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【開催レポート】特別講義「就職活動に役立つ!アニメのお仕事ガイド 業種・職種・会社について徹底解説!!」

【開催レポート】特別講義「就職活動に役立つ!アニメのお仕事ガイド 業種・職種・会社について徹底解説!!」
2026年7月31日、特別講義「就職活動に役立つ!アニメのお仕事ガイド 業種・職種・会社について徹底解説!!」が開催されました。講師はアニメ企画・プロデュースを手掛ける株式会社フレームの斎藤 朋之特任教授。長年にわたってアニメ業界で培った実践経験をもとにした仕事に関する解説を行い、学生たちからの質問に答えました。
アニメ業界は「作る」だけじゃない――市場拡大とともに広がる仕事の選択肢
講義は、斎藤氏がこれまで歩んできたキャリアの紹介からスタートしました。1996年に読売テレビへ入社し、電通、TBSグループでアニメの企画・制作・ビジネスに関わってきました。現在は、アニメ企画・制作・ビジネス運用を行う「株式会社フレーム」を設立しています。
約30年間にわたって業界を見てきた斎藤氏がまず示したのは、アニメ市場そのものが大きく成長しているという現状です。
アニメ市場規模は2014年の1.63兆円から、2023年には3.84兆円へと拡大。特に海外市場が大きく成長しており、配信インフラの普及によって、日本にいながら世界へ作品を届けられる環境が生まれています。こうした市場のグローバル化に伴い、アニメに関わる仕事の選択肢も広がっている現状を話しました。
斎藤氏は、アニメ業界の仕事を大きく「制作」と「製作」の2つに分けて説明します。
「“ころもなしせいさく”と呼ばれる『制作』は、実際にアニメーションを作るクリエイティブ側の仕事です。一方、“ころも付きせいさく”と呼ばれる『製作』は、企画、資金調達、宣伝、配信、海外展開など、作品をビジネスとして成立させる仕事。アニメビジネスは、主にこの2つの『せいさく』で成り立っています。お金を出す方、もらう方という区切りはありますが、どちらが上というわけではありません。作るか、ビジネスをするかの違いです」
アニメは実写映画などと比べて、作品完成後の二次利用が発展していることも特徴です。放送や劇場公開だけでなく、配信、海外展開、イベントなど、作品が完成した後にも多くのビジネスが生まれます。アニメ業界の仕事は、「アニメを作る」だけでなく、作品を世の中に届けるためのさまざまな仕事から成り立っていることを、学生たちに伝えました。
アニメを「作る」仕事――制作現場にはどんな職種がある?

続いて、実際にアニメーションを制作する「制作系」の仕事について解説しました。
アニメ制作会社は、アニメーションの実制作を担う中心的な会社です。制作会社の職種として挙げられたのが、制作進行、制作デスク、プロデューサー、演出、監督などです。なかでも制作進行は、作品制作の現場を経験しながら、将来的に演出や監督を目指すキャリアにもつながる場合もあります。
また、作品の方向性を決めるうえで重要なのが「絵コンテ」です。絵コンテには、カットごとの構図やキャラクターの動き、カメラワークなど、作品をどのように見せるのかが落とし込まれます。絵コンテはアニメ制作中でも重要な工程であり、ビジネスの側から作品の価値を判断する際にも、絵コンテが重要な意味を持つ場合があります。
アニメーターに関わる仕事も、動画、原画、作画監督、キャラクターデザインなど多岐にわたります。さらに、仕上げ、色彩設定、撮影、美術・背景など、1つの作品を完成させるまでにはさまざまな専門職が関わっています。映像だけでなく「音」もアニメーションに欠かせない要素です。音響監督、音響効果、音響技術、音響制作、音楽関連などの仕事があり、声優も作品制作の重要な役割を担います。声優事務所では、声優のマネジメントやキャスティングを通じてアニメ制作に関わることもあります。
このように、アニメを「作る」という仕事だけを見ても、実際には多様な職種が存在しています。
アニメを「ビジネス」にする仕事――出版社、放送局、配信会社など
次に紹介されたのが、アニメをビジネスとして展開する「製作系」の仕事です。
日本のアニメ業界では、複数の企業が出資して製作委員会を組成することでリスクを分散し、それぞれの得意分野を活かしてビジネスを展開する仕組みが構築されています。主な出資企業として挙げられたのは、出版社、放送局、配信事業会社、映画会社、映像・音楽メーカー系事業社、広告代理店など。そのほかにも商品化関連企業やゲーム会社など、さまざまな企業がアニメビジネスに関わっています。
出版社は、漫画やライトノベルなどのIPを生み出す重要な存在です。斎藤氏は、日本のアニメ産業の強みの一つとして「編集者」の存在を挙げました。出版社でライツ事業に関われば、1つの作品だけでなく、複数のアニメ化作品に携わっていくこともできます。また、電子コミック市場の拡大によって出版社自体も増えており、アニメに関わる仕事の選択肢も広がっています。
放送局も、単にアニメを放送するだけではありません。アニメの企画、放送枠の確保、出資、映像販売など、さまざまな形で作品に関わっています。かつてはテレビ局が100%出資するアニメ作品も多くありましたが、現在は製作委員会方式が主流です。『鬼滅の刃』などのヒットによって、深夜枠から大きな作品が生まれる可能性が広く認識されるようになり、テレビ局のアニメビジネスへの関わり方も変化しています。地方局でもアニメへの出資を強化している局が増えている傾向にあります。
さらに、近年存在感を増しているのが配信事業会社です。インターネットを通じてアニメを配信するだけでなく、出資にも積極的に参加し、自らアニメ制作に関わるケースも増えています。「アニメを作りたい」と考えている学生にとって、制作会社だけが就職先ではありません。出版社、放送局、配信会社、映画会社、メーカー、広告代理店、ゲーム会社など、アニメを軸にさまざまな企業で仕事ができることが示されました。
会社選びとキャリア形成――「どこから始めても経験は必ず活きる」

最後に斎藤氏が学生たちに伝えたのは、具体的な会社選びとキャリア形成についてです。
就職先を探す際には、アニメ制作会社そのものだけでなく、その会社がどのような資本関係やグループに属しているのかにも注目する必要があります。KADOKAWAグループ、東宝グループ、ソニーグループ、放送局系など、大手企業との連携によって事業環境が変化するケースも多く、近年は、独立系だった制作会社が大手企業の傘下に入ったり、グループ間で連携したりする動きも増えています。こうした資本関係は、待遇や制作環境にも影響するため、会社選びの際には「どの会社か」だけでなく「どのグループに属しているのか」まで確認することが重要だと説明しました。
では、アニメ業界で働くうえでは、どのような能力が求められるのでしょうか。斎藤氏が挙げたのは、「コミュニケーション能力」、「作品への愛情と客観的な視点」、「任務を完遂する責任感」、「大変なことを楽しめるポジティブな姿勢」、そして「グローバルな視点と海外トレンドへの感度」です。
そして、アニメ業界でのキャリア形成には柔軟性があり、どのような経験も必ず活きる道があると力説しました。
「最初から1つの職種に自分の進路を固定する必要はありません。制作から演出へ進むこともあれば、制作現場から製作・ビジネス側へ転職することもあります。近年は特に、現場経験を持つ人材がビジネス側へ移り、活躍するケースも増えています。つまり、クリエイティブとビジネスの間には、行き来できる道があるんです」
アニメ業界を目指す学生にとって、「アニメを作る」という入口だけを見るのではなく、その作品を企画し、資金を集め、宣伝し、配信し、海外へ届けるまでのさまざまな仕事を知ることは、自分のキャリアを考えるうえで大きなヒントになります。
斎藤氏は最後に、学生たちへメッセージを送りました。
「最初から悩みすぎる必要はない。どこからスタートしても、経験は巡り巡って必ず活きる」
アニメ市場が拡大し、国内外で作品を届ける方法も多様化する現在。アニメ業界で働くということは、必ずしも「アニメを作る仕事」に就くことだけを意味しません。今回の講義は、制作と製作、それぞれに広がる多様な職種や企業を知ることで、学生たちが自分自身のキャリアの選択肢を広げるための機会となりました。
質疑応答
Q. 留学生なのですが、日本に残って制作進行に携わるための最も簡単で直接的な方法はなんでしょうか?
日本の制作会社で、海外の企業と関わっている会社は多いです。国による文化の違いを理解することは、制作進行において非常に重要なスキルです。ご自身の母国と仕事する機会がある会社かどうかで判断するのも1つの方法だと思います。
Q. アニメ業界で長く働いている方の特徴やマインドを教えてください
一番は変化を受け入れる姿勢があるかどうかだと思います。僕自身も、変化することで成長したいと思って転職しました。先ほども話しましたが、どの職種を選んだとしても、その先でも自由度が高く変わっていける業界だと思います。変わっていく自分を認めて進んでいければ、結果として長く続けていけると思います。
Q. アニメに対する分析力や客観的視点を身につけるためには何をすればいいでしょうか?
人と語り合うことが大切だと思います。意見をぶつけ合って、時に喧嘩したりすることも含めて。ユーザー目線を忘れず、自分はこれがいいという気持ちも絶対に忘れてはいけません。自分の気持ちが世の中とどのくらい違うのかを確かめるために、人と話すことが重要なんです。

文:ババショウタ


