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【開催レポート】「カウボーイビバップ」にみる米国TVドラマの世界

【開催レポート】「カウボーイビバップ」にみる米国TVドラマの世界

開催日時

2021年11月19日(金)19:30~21:00

場所

デジタルハリウッド大学駿河台ホール/Zoomオンライン中継

レポート

デジタルハリウッド大学 2年  堀合 桜子

2021年11月19日、デジタルハリウッド大学では特別講座『「カウボーイビバップ」にみる米国TVドラマの世界』を開講しました。

講義を務めてくださったのは、株式会社フィロソフィア代表取締役社長であり、本学の特命教授でもある藤村 哲也氏です。カウボーイビバップからはじまる日本アニメの海外TVドラマ進出とその軌跡についてご講演いただきました。

本講座はデジタルハリウッド大学駿河台ホールとZoomによるオンライン中継のハイブリット形式で実施されました。

藤村氏の活躍

藤村氏は国内外のエンタテインメント業界の有力企業の国際映画・映像ビジネスのコンサルタントを引き受けると同時に、日本のIP(Intellectual Property=原作となる漫画、アニメやゲームなどの知的所有権)をもとにしたハリウッドでの実写映画化やTVドラマ化にエグゼクティブ・プロデューサーとして参加、日本のIP権利元とハリウッドのプロデューサー・スタジオ・ネットワークを繋ぐという新しいビジネスモデルを開拓されています。

そして今回、「カウボーイビバップ」が日本IPとして史上初の米国TVドラマとして製作され、本講義は11月19日、「カウボーイビバップ」がNetflixで世界に配信される特別な日に実施されました。藤村氏はしみじみと「本当に嬉しいです。皆さんもこれを機にカウボーイビバップを見てみてください。」と仰っていました。

日本IPの海外進出とストリーマーの台頭

日本のアニメや漫画は1960~70年代にかけては米国ローカル放送局中心に一部の有名作品のみが放送され、1980~90年代にはビデオを中心に日本アニメ人気の基盤が形成されました。2000年代に入るとAdult Swimが誕生し、2010年代になるとやストリーミングサービスが普及し始め、現在ではストリーミングサービスを展開するストリーマーがアニメや映画を自主製作するまで発展しました。

米国でビデオ化されたアニメ作品の主流になったのは子ども向けではなく、青年向けアニメと呼ばれる日本独自の若者向けの作品でした。「カウボーイビバップ」も青年向けアニメの一つであり、当時の米国では青年アニメのかっこよさに魅了された若者が多くいたそうです。

米国のTVドラマと映画制作の違い

TVドラマは映画よりも長い時間、毎週人々を惹きつける魅力が必要なこと。時間当たりの製作予算額が低いこと。そして放送スケジュールが決まっているため、企画開発および製作時間が短いことが映画制作との大きな違いです。これらの条件をクリアするために米国ではストーリーを主軸とした、「ショーランナー制度」と「ライターズ・ルーム」というストーリー・クリエイション・システムがTV業界を支えています。

ショーランナーとは、ライター兼プロデューサーの役割を持つ制作の最高責任者です。米国のTVドラマではストーリーが成功の最も重要な要素と言われ、米国では「映画は監督のもの。TVはショーランナーのもの。」といわれることもあると、藤村氏は仰っていました。

米国TVドラマのストーリーは複数人のシナリオライターで制作され、これら複数人のシナリオライターで構成される部屋またはその制度のことをライターズ・ルームと呼びます。ライターズ・ルームはショーランナーが取り仕切り、作品の方向性がぶれないように制作が進行していくそうです。なお、ショーランナーは一人の場合が多いそうですが、今回の「カウボーイビバップ」のショーランナーは4人のユニットで構成されているそうです。

カウボーイビバップの軌跡

はじまりは藤村氏とMarty Adelstein氏の出会いでした。Marty氏は藤村氏に「もっと日本IPをハリウッドの映画だけでなく、 TVドラマにも出すべきだ」と助言された方で、 株式会社フィロソフィアと米国TVドラマ向けに日本IPを確保する戦略的パートナーシップを締結しました。

日本IPを実写化していくにあたり実写可能な作品は4~6作品あったそうですが、その中から2000年ごろにAdult Swimが最初に放送し、米国の若者に熱狂的な人気を博した青年アニメ「カウボーイビバップ」が選定されました。その後、権利元への映像化の交渉などを経て、オプション・パーチャス契約を締結します。藤村氏は「これらは権利関係が後々問題にならないよう細心の注意をはらって契約を進めていきます。」と仰っていました。

製作準備が整ってくるとネットワーク(TV局+ ストリーマー)へのピッチ(売り込み)をしていきます。この時、シリーズ・バイブル(売り込み資料)を持ち込み、誰がショーランナーかという詳細も記載した資料を渡します。複数のネットワークに持ち込んだ結果、実写シリーズ化の価値を高く評価したNetflixに決定したそうです。

藤村氏のメッセージ

このほかにも、独自に調査された米国TVドラマ産業の歴史的な背景や、ホームエンタメ市場の推移などをご説明いただきました。また、株式会社フィロソフィアが次に参加する日本IPの米国実写ドラマ「ONE PIECE」の最新情報もご紹介いただきました。

講義を通じて様々な側面から米国TVドラマの世界を案内してくださった藤村氏は、最後に参加者に対し、「TVドラマの世界には映画を超えるいくつもの魅力があります。特に複数シーズンにもなる壮大なストーリーは、一時日常からはなれ、感動の旅へといざないます。これらのエンタメの鑑賞期間は人生の長さに比べれば、短いものです。しかし、多くの感動と喜びを与えてくれる作品たちは皆さんの人生の一部になります。グローバルなネット配信の時代を迎えた今、これからのTVドラマはますます国を超えて世界に感動を与えてくれる存在になると思います。」とこれからの日本IPの海外展開への可能性と期待を語ってくださいました。

   

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