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【開催レポート】「化石にのみ残る絶滅した生き物をロボットで蘇らせる。~3億年以上前の水棲生物ロボットを見て感じ、考えるワークショップ!~」

【開催レポート】「化石にのみ残る絶滅した生き物をロボットで蘇らせる。~3億年以上前の水棲生物ロボットを見て感じ、考えるワークショップ!~」

開催日時

2018年7月10日(火)19:20~21:00

場所

デジタルハリウッド大学 駿河台キャンパス
東京都千代田区神田駿河台4-6
御茶ノ水ソラシティ アカデミア4F

アクセス

JR「御茶ノ水駅」聖橋口より徒歩1分/東京メトロ千代田線「新御茶ノ水駅」B2出口直結/丸の内線「御茶ノ水駅」より徒歩4分/ JR「秋葉原駅」より徒歩9分
都営地下鉄新宿線「小川町」より徒歩6分
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レポート

デジタルハリウッド大学 4年 恒成 美咲

 デジタルハリウッド大学では、2018年7月10日、講師としてAFK 研究所 Csr & ロボットプロジェクトの近藤 敏康氏をお招きし、特別講義「化石にのみ残る絶滅した生き物をロボットで蘇らせる。~3億年以上前の水棲生物ロボットを見て感じ、考えるワークショップ!~」を開催しました。

ロボット化とリアリティ

 近藤氏はリアリティのある古代生物のロボットを研究、制作しています。しかし、それらのロボットはリアルにしようと考えていたわけではなく、あくまで化石でしか姿の確認できない生物を再現しようとしたものだとおっしゃいました。
 一般的なイメージとしてロボットは賢く、ペットなどの生き物はそこまでは賢くないというイメージがあり、そのイメージ故にロボットはあまり愛らしくないと感じ、生き物は愛おしいと感じます。たとえロボットが犬などを模っていたとしても、まだそのように感じる人は多いそうです。ですがそう感じるのは「ロボットだから」ではなく「人工的だから」といったような要因が大きいようです。人工的な動き方からの改善は生物の構造への理解や生物の観察が重要です。
 しかし現代の生き物は厳しい生存競争を勝ち抜いてきた生物なので動きが複雑であり、とても難しいのです。そこで動きが現代の生物に比べ単純な動きをする古代生物に目をつけ、化石から形や構造を推測しロボット化することを試みたそうです。

化石とロボット

 化石はどこで採っていつの物なのかがわからないと価値がない、と近藤氏はおっしゃっていました。場所や年代がわからないとその化石の生物がだいたいどの辺りで生きていたのか、などの情報がなく調べることや推測することが出来ないからです。また化石は生物の一部しか見ることが出来ないので見解が変わりやすく情報が変動しやすいそうです。なので、生物がどのような動き方をしていたのか、などの見解も不安定で確証が得られているものは少ないそうです。
 なぜロボ化石を作り始めたか、近藤氏は「建前」と「本音」があると語ります。まず「建前」として「今の時代、仕事は一つの分野だけではやっていけない。」、「この事業は世間に楽しく貢献できそうだから。」というのがあるそうです。しかし「本音」は違い「水中ロボット教材を研究したいから。」という「作りたいから作る」のような理由なんだそうです。
 この試みを始めた当初、水中ロボットのビジネスでの活用を東京造形大学の学生の方々に色々なアイデアを出していただいたがなかなかビジネスに結び付けるのが難しく、もっと生き物に向き合うことに重点を置きました。そして中高生でも作れることを目標に水中生物ロボットの開発をし、百円均一やホームセンター等でキーパーツ以外の部品を買うことが出来る超低予算ロボットを作り始めました。様々な生物を模り色々と試行錯誤を繰り返したそうです。

 そして水中ロボコンの見学、手伝いを経てさらに熱が入り、「潜る」「浮上する」等をマニュアルを作ってある程度の物に出来るようにしたり、技術要素に分解し考えるなどしていく内に「形」ではなく「バランスと比重」が大事であるということに気付いたそうです。
 水の中は無重力に近く、抵抗で動きは遅くなります。なので、二足歩行ロボの水中での活用はなかなか難しいそうです。またクラゲを模ったロボは漂っている生物を動かそうとしたしたため出目金のようになってしまったと言っておられました。
 そこで化石のロボット化を始め、シンプルで安価にロボットにしやすい、泳げそうな生物として「ウミサソリ」を選び世界で初めてリアルな古代生物の再現ロボットを作り、三年がかりでマニュアル化にも成功したそうです。そのマニュアルは無料で配信しており誰でも古生代の魚の再現ロボを作ることが出来ます。

開発のポイント

 水の中の動きは「イメージ」と「現実」とではかなり違っています。特に水の中は無重力のような状態なのでその無重力感を重視したそうです。そして異分野の専門家との協力が重要で、異分野の意見を取り込むことによって様々な方向からの見方が出来るのだそうです。それらのことを踏まえ実験していくことで正確かつ素晴らしく柔らかい泳ぎを実現することが出来たそうです。
 また、機械的な面で防水性、放熱性、作る生物に合わせた浮力やバランス、環境的な面で水中の流れ、揺らぎや抵抗による動きの鈍りなどに注意することも大事です。魚などの場合ヒレの大きさや形はとても重要な要素となります。ただついているだけの大きなヒレは抵抗になってしまいますし、形が違うと進む方向が思うようになりません。
 古生代の魚のロボットも海外の論文に記された形に合わせ作っていたましたが、その形ではうまくいかず、論文に記されていたものが間違いであるということがわかりました。そして日本にあった化石から尾の長さや関節が違うことに気付き、それを参考に適切な形にしたところとてもリアルな動きになったそうです。このことから長さなどのバランスや筋肉の可動域の把握は泳げるか否かをわける重要な要素で、揺らぎや呼吸による体の動きを再現することでよりリアルなものになります。

ロボ化石を通し気付いたこと

 近藤氏は水中の生き物のロボットを作ったことで感じた生き物らしさをこう語ります。
 文化によって違いはあるが私たちはなんでも水につけると好意的な生き物だと誤認する場合が多く、付け加えて何らかの動きがある場合魅力度が上がります。また、止まっていると死んでいる、と感じたりもします。
 逆に水中外でリアルだと感じるものは水中だと案外リアルに見えません。動きも反復運動のような運きだと一気にロボットだと感じるようになってしまいます。動きは呼吸の動き、ランダムで左右に動かしそれによじれを付け加えることで「現実にいそうだ」と思わせることが出来、そこに自然の力、風などによる水面の動きが付け加わるとよりリアルに感じることが出来るそうです。
 また呼吸の動きは呼吸を連想させる複数の動きをリンクさせるとより良くなります。他にもノイズによって誤作動を起こし「ピクリ」と動くことがあるがそれが逆にリアルさを感じさせたりするそうです。次のステップについて近藤氏はヒレの形を何種類か作って動きを見ることだと考えているんだそうです。

講義を聞いて

 化石から推測し、実際の動物や似た形の生物を観察することだけでなく対象のもつ独特の形や比重、バランスを大事にしないと浮くことや泳ぐことを再現出来ないこと、リアルさを生み出すのはほんの些細な、しかし重要な動きによるものだということ、そして今ある知識だけを鵜呑みにせず様々な方面からの見解を求めることの重要性を学ぶことが出来る講義でした。

   

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