって今と全く違う形になっているはずだ、と平沼氏は語ります。AIが代替するのは「How(どう作るか)」。ものを作ることはAIが代替する。一方で人間に残るのは、「What(何を作るか)」と「Why(なぜ作るか)」。コンセプト作り、意味付け、そして文化や歴史の文脈を理解すること。これができる人はAI時代に価値を生み出すことができます。
「AI時代に求められるのは、AIを使う力ではなく、AIの目利きになる力です」
そのために必要なのが、次の三つだといいます。
・AIの間違いを見抜く力
・仕組みの基礎を理解する力
・文脈を読む力
こういった知識がないままAIを使おうとすると、かえってAIに使われる側になるといいます。AIを便利な部下として扱うか、それとも道具としてAIに使われるか。この三つの力を持っているかどうかで変わります。
また、技術・スキル単体ではいずれAIに追いつかれる可能性がある。これから重要になるのは、「スキル×知識領域」の掛け算だと語ります。
音楽、ゲーム、エンターテインメントなど、自分が好きな分野とスキルを掛け合わせることで、自分だけの希少価値を生み出せる。さらに、人をつなぐ、人が集まる場をつくるといった、AIが代替しづらい領域と組み合わせることで、より大きな強みになると説明しました。
「失敗は経験値稼ぎ」。学生との質疑応答

講義後には活発な質疑応答が行われました。
特に多かったのは「行動したいのに不安で動けない」という悩みでした。
「失敗してしまうのではないかと思って、実際には起こらないかもしれない不安にかられます。どうしたらいいでしょうか?」
平沼氏は、自身も会社を辞める時や新しい挑戦をする時には大きな不安があったと振り返ります。収入がなくなり、貯金がみるみる減っていく現実が怖く、節約のために毎日米と納豆しか食べない時期もあったといいます。しかし実際にやってみると「大したことなかった」と思えることが多かったそう。
「不安を消すには、行動して成功体験を積み重ねることが一番の近道じゃないでしょうか」
会いたい人に会いに行きたいが嫌われるのが怖い、という相談には「嫌われるかもしれない、という考えはもはや捨てました」と答えました。人の気持ちは変えられない。自分が好かれる人間になるしかない、といいます。
「一番の敵は、自分の中で想像しているだけの不安です。何をもって失敗と呼ぶかですよね。うまくいくために、うまくいかないことを学んだと考えればいいんです。失敗ではなく経験値稼ぎ。とにかくまずやってみることです」
質疑応答のあと、平沼氏は学生たちへこんな言葉を贈りました。
「大学生活は、人生最大の『魔法の学校』なのです」
好きなことを起点に、自分の興味を追求していく。経験を積み重ねていく。その先に自分だけの人生が見えてくる。失敗を恐れずに行動することの大切さを、講義を通してお話しいただきました。

講義終了後、本学4年生の藤川愛紗さんと平沼氏の2ショット。藤川さんの失敗を恐れない行動によって、本講義が実現しました。
文:大谷航平


