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【開催レポート】羽住監督・原Pによる特別講義「『映画のおしごと』~ボクらは日々、ピンポンダッシュしている~」

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【開催レポート】羽住監督・原Pによる特別講義「『映画のおしごと』~ボクらは日々、ピンポンダッシュしている~」

日時

2023年8月2日(水)16:00~17:30

場所

デジタルハリウッド大学駿河台ホール

2023年8月2日、デジタルハリウッド大学は特別講義「『映画のおしごと』~ボクらは日々、ピンポンダッシュしている~」を開講し、制作プロダクション「ROBOT」に所属する羽住 英一郎(はすみ えいいちろう)監督、フリーランスの原 祐樹(はら ゆうき)プロデューサーが登壇しました。

羽住監督は『海猿』『MOZU』『暗殺教室』シリーズ、『カラダ探し』などを監督し、原プロデューサーはテレビドラマ『スカム』や、映画『カラダ探し』の企画やプロデュースなどを担当。

『カラダ探し』は小説・マンガが原作の、主人公たちが真夜中の校舎で少女に殺害され続けるタイムリープホラー作品です。2022年10月に公開した映画版は、興行収入10億円を突破。2022年公開の邦画実写映画における、年間興行収入9位にランクインしました。

今回の特別講義では、おふたりが普段されている映画の仕事についてや、それぞれが制作をリードした『カラダ探し』がどのように完成したのかをお話しいただきました。

映画の企画はどのように立案されるのか

おふたりが最初にお話ししたのは、映画の企画を通す方法でした。映画『カラダ探し』の場合、発起人となったのは原プロデューサーです。企画書を完成させた後、製作委員会を立ち上げたり、原作者や出版元に許可を得たりするところから、プロジェクトがスタートしました。

原作者自身が企画して映画制作をする場合と、原プロデューサーのように原作者以外の人が企画する2つのパターンがありますが、ほとんどは後者です。

ひとつの原作に対して、映画を作りたいと手を挙げる人が複数いれば、企画のコンペが行われます。「うちはこの監督と主演で撮りたいです」「うちは製作費として10億円用意できます」「うちは配信プラットフォームを持っているので、劇場収入だけでなく配信収入も見込めます」など各々の武器を原作者に伝えて、誰が映画化するのかが決定されます。

原プロデューサーの武器のひとつは、これまでの作品を通じて得たNetflix社とのつながりでした。見事企画は通り、原プロデューサーは羽住監督率いる製作陣とともに、映画制作に着手しました。

プロデューサーや監督になるためのメジャーなルートは?

続いて、「映画プロデューサーや監督になるには、どんなキャリアステップがあるか」という話題に転換していきました。

原プロデューサーが言うには「極論、誰であっても映画の企画を立案できます。しかしプロとしての実績や、企画書自体に説得力がなければ企画は通りません。そのため、プロデューサーになりたいという方は、東宝や東映、Netflixのようにプラットフォームを持っている企業で修行するのがおすすめです。そこでプロデュースのスキルを磨きながら、周りの人と信頼関係を築くことがまずは大切です」と、プロデューサーになるための道筋を伝えました。

また羽住監督からも、監督として大成するために必要なステップを教えていただきました。

「監督の場合、助監督からキャリアをスタートさせるのが一般的です。1本の映画あたり3、4人の助監督がいて、一番若手の助監督はカチンコを持ちます。これによってシーンごとのカメラの画角を把握したり、編集前の素材をどのように整理したりするのかが分かるようになるんです。それができるようになったら、小道具の準備や俳優・衣装・メイク・美術チームとの連携、撮影スケジュールの作成など、映画制作に関係する仕事をひと通り経験します。そうすると監督になったときに、現場で何が起きているのか、すべて分かるんです」

『カラダ探し』のリスクとリターン

そして、本題である『カラダ探し』がどのように制作されたのかも、おふたりにお話しいただきました。

一般的な邦画の場合、1本あたりの映画にかかる製作費は2〜3億円。それに対し、概算で4倍の興行収入を得ないと黒字にならないのだそうです。仮に興行収入が8億円だった場合、その内の半分(4億円)が全国の劇場の売上になり、1〜2億円が広告宣伝費や配給手数料として天引きされ、手元に残った約2億円が出資した人に還元されます。

映画制作にはこのような赤字リスクがあるため、『カラダ探し』では複数の出資者を募ってリスクを分散させる、製作委員会方式を取りました。

ほかにも、『カラダ探し』にはさまざまなリスクがあったと言います。たとえば、コロナ禍での撮影だったため、誰かひとりが感染すると撮影がストップしてしまいます。クランクアップの日が大幅にズレた場合、役者のスケジュールを確保できず、プロジェクト自体が頓挫する可能性もあったそう。しかし感染症対策を徹底することで、予定通り撮影を終えられたと言います。

さらに『カラダ探し』を撮影・編集していた時期は、コロナ禍によって、劇場来場者が激減し閉鎖する劇場もあった時期でした。Netflixからは「劇場公開ではなく、我々が権利自体を買い取って配信限定の作品にするのはどうか」という提案があったそうです。

しかし羽住監督は、予定通り劇場公開を選択しました。

「『カラダ探し』はホラー映画と言っても鬱屈とした作品ではなく、アトラクションのように楽しめる体験型の映画です。友達や家族と一緒に劇場で鑑賞してもらいたかったので、ネット配信のみという選択肢は考えられませんでした」

製作陣の努力と作品の力によってこれらのリスクを跳ねのけ、興行収入10億円を突破する大ヒット映画になりました。

質疑応答

特別講義終盤には、原プロデューサーと羽住監督に対して、学生からさまざまな質問がありました。

Q. 羽住監督作品の『太陽は動かない』の主題歌はKing Gnuの『泡』でしたが、どのように決定されたのか教えてください。

羽住監督:もともと僕は主題歌無し派だったのですが、製作陣の中に熱狂的なKing Gnuファンがいたのと、若い人に来るきっかけになってほしいという理由から『泡』になりました。

原P:主題歌は監督やプロデューサーだけでなく、映画会社の方と一緒に決めることが多いですよね。映画のターゲット層が好きなアーティストであるか、予告で流れて印象に残るか、映画の読後感とマッチするかなど、バランスを考慮して決定されます。

Q. 映画を撮影するとしたら、どんなカメラを使えるようになると良いですか。

羽住監督:現場によって違う場合があるので、ミリ数やボケ味など、レンズごとの特性を知るクセをつけることが大切です。また個人で機材を揃えるのは難しいので、まずは自分のスマートフォンでたくさん撮影してみてください。今の時代、iPhoneで撮影した素材を一部のシーンで使用している作品も多いので、スマホでの撮影に慣れておくと良いでしょう。

Q. 勉強になる映画を教えていただきたいです。

羽住監督:勉強になるかどうかは分かりませんが、1949年公開の『第三の男』はおすすめです。あとは、興味のない映画でもたくさん観ると良いですね。多くの映画を視聴すると自分自身の栄養になるでしょう。

映画の仕事に携わるために、学生時代にしておいた方が良いこと

最後に、映画業界に興味を持っているDHU生へ向けて、おふたりからメッセージが送られました。

原P:「やってみたい」という気持ちがもしあるなら、試しに映画業界に飛び込んでみて、合わなそうなら別の道を考える。難しいことは考えずにチャレンジしてほしいです。

僕の場合は『カラダ探し』を映画化するまで時間がかかり、頓挫しそうになった場面は何度もありました。ですがなんとかプロデューサーとしての役割を全うし、映画化に至りました。諦めずに「やりたい」と言い続け、努力を怠らなければ目標に近づけるはずです。

羽住監督:プロデューサーや監督になっている人とそうでない人の違いは、いかに映画制作を辞めずに続けられたか、これに尽きると思います。僕も助監督の時代は大変なことがあって、正直に言えば辞めたいと思ったことは多々ありました。

ですが、当時観た『ニュー・シネマ・パラダイス』に救われて映画制作を続けられたんです。村の小さな映画館で映写技師をしていた少年が、後に映画監督になって故郷に戻ってくる物語なのですが、この映画のおかげで「映画を観る楽しさ」と、学生時代に感じていた「映画を作る楽しさ」を思い出しました。

学生時代から映画を作る楽しさを知っていると、大人になってそれが励みになる日が来ると思うので、今のうちに映画をたくさん撮影してみてください。

   

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本気で夢を追うって
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これから先、諦めたくなる瞬間が
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もちろんおれにもくる

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だから、とにかく一歩踏み出す
その選択が正しいかなんて、
今の時点じゃ誰にも分かんないし

最終的に、自分の道は、
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みんなを生きるな。
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