ニュース&イベント

【開催レポート】ハリウッドVFX業界セミナー

【開催レポート】ハリウッドVFX業界セミナー

開催日時

2019年11月13日(水)19:30~21:00

場所

デジタルハリウッド大学 駿河台キャンパス
東京都千代田区神田駿河台4-6
御茶ノ水ソラシティ アカデミア 3階 駿河台ホール

レポート

デジタルハリウッド大学 2年  土屋 康祐

 2019年11月13日、デジタルハリウッド大学では、特別講座「『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』エフェクト・アーティストが語る!ハリウッドVFX業界セミナー」を開催しました。

 講師を務めて下さったのは、ロサンゼルスを拠点に数多くのハリウッド映画に参加し、最近では『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)や、『アントマン&ワスプ』(2018)『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018)などのVFX作品に加え、公開間近の完結編『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(2019)にも参加されている、エフェクト・アーティストの渡辺潤さんです。   

ハリウッドにおけるVFX制作

 最初に「遊び心がハリウッドを支える」という話題が紹介されました。ここでは、ハリウッドのVFXアーティスト達が、日々のプロダクション作業の中で、如何に遊び心を駆使して仕事をしているかという事例が紹介されました。そういう遊び心こそが、ハリウッド映画のVFXの中で様々なアイデアの源となり、より「ストーリーテリング」に長けた映像を生み出していくのだそうです。良いアイデアを出していく事は非常に大切で、デスクで根を詰めているばかりではなく、時には気分転換をすると、そういう時に良いアイデアが浮かんでくると渡辺氏はおっしゃっていました。

ハリウッドは分業制

 アイデア出しやストーリーから始まり、デザイン、テクスチャ、アニメーター、エフェクト、ライティングなどの様々な工程を通してやっと映画は完成します。このワークフローは「分業制」と呼ばれているそうです。ハリウッドの映画制作において、それらはジャンルごとに細かく分業されており、それぞれのチームが存在しているのです。それぞれのプロが最高の仕事をすることで、完成する映画も最高の出来になるというもの。
 そんな分業制ですが、時としてストレスが溜まる事もあるとか。その事例として渡辺氏がみせてくれたのは、デジタルドメイン時代に起こった「アンドリュー君のやる気グラフ」のエピソードでした。アンドリュー君は、ある日、自分の担当ショットでコンポジターと意見が合わず、そのフラストレーション度数を表す「やる気グラフ」を自分のオフィスにある小さなホワイトボードに描きました。ある時、その我慢度が臨界点を超えてしまった為、彼はホワイトボードの下にセロテープで紙を継ぎ足して張り、そのグラフのカーブが地に落ちた様を表現しました。このグラフはスタジオ内でも大評判を取ったそうです。
 分業制で仕事をする以上、スーパーバイザーのディレクションに従う等のチームワークが大事で、必ずしも自分の意見が通らないことも多々あり、時としてそういうストレスを抑えて仕事をする忍耐も要求されるそうです。

ハリウッドのVFXではどのようなツールが利用されているのか

 スタジオによって多少の差はありますが、MayaやNuke等のさまざまなDCCツールが使用されているそうです。どの分野でどんなツールが使われる事が多いか、等が紹介されました。渡辺氏の知り合いに映像ジャーナリストさんがいて、その人が書いた本で詳しく紹介されているそうで、「興味のある人はぜひ読んでみて下さい」との事でした。

ハリウッドVFX業界就職の手引き 2020年度版
https://www.amazon.co.jp/dp/B0828SD5PZ/

ILMのおはなし

 ILM(インダストリアル・ライト&マジック)は、ジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』(1977)のVFXを製作するために、1975年に立ち上げた会社です。これまでにILMは『スター・ウォーズ』シリーズをはじめとした様々な名作を世に送り出してきました。

 そんなILMには、実は見学コースがあるそうです。これは”同スタジオ関係者を通して事前に予約した人だけが見学出来る”という特別な見学コースで、一般観光客には開放されていないそうです。見学コースには、同スタジオゆかりの品々が多数展示されているそうで、見学した人は写真撮影も可能なようにデザインされているとか。渡辺氏によれば、そこには『スター・ウォーズ』シリーズのキャラクター、光学合成時代に活躍したオプチカル・プリンターの現物、デジタル化される前の巨大なマットペイント画など、SF映画マニア垂涎の品が沢山展示されているそうです。
 そんな中、ロビーの目立つ位置に日本の映画のポスターなども貼られているそうです。『スター・ウォーズ』は黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』に強く影響を受けていることは知られていますが、日本の映画とハリウッド映画は互いに良い影響を与えあっているという事です。
ハリウッド映画のVFXは、実製作期間は大体半年程度(準備期間は含まず)が多いそうです。ILMは、バンクーバー、ロンドン、サンフランシスコ、シンガポールの4か所に拠点を構えており、そのそれぞれでスタッフが業務を行っています。サンフランシスコとバンクーバーには時差がありませんが、それ以外の場所には大きな時差があるため、拠点間でメールなどのやり取りをする際は時差に苦しめられ、タイミングが難しいそうです。大規模な会社ならではの経験と言えます。

『ハン・ソロ』の思い出

 映画『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』において、渡辺氏は、6ショットのエフェクト・アニメーションを担当されていました。それぞれのショットにアセットを読み込んでセットアップします。ただセットアップしただけではカッコ良く見えません。それをいかに見栄え良く仕上げていくかが腕の見せ所です。調整し、ディリー試写でスーパーバイザーのコメントをもらい、作り直し、もう一度見せて…この繰り返しです。完成された映画には最後にエンドロールが流れ、そこには渡辺氏の名前も。しかし膨大な人数がクレジットされているので、最初に試写会でエンドロールを見た時は、自分の名前がどこにあるかわからなかったそうです。

 『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は、まだ公開前という事情もあり、YouTubeで公開されているオフィシャルの予告編を見せてくれる程度に留まりましたが、公開が楽しみですね。

最後に

 ハリウッドという映画現場の最前線で活躍し続ける渡辺氏のお話を伺えたことで、これからの大学の学びに関して、より一層モチベーションを高めることができました。また、映画を見る際にストーリーだけでなく、エフェクトや3DCGなどの様々な面に注目してみることで、レベルの高さを感じることができると改めて知ることができました。

   

平野紫耀さんが登場!デジタルハリウッド大学新CM『みんなを生きるな。自分を生きよう。2024』

本気で夢を追うって
簡単じゃないんだってマジで

これから先、諦めたくなる瞬間が
かならず来る
もちろんおれにもくる

でも、その夢を実現できたら、
きっと「最高だ!」って思えるんだよ

だから、とにかく一歩踏み出す
その選択が正しいかなんて、
今の時点じゃ誰にも分かんないし

最終的に、自分の道は、
自分で選ぶしかないでしょ!

みんなを生きるな。
自分を生きよう。

本気で夢を追うって
簡単じゃないんだってマジで

これから先、諦めたくなる瞬間が
かならず来る
もちろんおれにもくる

でも、その夢を実現できたら、
きっと「最高だ!」って思えるんだよ

だから、とにかく一歩踏み出す
その選択が正しいかなんて、
今の時点じゃ誰にも分かんないし

最終的に、自分の道は、
自分で選ぶしかないでしょ!

みんなを生きるな。
自分を生きよう。